23 / 113
第一章 異世界
第二十三話 変な洞窟
しおりを挟む
「この洞窟、なんでこんなに回復系のアイテムがいっぱいあるんだろう?」
ポロロちゃんがキノコやヒール草なんかをすべてアイテムバッグに詰め込んでいる。確かにこの洞窟は妙だ。回復アイテムがいっぱいあるなんて・・・そういえばこういう状況ってどこかで見たことあるんだが。
「こんなにお金になるものが手に入るなんて、俺達ついてるよな」
「そうだね。これで借金も一気に返済だね」
最初は罠があると思って全部を拾わなかったがポロロちゃんが来たことで試しに拾ってみた。何事もなく拾えたので遠慮なく拾うことにした。これだけで金貨3枚ほどになるとオッズ達は喜んでいる。
「・・・」
「どうしたんですかタツミさん?」
「いや~流石におかしいと思ってね。ゴブリン達は武器を持てない状態で棒立ちさせられてた。それも4セットだぞ。それで最後のゴブリンを解体していると落とし穴が作動した。それでこの洞窟だ。普通に考えておかしい」
これまでの経緯を考えるとおかしすぎる。これは巧妙な罠なんじゃないのか?
「タツミさん、考えすぎだよ。たぶん、前来た冒険者達の拠点だったんだよ。魔物に負けて帰っちゃったからそのままとか」
「う~ん。そうだろうか?」
アイサは俺と違って、楽観的に考えているようだ。
「俺もタツミさんと一緒で楽観視はできないな。このまま奥に行くのはやめたほうがいいかもしれない。アイテムを拾ったら一度村に帰ろう」
「え~。もっといいアイテムがあるかもよ~」
オッズは俺に賛同してくれた。ここにあるアイテムを拾ったらすぐに帰還しようと提案してきた。流石、オッズだな。それが賢明だよ。
「じゃあ、帰ろう」
「チェ~、きっと金銀財宝があるのにな~・・・って落とし穴ってここだったよね?」
「・・・」
俺達が落ちた辺りに戻ると穴が塞がっていた。一応、印として木の棒を立てて置いておいたし、ポロロちゃんが降りてくる為に垂らしたロープもあるんだ。確かにここに落ちてきたはず。
「自力じゃ上がれないな・・・」
「私の魔法は火だから、こんな空間じゃあぶないし・・」
天井の高さは5メートルはある。とてもじゃないが上がれないな。火の魔法も危険だ。
「やっぱり、罠だったって事か。でも誰が?」
オッズは顎に手を当てて考え込んだ。こんな手の込んだことができるのは人? でも、人の目撃情報はなかった。冒険者達も一人の犠牲者もなく、帰っていったはず。誰もいないはずの森で何が起こってるんだ?
「仕方ない、奥に進むか」
「何だか怖いねルキアちゃん」
「よしよし」
オッズはヤレヤレといった様子で奥に歩き出した。アイサも先ほどは奥に行きたがっていたが今は怖気づいてしまっていて、ルキアを抱きしめて紛らわせている。
ルキアは後ろから抱き着いているアイサの頭を撫でてあげて声をかけてあげている。優しくて可愛いって天使ですか?
オッズを先頭に奥に進んでいく、じめじめした洞窟を進んでいくと外の乾いた風を感じた。俺達は共に見合って笑顔になると自然と走り出していた。
「外だ~」
「あ~よかった~。何事もなくて~」
ハァハァと息を切らせて外へ出た。オッズとアイサが喜んで声を上げていたのでそちらを見ると洞窟の不自然さの理由が分かった。
「三眼熊!」
「それだけじゃないよ。大きなトライホーンも」
洞窟を出るとそこは大きく円に拓けた闘技場のような空間だった。壁のようにせりあがった大地に囲まれている。自然の要塞ともいえるだろうか。そこに4メートル級の熊が四つん這いでこちらをみて、トライホーンという鹿が静かにこちらに顔を向けた。
「違和感はこれか・・」
俺が洞窟で感じていた違和感はこれだ。ゲームで言うところのボス戦前、過剰な回復アイテムとセーブポイント、ご丁寧に武器までくれる。ゲームの世界ではないからセーブポイントなんて言うのはないが違和感の正体はこれだったんだな。
強敵二匹との同時戦闘だ。これはやばいんじゃないのか?
