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第七章 異変

第三十話 閃光

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 氷河大陸に金属のぶつかり合う音が響く、その音によって氷山が崩れる、崩れた氷山が荒波を発生させる。

 海は荒れ大地は亀裂を作り悲鳴をあげる。二人の戦いは尚も続き空に火花の星を作る。そんな激しい戦いをしているのにも関わらず二人の顔は笑顔だった。

「世界の終わりを迎えるかもしれないのにそんな顔をしていいのですか?」
「そんな顔のダインズに言われたくないよ」

 二人は共に笑った。生まれる時が一緒ならば二人はいい友になっていただろう。共に守りたいものを守ってこんな不幸な出会いはしなかっただろう。しかし運命とは残酷な物、世界をめぐり戦い合う運命だったのだ。

「名残惜しいですが、そろそろ終わりにいたしましょう」
「...そうだね。次の一撃ですべてが終わる」

 僕は涙を眼に溜めた。フェイクとは結構長い付き合いだった。最初の印象はうざい奴って感じだったけど憎めない奴だったんだ。最初から死なないんだろうなって感じて光を当てたけどその通り死なない奴だった。今思えば僕はフェイクの事を知っていたのかもしれない。だからあんなに親しく出来たのかも。でもそれも終わり、フェイクは世界を滅ぼそうとしている。それを僕は止めるんだ。

「[ダインズイルミネーション]」

 ダインズが先に動き出した。ダインズの背中から7つの水晶が現れ円を描きダインズを回る。ダインズはその水晶よりも大きい水晶を手から生み出してマナを集めている。

「そんな時間は与えない![スラッシュ]」

 ため技をわざわざやらせる気はないので僕は斬撃を放った。だけどその斬撃は水晶に吸い取られて行く。その間もダインズは目を瞑り詠唱を唱えていた。僕らのようなマナを豊富に持っている人が詠唱を行うという事がどういうことなのか、それは次の瞬間わかった。

「やばい!止めなくちゃ!」
「もう遅いですよ![ブレイク]!」

 僕はダインズへと近接を仕掛けようとしたがそれは遅かった。ダインズを回っていた水晶が虹色に輝きひと際大きな水晶へと光を照射する。ダインズの持った大きな水晶は閃光のような光を放ち僕らの周りを包んでいった。








「あの光は?」
「なんだ?」

 山の上を探索している冒険者ダイン、サンジ、ジーダ。

 ジーニの初めての気絶者達である。

「あの方向はエンドか?」
「あそこは生き物の住めない地。天使か悪魔の仕業でしょうか?」

 彼らはアステリアを出て冒険者になり苦難を乗り越えてAランクまで上りつめた。冒険者としては有能株である。そして魔窟騒動があってこの山の魔窟を攻略しようと来たのだ。

 ジーニの戦闘の光を見れたのは山の登っている人位、平地で見えるエリアは人の住めない極寒である。

「凄い光だ。虹色でまるで俺達を祝福しているようだな」
「そんなうまい話はないですよ」
「それよりも魔窟を攻略しましょう」

 この後、この者達を見た者はいなかった。

「ん?なんだか不吉な気配を感じたが」
「大丈夫ですよ。ただの魔窟です」

 一人、また一人と倒れ。最後の一人は無残な最期を迎えるのだった。

「うし!、やめよう」
「え?ジーダ、なんで?」
「いや、何だか悪寒がする。あっちの魔窟にしよう」
「ええ?どっちでもいいんじゃないのか?」
「いや、ここはやばい。俺の五感が言ってる。だからあっちだ。あっちなら大丈夫だ」
「まあ、ジーダがいうなら...」

 こう言ったようにシャインやアステラの声は冒険者へと届けられる。魔窟のランクを知らない冒険者はむやみやたらに入ろうとする。二人は命を無駄に散す事を嫌い助言しているのだ。

「全く、冒険者って言うのは本当にむでっぽうでいやね」
「しょうがないだろ。ゲームじゃないんだ。ランクが書いてあればあんな無防備に入っていかないだろ」
「まあ、そうなんだけど」

 二人の神は冒険者をサポートしつつジーニ達の戦闘を見ている。それほど心配しないで見ているという事はダインズの攻撃は凌いでいるのだろうことが伺える。

「しかし、ジーニもSランクを倒したままにしておけば一瞬でかたが付いただろうに」
「ダメよ。ダインズは未練を残しているの、彼にはそんな想いを持ったまま死んでほしくない」
「まあな...」

 二人の神はは俯きため息をつく。ダインズに頼り地上に奇蹟をもたらそうとしたつけが訪れてしまったのだ。悔やんでも悔やみきれない。

「いや、まだ諦めるな。ダインズはまだ人の心を持っている」
「そうよね。ダインズはジーニの大切な人達を攻撃していないし」

 一筋の希望にすがる。対話できれば何とかなるのかもしれない。


 

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