赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
上 下
22 / 49
第一章 ジーニアスベル

第22話 更なる武器へ

しおりを挟む
 カンカンカンカン、リズムよく打ち付けられるハンマーの音色。デシウスさんは宣言通り鍛冶場を作り出して早速作業に入った。
 10キロのインゴットを作るのはグッツさん達に任せて剣を作ってるみたい。

「久しぶりなので腕が鳴ります」

 球のような汗をかきながら呟く彼女。でも、姿はメイドなのでおかしなかんじだ。
 行商人さん達の欲しいものが増えるかもしれないな。

「エルフの打った武器防具か。売れるな。俺達はインゴットを作らねえとな」

「そうだな。冒険者や騎士団には鉱石納品を依頼だな。あの洞窟の魔物は出現率が低いみたいだからな」

「……バブ」

 鍛冶場横のお店でデシウスさんを見ながらお父さんとグッツさんと話す。二人が言っている原因はもちろん僕。夜な夜な魔物を倒してしまうから少なく感じるんだろう。魔石を多く持ってるのはこれが一番の原因だな。

「いやいや、凄いなここは。鉱石だけじゃなくてインゴットも豊富だ」

「ああ、今まで寄らなかったのが馬鹿みたいだ」

 外から行商人さん同士の話が聞こえてくる。なかなかに有名になってきたみたいだ。

「ジーク。そろそろ」

「ああ、価格調査だな」

 グッツさんの言葉に察したお父さん。価格調査か。
 これは競合してる、同じ商品を取り扱っている村や町の調査をしないといけないんだよな。

「ちょっと言ってくる」

「任せていいのか?」

「おう、ジーニアスの散歩がてらな」

 僕を抱き上げるお父さんと外へと踏み出す。今日はお母さんが掃除をするということで家から追い出された。なぜかシリカちゃんとララちゃん、それにローズさんも掃除をしてくれるとか。
 たぶんだけど女子会というやつだろう。デシウスさんは誘われなかったみたいだけども。

「おっ、牛肉の串焼きか!」

「どうだいお兄さん」

「じゃあ、一本」

「はいよ」

 出店が出ていていい匂いを醸し出している。思わずお父さんが声をかけて平らげていく。僕も食べたいけれどまだまだ固形物はダメなんだよな……ステータスでごり押し出来ないかな?

「初めてですよね? うちの村はどうですか?」

「控えめに言っても最高だね。店を出して歓迎されるし、帰りに鉱石を買っていけば儲かるし」

 お父さんの質問に満面の笑顔で答えるお兄さん。それを聞いてお父さんは質問していく。

「鉱石について調べてるんだけど、他の村や町では鉱石をどのくらいの値段で出してる?」

「ん~、本当は情報も取引だけど」

「はは、商売上手だな。じゃあ、追加で十本」

「おっ。分かってるねダンナ。じゃあ教えちゃうよ」

 牛肉を焼きながら出店のおじさんが教えてくれる。
 銅は銅貨3枚、鉄は銅貨100枚、ミスリルの鉱石1000枚、鉱石はこんなものみたいだ。
 銅貨の原料でもある銅はかなり安いな。作るのにマイナスじゃもったいないもんな。
 100枚で次の通貨に替られる硬貨。銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨となってるんだよな。更にインゴットにすると十倍になるみたいだ。

「ありがとう。牛肉旨かったよ」

「こちらこそ、早く終わらせられそうだよ」

 十本の牛串をもって立ち去るとお兄さんは満面の笑みだった。

「これだけじゃセンスがないなんて言われて怒られそうだ。パンでも買っていくか」

「アイ!」

 お父さんはお母さん達にお土産を買って行くみたいだ。
 白いパンをいくつか買って家に帰るとやっぱり女子会だったみたいで机を挟んで談笑していた。お化粧なのかな、いつもよりもみんな綺麗になってたな~。ローズさんの化粧姿は貴重だ。

 そんな平和な日々を過ごすこと十日。
 夜中、決死の覚悟でお肉を口に含む。
 モチャモチャモチャ……ゴックン!