「オッズ、経験で今の状況はどのくらいヤバイ?」
「・・・良くて一人逃げれて、悪くて全滅ってところ・・かな」
おいおい、こりゃ本格的にやばいな。まだ若いオッズだが、無理をしてお金を稼いでいた経験がある。それがこんな言葉が出てしまうのだからよっぽどだろう。
「たたかう!」
「ああ、やるっきゃねえ!」
ルキアの言葉に感化されたオッズが気合を入れて顔を両手で叩いた。俺達は武器を構えた。
「皆さん頑張って・・・私は回復アイテムで援護します」
ポロロちゃんが涙目で洞窟の入り口で顔を覗かせている。彼女に戦闘を求めるのはお門違いだ。俺達は必ず勝つ。そうしないと彼女は何の抵抗もなく、熊の腹の中に納まるだろう。
ポロロちゃんがキノコやヒール草なんかをすべてアイテムバッグに詰め込んでいる。確かにこの洞窟は妙だ。回復アイテムがいっぱいあるなんて・・・そういえばこういう状況ってどこかで見たことあるんだが。
「こんなにお金になるものが手に入るなんて、俺達ついてるよな」
「そうだね。これで借金も一気に返済だね」
最初は罠があると思って全部を拾わなかったがポロロちゃんが来たことで試しに拾ってみた。何事もなく拾えたので遠慮なく拾うことにした。これだけで金貨3枚ほどになるとオッズ達は喜んでいる。
「・・・」
「どうしたんですかタツミさん?」
「いや~流石におかしいと思ってね。ゴブリン達は武器を持てない状態で棒立ちさせられてた。それも4セットだぞ。それで最後のゴブリンを解体していると落とし穴が作動した。それでこの洞窟だ。普通に考えておかしい」
これまでの経緯を考えるとおかしすぎる。これは巧妙な罠なんじゃないのか?
「タツミさん、考えすぎだよ。たぶん、前来た冒険者達の拠点だったんだよ。魔物に負けて帰っちゃったからそのままとか」
「う~ん。そうだろうか?」
アイサは俺と違って、楽観的に考えているようだ。
「俺もタツミさんと一緒で楽観視はできないな。このまま奥に行くのはやめたほうがいいかもしれない。アイテムを拾ったら一度村に帰ろう」
「え~。もっといいアイテムがあるかもよ~」
オッズは俺に賛同してくれた。ここにあるアイテムを拾ったらすぐに帰還しようと提案してきた。流石、オッズだな。それが賢明だよ。
「じゃあ、帰ろう」
「チェ~、きっと金銀財宝があるのにな~・・・って落とし穴ってここだったよね?」
「・・・」
俺達が落ちた辺りに戻ると穴が塞がっていた。一応、印として木の棒を立てて置いておいたし、ポロロちゃんが降りてくる為に垂らしたロープもあるんだ。確かにここに落ちてきたはず。
「自力じゃ上がれないな・・・」
「私の魔法は火だから、こんな空間じゃあぶないし・・」
天井の高さは5メートルはある。とてもじゃないが上がれないな。火の魔法も危険だ。
「やっぱり、罠だったって事か。でも誰が?」
オッズは顎に手を当てて考え込んだ。こんな手の込んだことができるのは人? でも、人の目撃情報はなかった。冒険者達も一人の犠牲者もなく、帰っていったはず。誰もいないはずの森で何が起こってるんだ?
