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第一章 ジーニアスベル

第12話 第2騎士団

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「では皆さん、出発しますよ」

 とうとう故郷へと帰る日がやってきた。ローズさんの騎士団が先頭を進んでいって、僕らは馬車に乗せられた。ブランド様が用意してくれたんだ。

「背後を気にしなくていいのはいいな」

「バブ!」

 街道を進んでいく中、後ろを見ると冒険者のパーティーが追走してくる。その中にはララさんのパーティーもいて、僕らに手を振ってくれる。

「前方に魔物。群れの残党です」

「了解した。騎士団! 行くぞ!」

 騎士隊の人達の声があがる。あの魔物の群れの残党は結構いるみたいでまだまだ危険な街道になってる。流石に全部を倒すことはできないもんな。
 ゴブリンキングを倒したとき、僕はレベルがかなり上がった。

 ジーニアス 0歳

 LV44

【体力】295
【魔力】227


【筋力】221

【生命力】152

【命中性】155

【敏捷性】390

【知力】196

【精神力】196

スキル

【試練受注】【試練変更】

 赤ん坊がローズさんと同じくらいのレベル。前世の記憶を持っているだけでもチートだって言うのに凄いな~。
 ステータスに感心しながら街道を進んでいく。王都に来る時と違って帆馬車での帰路だ。
 騎士団が魔物を倒してくれてる。よく見るとローズさんの騎士団はみんな女性なんだな。褐色で大きな斧を持っている人もいて、頼もしい人達だ。

「よっしゃ! 最後はラミルダがいただいた~」

「最後だけでしょ。団長、私は5匹倒したよ~。褒めて褒めて~」

「はいはい。ミルファは偉い偉い」

「えへへ~」

 褐色のお姉さんが声をあげていると白いエルフのような耳をした女性が呆れて声を漏らしていた。ローズさんとは仲がいいみたいで頭を撫でられてる。
 ラミルダさんとミルファさんか。副団長と言った感じなのかな。彼女達にも部下がいるから。

「エリアス様。この間はありがとうございました」

 僕らの視線に気が付いたローズさんが声をかけてくれた。この間って言うのは回復魔法をかけたことかな? やっぱり、僕じゃなくてお母さんがやったとおもってるみたいだ。

「ローズさん。女の子なんだからおでこに怪我しちゃダメよ」

「ふふ、母にもよく言われます」

 お母さんに注意されると照れ臭そうに頭を掻くローズさん。お転婆さんなんだな。

「もう少しで野営の準備に入ります。準備しておいてください」

「わかりました」

 ローズさんはそういって先頭へと走っていった。
 結構、進んできたけど、まだまだ故郷は遠い。
 日が落ちてくると共に野営の設営を進めていく。食べ物とかは騎士団が管理してくれてるからいくらでもある。僕らで準備したのは獣の肉くらいだ。僕もしっかりと熊を狩った。
 
「しかし、あんたら凄いな」

 設営を終えて、みんなで夕食を済ませていると急にラミルダさんが声をあげた。

「城壁の外にいたって言うのに難民の被害は0。城壁上の兵士の方が被害にあってる。それもこれもジークさんの指示で盾を作っていたおかげだってな。本物の英雄だよあんたは!」

「ゴホゴホッ」

 ラミルダさんが力強くお父さんの背中をぶっ叩く。せき込むお父さんが僕とお母さんを見て笑った。

「ん、ジーニちゃんの方が凄いよね」

「バブ?」

 ちょこんとお母さんの隣にやってきたララさんが僕の頬を突っつきながら声をかけてきた。小声で声をかけてくれるララさん。どうやら、彼女は僕のことを知ってるみたいだ。彼女も僕ら、難民と合流してくれて村づくりを手伝ってくれるみたい。

「ふふ、そうなのよ。だけど、みんなにはシーね」

「うん。分かってるよ。私達だけの秘密でしょ」

「バブ!」

 お母さんに言われてララさんは嬉しそうに微笑む。僕を抱きかかえるお母さんはララさんに僕を差し出す。彼女はとても嬉しそうに僕を抱きかかえた。

「全身柔らかい!」

 お~っと驚くララさん。そうなのだ、僕の体は強いのに柔らかいのだ。誰もが羨む魅力ボディー。

「ん、シリカも抱く?」

「あっ、いえ。よく抱かせてもらっているので」

 羨ましそうに見つめていたシリカちゃんにララさんが声をかける。僕の取り合いをしてくれる彼女達。守れてよかったな~。

「団長。団長とジークさんはどっちの方が強いの?」

 ミルファさんがそういうと、ピリッと空気がしまるのを感じた。

「それはジーク様だよミルファ」

「え~? そんなことないと思うな~。だって団長は称号も持ってるからレベル以上に強いはずだもの」

 ローズさんが話すとミルファさんが呟いた。
 称号ってやっぱりみんな持ってるのかな。

「称号! 凄いですねローズさん」

「いえ、そんな大層なものじゃないですよ。親の七光りです……」

 お父さんの声にローズさんは俯いて答える。親の七光り? 彼女のお父さんが凄い人なのかな?

「団長は剣聖の称号を受け継いでるの! 剣を持たせたら勝てる人はいないんだから!」

 胸を張るミルファさん。彼女とは対照的にローズさんはどんどん暗くなっていく。

「あのミルファさん? ミルファさんはどうなんですか?」

 思わず話題を変えるお父さん。ミルファさんはため息をつく。

「はぁ~。私なんて団長の足元にも及ばないわ。でも、あなたくらいならいい勝負になるでしょうね」

「は、はあ……」

 マウントを取ってくるミルファさん。お父さんが相手にしないとわかると首を横に振った。

「すみませんミルファが。それとありがとうございます」

「あ、いえいえ。嫌そうだったのでつい……」

 お父さんにお礼を言うローズさん。あんまり自分の父親のことを言われるのは嫌みたいだな。何かあったのかな?

「お察しのように私の父は剣聖ゴード。父は巨大な魔物との戦闘で王都を守り死んでしまいました。そして、称号は私の元へ……。私には相応しくない称号です」

 悲しい顔で呟かれる言葉。その表情からお父さんたちは言葉を詰まらせる。

「ゴード様。王都の住民にも優しい貴族様だった。私もあの方の作ってくれた制度で冒険者になれた」

「制度?」

「ん、未成年でも冒険者登録が出来るようにしてくれた。魔物討伐は実力を測らないといけないけど、納品や掃除の依頼は未成年でも出来る」

 ララさんはゴード様のおかげで冒険者になれた、シリカちゃんも感心して聞いてる。でも、それなら僕も冒険者になれる? って流石に乳飲み子じゃ無理か。今もお母さんからもらっているしな。

「騎士団の方々はみんな貴族様ですか?」

「ははは、そんな畏まらなくていい。俺達もゴード様と同じように『民に差別なし』だ。様なんていらねえよ」

 お父さんの疑問にラミルダさんが声をあげる。民に差別なしか、凄い人だったんだな。
 今日はローズさん達から色んな話が聞けたな。これからオーベンの村を大きくしていくのにも一人役かってくれるみたいだし。頼りになる人達みたい。
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