「バブ?」

 ずっしりとお腹に入って行くお肉。今のところ変化なし、噛むことは歯がないから出来ないけど無理やり食べれるし、味も美味しく感じる。新鮮だと塩だけでも美味しいな。
 因みに魔法で焼いてみた。ミディアムレアって感じだけど行ける。

「バブバブ~!」

 美味しく食べれてお腹もいたくないぞ! これなら色んなもの食べられるかも。お母さんには悪いけど、ミルクはもう飽きました。これからは固形物を食べます、はい。と言ってもお母さんたちの前では無理なので夜中限定だな。食べ過ぎないようにしないと消化には悪いかもな。
 嬉しくなっていつも通り洞窟へとハイハイしていく。洞窟前に着くとローズさん達、騎士隊が見える。

「団長、休んでていいですよ。夜は俺達がやりますから」

「そうですよ。団長」

 ラミルダさんとミルファさんがローズさんに言ってる。女子会をしていた時にお母さんに言われてたな。夜更かししすぎだって。ちゃんと休んでほしいな。

「ダメなんだ。ブレインよりも強くならなければいけない。ジーク様とまでは行かなくてもね」

「それはそうですが……」

「脱退したんだから気にしなくても」

 ローズさんの声に二人は俯いて声を漏らす。

「ブレインは恨みを持っているだろうからな。いつここに現れてもおかしくない。それにトルト氏と一緒に王都に向かった三人からおかしな情報を得たんだ」

「おかしな情報?」

 トルトさんの護衛でついていった三人か。ついでに王都の情報を持ってきてもらおうと思ったんだよな。思惑通り情報を仕入れてくれてたみたいだ。鉱石の値段は知っていたけど、別の話もしてたのか。僕らには内緒ってことかな?

「ブレインがいなくなったらしい」

「ブレインが?」

「ああ、部屋で怒り狂って声をあげていて静かになったと思ったら消えていたらしい」

 あの玉座で切り付けてきたブレインか。やっぱり相当恨みを買っていたみたいだ。だけど、消えたって?

「ブレインの部屋の前を守っていた騎士は誰かと話すような声も聞こえたとか……恐れで声もかけられなかったらしいがな」

「……おかしな話ですね」

「そうね」
 
 ローズさん達は話し終わると俯いていく。

「と言うわけだ。いつまでも下を向くわけにはいかない。毎日鍛錬あるのみ。レベルをあげるぞ」

「うっし、俺も行くぜ団長」

「私も行きます!」

 洞窟の警護は部下に任せて三人は洞窟に入って行く。その後ろを高速で追走。警護のお姉さん方に気づかれずに潜入成功。まあ、毎日やっていることだけどな~。
 おかげでレベルも好調好調。

 ジーニアス 0歳

 LV60

【体力】420
【魔力】350


【筋力】720

【生命力】250

【命中性】260

【敏捷性】800

【知力】600

【精神力】350

スキル

【試練受注1】【試練受注2】【試練変更】【試練製作】


 試練も二つ同時に受けれるようになって効率も二倍。討伐系の試練は魔物を狩ればいいだけだからかなり早く終わらせられる。秘薬も手に入ってステータスは爆あがりだ。僕よりも早い人はいないんじゃないかな? 全速力でハイハイしたことないからわからないけど。

「団長、ここいらの魔物は全滅です」

「そうね」

 ラミルダさんの声に剣を納めるローズさん。

「少し眠くなってきちゃいましたね」

「少し早いけれど、今日はこのくらいにしておきましょうか」

「ごめんなさい団長……」

「いいのよミルファ。二人共付き合ってくれてありがと」

 ミルファさんの言葉にローズさんが彼女の頭を撫でて答える。三人は早めに帰るみたいだ。ミルファさん達は早めに終わらせるために一緒に来たのかもな。頷きあってる。団長思いの二人だ。
 さて、これからは僕の時間だ!

「バ~ブ~」

 僕の無双時間が始まる!
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

処理中です...