「仕方ない、奥に進むか」
「何だか怖いねルキアちゃん」
「よしよし」
オッズはヤレヤレといった様子で奥に歩き出した。アイサも先ほどは奥に行きたがっていたが今は怖気づいてしまっていて、ルキアを抱きしめて紛らわせている。
ルキアは後ろから抱き着いているアイサの頭を撫でてあげて声をかけてあげている。優しくて可愛いって天使ですか?
オッズを先頭に奥に進んでいく、じめじめした洞窟を進んでいくと外の乾いた風を感じた。俺達は共に見合って笑顔になると自然と走り出していた。
「外だ~」
「あ~よかった~。何事もなくて~」
ハァハァと息を切らせて外へ出た。オッズとアイサが喜んで声を上げていたのでそちらを見ると洞窟の不自然さの理由が分かった。
「三眼熊!」
「それだけじゃないよ。大きなトライホーンも」
洞窟を出るとそこは大きく円に拓けた闘技場のような空間だった。壁のようにせりあがった大地に囲まれている。自然の要塞ともいえるだろうか。そこに4メートル級の熊が四つん這いでこちらをみて、トライホーンという鹿が静かにこちらに顔を向けた。
「違和感はこれか・・」
俺が洞窟で感じていた違和感はこれだ。ゲームで言うところのボス戦前、過剰な回復アイテムとセーブポイント、ご丁寧に武器までくれる。ゲームの世界ではないからセーブポイントなんて言うのはないが違和感の正体はこれだったんだな。
強敵二匹との同時戦闘だ。これはやばいんじゃないのか?
「オッズ、経験で今の状況はどのくらいヤバイ?」
「・・・良くて一人逃げれて、悪くて全滅ってところ・・かな」
おいおい、こりゃ本格的にやばいな。まだ若いオッズだが、無理をしてお金を稼いでいた経験がある。それがこんな言葉が出てしまうのだからよっぽどだろう。
「たたかう!」
「ああ、やるっきゃねえ!」
ルキアの言葉に感化されたオッズが気合を入れて顔を両手で叩いた。俺達は武器を構えた。
「皆さん頑張って・・・私は回復アイテムで援護します」
ポロロちゃんが涙目で洞窟の入り口で顔を覗かせている。彼女に戦闘を求めるのはお門違いだ。俺達は必ず勝つ。そうしないと彼女は何の抵抗もなく、熊の腹の中に納まるだろう。
1
お気に入りに追加
822
あなたにおすすめの小説
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。
大前野 誠也
ファンタジー
ー
子供頃から体の弱かった主人公は、ある日突然クラスメイトたちと異世界に召喚されてしまう。
しかし主人公はその召喚の衝撃に耐えきれず絶命してしまった。
異世界人は世界を渡る時にスキルという力を授かるのだが、主人公のクラスメイトである灰田亜紀のスキルは死者をアンデッドに変えてしまうスキルだった。
そのスキルの力で主人公はアンデッドとして蘇ったのだが、灰田亜紀ともども追放されてしまう。
追放された森で2人がであったのは――
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
異世界転生したので、のんびり冒険したい!
藤なごみ
ファンタジー
アラサーのサラリーマンのサトーは、仕事帰りに道端にいた白い子犬を撫でていた所、事故に巻き込まれてしまい死んでしまった。
実は神様の眷属だった白い子犬にサトーの魂を神様の所に連れて行かれた事により、現世からの輪廻から外れてしまう。
そこで神様からお詫びとして異世界転生を進められ、異世界で生きて行く事になる。
異世界で冒険者をする事になったサトーだか、冒険者登録する前に王族を助けた事により、本人の意図とは関係なく様々な事件に巻き込まれていく。
貴族のしがらみに加えて、異世界を股にかける犯罪組織にも顔を覚えられ、悪戦苦闘する日々。
ちょっとチート気味な仲間に囲まれながらも、チームの頭脳としてサトーは事件に立ち向かって行きます。
いつか訪れるだろうのんびりと冒険をする事が出来る日々を目指して!
……何時になったらのんびり冒険できるのかな?
小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しました(20220930)
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる