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第一章 ジーニアスベル
第20話 エリカちゃん
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トルトさんを見送って三日ほどが経った。前まで僕らの村を素通りしていた行商の馬車が行商の手形を見て止まってくれるようになった。
良かったなと思ったんだけど、ここで問題が発覚。宿屋がない!
「人の住む家ばかり作ってたからな~」
「そうだな~」
宿屋を作るという相談をするために家で話し中。
家づくりを先導してくれた難民の大工さん、ダンクさんと共にお父さんが頷く。
「みんなの家は全部出来たんでしたっけ?」
「ああ、張り切りすぎて多めに作っちまった」
「多い分には問題ないですね」
「ふむ、今から作るには問題ないが当分はその家を使ってもらうってことでいいんじゃないか?」
お父さんと共に考えだすダンクさん。確かにそうすれば宿屋の問題はなくなるかな?
「家具、ベッドがないのがいくつかあるが、それを作ればいいだけだしな。シーツも騎士団の連中が持ってきてくれてるし、藁を引けばすぐにできる」
「そうですか。じゃあ、すぐにでも取り掛かってもらって」
「おう。任せておけ。命を助けてもらった恩は一生をかけて返すぞ」
ダンクさんはガッツポーズをして家を後にする。
「ジーク、頼もしい人達ね」
「ああエリアス、あの戦いを生き残った人たちだからな」
大盾をもって矢の雨をしのいだ人達だもんな。強くならざる負えない。
「ジーニちゃんあそぼ~」
「あら、いらっしゃいエリカちゃん」
エリカちゃんが我が家にやってきた。王都に向かう時から仲良くなった彼女。僕の強さを最初に理解した子で理解者だな。
「今日はお母さんがお裁縫するから遊びに来てあげたよ~」
「ふふ、ありがと」
「バブ……」
エリカちゃんのお母さんは裁縫上手。繊細な作業を要する裁縫。彼女と遊びながらはできないことだよな~。
「ジーニちゃん! 今日はなにして遊ぶ?」
たまに遊ぶようになったエリカちゃんだけど、普通の遊びはつまらないと言ってくる。なので毎回、僕にしかできない遊びをする。
「わ~、高~い」
「バブ」
エリカちゃんを抱えて跳躍。屋根を飛び回っていく。ダンクさん達には普通に見られてるので驚くことなく笑ってくれる。
「城壁も作らんといけんが、魔石がないとどうせ進まん」
「そうっすね」
屋根の上からダンクさん達を見ているとなんか話してるのが聞こえてくる。魔石がないと城壁は作れないのか~。僕のをあげられたらいいんだけどな。
あれ? どうせ、みんなに強いのバレてるから出してもいいのか。じゃあ、
「!? なんじゃこの魔石の数は!?」
「親方! 上!」
「!? ジーニ様……」
屋根の上から魔石をマジックバッグから出す。ダンクさん達が驚いて声をあげてる。
「こ、これはあなたが?」
「バブ!」
「使ってよろしいんですか?」
「バブバブ!」
なぜか畏まって話しかけてくるダンクさん。頷いて答えると深くお辞儀をしてきた。
「では使わせていただきます。城壁に魔石を混ぜると強度がますのです。魔法にも強くなるのでこれだけあれば王都並みには出来るはず」
ダンクさんは目を輝かせて説明してくれる。なるほど、この世界は魔法があるんだよな。魔石が魔法に対する防御になるわけだ。なんかレアアースとかメタルな物質なんだな、魔石は。
「ジーニちゃん凄いね。魔石は魔物さんが落とすんでしょ? 全部倒したの?」
「バブ!」
「凄いな~。私もジーニちゃんみたいになりたいな~」
エリカちゃんの疑問に答えると彼女は俯いて呟いた。強さに憧れてるのか~、応援したいけど、そこは両親と要相談だよな~……。とおもうけど、
「バブ!」
「え? なにこれ~、ジュース?」
試練をしまくってため込んだ筋力の秘薬を手渡す。ジュースと思って蓋を開けるエリカちゃん。なんの疑いもなく口にしていく。
「わ~、おいし~。それに体があったか~い」
この世界の人もファイトな飲み物は口に合うみたいだ。エリカちゃんは美味しそうに飲み干していく。
「このジュースどこにあったの? もっと欲しい~」
「バブバブ」
「え? ダメ? ん~、ジーニちゃんがそういうならしょうがないかな、我慢するね」
欲しがるエリカちゃんに首を横に振って答えると我慢してくれた。彼女は我慢も出来る子なんだな。偉いな~。僕の小さな頃は欲しいほしいの一点張りだったけどな。って今は赤ん坊だけど。
「ありがとねジーニちゃん!」
腕を組んで感心していると不意に彼女がキスをしてくる。頬に温かな感触を感じて振り返ると顔を真っ赤にする彼女が笑っていた。
「じゃ、帰ろ」
「アイ……」
思わず惚けているとエリカちゃんが手を握ってきた。僕は力なく答えて彼女を抱える。少女とはいえ、不意にそんな頬にキスなんてされたら流石に惚けてしまうよ。
「ありがとジーニちゃん。ただいま~」
「お帰りなさい。エリカちゃんジーニ」
家に帰ってくるとエリカちゃんがお礼を言ってお母さんが迎えてくれた。家に入るといい匂いが鼻をくすぐる。
「おやつを作っておいたわよ。今日はハチミツが手に入ったから薄く焼いた生地にハチミツを挟んだの。美味しいわよ」
お母さんが嬉しそうに机に並べていく。クレープのハチミツを挟んだものって感じかな。美味しそうだが、アイスクリームが欲しくなるところだな。
「わぁ~。美味しそ~。食べていいの~?」
「いいわよ~。みんなで食べましょ」
僕を抱き上げたお母さんも席について一緒におやつ。と言っても僕はまだまだ固形物はダメだ……。早く、大人になりたい。
良かったなと思ったんだけど、ここで問題が発覚。宿屋がない!
「人の住む家ばかり作ってたからな~」
「そうだな~」
宿屋を作るという相談をするために家で話し中。
家づくりを先導してくれた難民の大工さん、ダンクさんと共にお父さんが頷く。
「みんなの家は全部出来たんでしたっけ?」
「ああ、張り切りすぎて多めに作っちまった」
「多い分には問題ないですね」
「ふむ、今から作るには問題ないが当分はその家を使ってもらうってことでいいんじゃないか?」
お父さんと共に考えだすダンクさん。確かにそうすれば宿屋の問題はなくなるかな?
「家具、ベッドがないのがいくつかあるが、それを作ればいいだけだしな。シーツも騎士団の連中が持ってきてくれてるし、藁を引けばすぐにできる」
「そうですか。じゃあ、すぐにでも取り掛かってもらって」
「おう。任せておけ。命を助けてもらった恩は一生をかけて返すぞ」
ダンクさんはガッツポーズをして家を後にする。
「ジーク、頼もしい人達ね」
「ああエリアス、あの戦いを生き残った人たちだからな」
大盾をもって矢の雨をしのいだ人達だもんな。強くならざる負えない。
「ジーニちゃんあそぼ~」
「あら、いらっしゃいエリカちゃん」
エリカちゃんが我が家にやってきた。王都に向かう時から仲良くなった彼女。僕の強さを最初に理解した子で理解者だな。
「今日はお母さんがお裁縫するから遊びに来てあげたよ~」
「ふふ、ありがと」
「バブ……」
エリカちゃんのお母さんは裁縫上手。繊細な作業を要する裁縫。彼女と遊びながらはできないことだよな~。
「ジーニちゃん! 今日はなにして遊ぶ?」
