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第八章 倍倍

第二十一話 待っててね。今止めるから

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 この狭間の世界がアステリアの屋敷になった時、違和感を感じたんだ。僕が初めてシリカさんにあげた花、永遠を与えた花の色が違ったんだ。それはダインズの記憶違いだったかもしれないけど僕の直感が嫌な予感を感じて覚えてた。

「やっぱりそうだ、ダインズが屋敷とは別に作っていたんだ。何かの目印として」

 僕は真っ暗は世界で花瓶を見つけた。凄く時間かかったけど何とか見つけられた。

「うっ、流石にこの状態で長い事動くと時が止まっていてもきついかも」

 胸を抑えて身悶える。死にたくないな。だけど今はそんな事を言っている場合じゃない。

「急がなくちゃ、僕の時間もあと少しだ」

 花瓶の下に小さな魔法陣が描かれてた。僕はそれを手でこすって消す。すると真っ暗だった世界がオレンジ色に輝きだした。

「この星の核!? 水晶にマナを注ぐんじゃないの?」

 メラメラと太陽の様に輝く核が見えるようになった。ダインズが核を隠していたんだ。
 アルキンの言っていた水晶にマナを注ぐって言うのはフェイク(嘘)だったんだね。核はひび割れたような黒点を描いている。

「あれは亀裂かな。もう手遅れなのかな……」

 網目状に黒点が広がってる。たぶん全部黒くなると活動を停止してしまって死んでしまうのかもしれない。僕はどうしたらいいのかわからないけどある事を思いだした。

「世界を賄えるほどのマナ。僕はこの世界を助けられる」

 この核は今マナの供給を少しずつ止められている状態。それなら僕が供給すればいいんだよ。なんだ、簡単な事じゃないか!

 僕は核に近づいて行く。とても熱いけど何とかたどり着けそう。

 じりじりと僕の体を温める核はとても優しい風を僕に導いた。たぶんこの子も救ってほしいと思っているんだ。光は道を照らし僕を導き風が僕を後押しする。大地の壁は僕を持ち上げ水は僕に潤いをくれた。

 僕は世界に愛されていた。それはジャンヌの精霊達の仕業なのかもしれない。
 ごめんねジャンヌ、ライ、レイ。もっと君達とも遊びたかったな~。ライには女の子を紹介したかったし、レイは魔法を教えてあげたかった。まだまだやりたいことがあったのにな。

「お待たせ、待った?」

 核の光は点滅して僕の言葉に答えた。僕は核へとマナを流していく。

 体が吹き抜ける風のような感覚を感じてどんどんマナを送る。

 MP 186904 [16301倍(秘匿) 3046722104]

 僕はヘリアとの魔窟デートでレベルを上げてたんだ。ヘリアは僕の事を思ってそうしてくれた。今ではレベルが5000まで上がってMPが凄い事になってる。でもこのMPで足りるか心配。




 MP 304672210

 うっ、もう一桁減った。循環させるためのマナだから最初は多いのかもしれない。





 MP 30467221

 どんどん減ってる。これじゃ足りない。そうだ、ポーションがあった。ビシャス先生のケモミミポーション。回復しても微々たるものだけどないよりはいい。





 MP 3046722

 うっ、胸が苦しい。MPの自然回復も間に合わない。でもここで僕が倒れたら誰がこの世界を...。





 MP 304672

 ハーッ!! 気をマナに変換するんだ。土壇場でスキルを開発するなんて流石僕だね...。






 MP 30467

 あう、もうマナを纏っていられない自分を守るとマナが足りないよ。

 僕は[マナパック]をやめる。すると核の熱が僕を襲う……と思ったら暖かいだけで何ともなかった。核が少し元気になって全体に熱を発せずにいられるようになったんだ。あと少しで安定できるかも!

 



 
 MP 3046

 もう達人クラスのMPしかない。核の黒点はあと少しでなくなる。そう思った瞬間、体が脱力して倒れた。倒れるとビチャっとしたものが体についた。

 ああ、これは自分の血なんだ、僕はそう感じて目を閉じた。

 







 僕の記憶はここまで。僕はまた死んじゃったんだね。
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