たまに遊ぶようになったエリカちゃんだけど、普通の遊びはつまらないと言ってくる。なので毎回、僕にしかできない遊びをする。
「わ~、高~い」
「バブ」
エリカちゃんを抱えて跳躍。屋根を飛び回っていく。ダンクさん達には普通に見られてるので驚くことなく笑ってくれる。
「城壁も作らんといけんが、魔石がないとどうせ進まん」
「そうっすね」
屋根の上からダンクさん達を見ているとなんか話してるのが聞こえてくる。魔石がないと城壁は作れないのか~。僕のをあげられたらいいんだけどな。
あれ? どうせ、みんなに強いのバレてるから出してもいいのか。じゃあ、
「!? なんじゃこの魔石の数は!?」
「親方! 上!」
「!? ジーニ様……」
屋根の上から魔石をマジックバッグから出す。ダンクさん達が驚いて声をあげてる。
「こ、これはあなたが?」
「バブ!」
「使ってよろしいんですか?」
「バブバブ!」
なぜか畏まって話しかけてくるダンクさん。頷いて答えると深くお辞儀をしてきた。
「では使わせていただきます。城壁に魔石を混ぜると強度がますのです。魔法にも強くなるのでこれだけあれば王都並みには出来るはず」
ダンクさんは目を輝かせて説明してくれる。なるほど、この世界は魔法があるんだよな。魔石が魔法に対する防御になるわけだ。なんかレアアースとかメタルな物質なんだな、魔石は。
「ジーニちゃん凄いね。魔石は魔物さんが落とすんでしょ? 全部倒したの?」
「バブ!」
「凄いな~。私もジーニちゃんみたいになりたいな~」
エリカちゃんの疑問に答えると彼女は俯いて呟いた。強さに憧れてるのか~、応援したいけど、そこは両親と要相談だよな~……。とおもうけど、
「バブ!」
「え? なにこれ~、ジュース?」
試練をしまくってため込んだ筋力の秘薬を手渡す。ジュースと思って蓋を開けるエリカちゃん。なんの疑いもなく口にしていく。
「わ~、おいし~。それに体があったか~い」
この世界の人もファイトな飲み物は口に合うみたいだ。エリカちゃんは美味しそうに飲み干していく。
「このジュースどこにあったの? もっと欲しい~」
「バブバブ」
「え? ダメ? ん~、ジーニちゃんがそういうならしょうがないかな、我慢するね」
欲しがるエリカちゃんに首を横に振って答えると我慢してくれた。彼女は我慢も出来る子なんだな。偉いな~。僕の小さな頃は欲しいほしいの一点張りだったけどな。って今は赤ん坊だけど。
「ありがとねジーニちゃん!」
腕を組んで感心していると不意に彼女がキスをしてくる。頬に温かな感触を感じて振り返ると顔を真っ赤にする彼女が笑っていた。
「じゃ、帰ろ」
「アイ……」
思わず惚けているとエリカちゃんが手を握ってきた。僕は力なく答えて彼女を抱える。少女とはいえ、不意にそんな頬にキスなんてされたら流石に惚けてしまうよ。
「ありがとジーニちゃん。ただいま~」
「お帰りなさい。エリカちゃんジーニ」
家に帰ってくるとエリカちゃんがお礼を言ってお母さんが迎えてくれた。家に入るといい匂いが鼻をくすぐる。
「おやつを作っておいたわよ。今日はハチミツが手に入ったから薄く焼いた生地にハチミツを挟んだの。美味しいわよ」
お母さんが嬉しそうに机に並べていく。クレープのハチミツを挟んだものって感じかな。美味しそうだが、アイスクリームが欲しくなるところだな。
「わぁ~。美味しそ~。食べていいの~?」
「いいわよ~。みんなで食べましょ」
僕を抱き上げたお母さんも席について一緒におやつ。と言っても僕はまだまだ固形物はダメだ……。早く、大人になりたい。
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