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第七章 異変
第十五話 ローズさんは魔窟へ行きたい
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「おかしいわね...魔窟が急激に増えてるわね」
ジーニがダンジョンに潜ろうとしていた頃、ブラウディアの学園長、グロリアが地図を広げて顎に手を当てて考えこむ。
「この情報は本当にあっているの?」
「はい、ベントスからの情報も含まれていますので信憑性は高いと思われます」
グロリアの問いに報告にきた兵士が頷いた。グロリアは更に考え込む。
「魔窟はマナが無くては出現しない。普通の洞窟にそれほどマナはないはず...なのにこの量、明らかにおかしい」
グロリアの直感は正しかった。しかしその元凶がどこで何をしているのか、知る術もない為打つ手がない状態だ。
「確かジーニの仲間にローズがいたわね。Sランク冒険者の[薔薇]のローズならば攻略できるかしら」
本当は自分が行きたいと思っているものの流石にブラウディアを留守にするわけにもいかずとローズに目をつけた。ローズならばジーニの潜った4階程度ならば攻略できるかもしれない、しかし5~6階だとどうなる事か。
「ジーニに相談したい所だけど、今ダンジョンに向かったはず...ローズ本人に相談しようかしらね」
グロリアはジーニの屋敷の方を見て考え込む、了承してくれればいいんだけど、と見つめるのだった。
「ローズ、今大丈夫?」
「ん、ファラか。外で見るのは珍しいな」
ローズはわざと一人で外へ出て敵の出方を見ていたのだが何もなく暇をしていた。そこへギルドマスターのファラが話しかけた。
「今さ~困ってて~、魔窟が急に増えちゃってさ」
「魔窟?魔窟とはあの?。ジーニが壊したと聞いたが?」
「え?そなの?幾つ?」
「そんなにいっぱい湧いているのか...」
ローズも冒険者なだけあって魔窟やダンジョンの類いの情報には長けていた。なので魔窟がそんなに大量に湧いているとは思えずに狼狽える。
「そんなんだよ~。最近急に増えてきて~。おひとついかが?」
ファラはまるで試食販売のお姉さんのように勧めてくる。ローズは怪訝な顔で断った。
「いや、私は屋敷を守らないといけない。そんなものに時間をかけるわけには」
「では私が受けよう」
ローズが断った紙をデシウスがファラの後ろから現れてつまんだ。
「ジーニ様の話ではSランク以上の魔物が現れたという。それを倒していけばジーニ様のお傍に...」
デシウスは妄想の世界へと旅立った。しかしローズはデシウスを心配している。
「一人で大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。伊達に修行してません。それよりもローズはいいんですか?」
「....」
ローズはデシウスの言葉に俯く。ブラウディアに来てからというもの戦闘という戦闘をしていない。ストレスはたまりレベルは上がらない何とも体に悪い事か。ジーニを撫でることである程度抑制されているがそれでも毎日戦っていたローズはストレスを貯めていた。
「順番でいかないか?。まずは私から」
「ええ、....仕方ないですね。では急いでくださいよ」
「ああ、恩にきる。では早速一番近い所を」
ファラの抱える紙を見てブラウディアから一番近い依頼を拾う。ローズならば一日もかからない所である。
「移動に二日で攻略に二日か...」
「早くしてくださいよ...ヌフフ」
「何故笑う?」
デシウスはローズの様子を見て我慢出来ずに笑い出した。ローズは首を傾げた。
「何でもないですよ。それよりも早く準備していってください」
「ああ、屋敷は頼んだぞ」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ先に帰って準備に入る」
ローズは屋敷に帰っていった。
「うまくやりましたね..」
「何のことかね?大黒屋...」
「大黒?」
デシウスはジーニから聞いた知識でファラを大黒屋とよんだ。ファラはわけもわからず首を傾げる。
デシウスの策略はまんまとローズを屋敷から離す。何故屋敷からローズを話したかと言うと。
「ふっふっふ、これで私がジーニ様とお休みになる日が近くなった」
「....」
デシウスにとっては死活問題である、ジーニとのお休みの日。それをめぐって策略を要した。何とも浅はかな考えだがこれもジーニの魅力がなした事である。
ファラは言葉を無くして踵を返して帰ろうとする。
「ファラ..」
「はい?」
「今のは聞かなかったことにするんだぞ...」
「私は何も聞いていません。ローズはただ魔窟を壊す英雄です」
「よし、よくわかっているな。くっくっく」
デシウスまるで魔王かと思うほどの怒気を含みファラを威圧して口止めする。
デシウスの思いつきの計画通りローズは魔窟へと旅立った。
「あら?お願いしなくても叶ったわね..」
グロリアも安心してソファーに寝そべった。
「当分はサボれそうだけど、冒険者ギルドに依頼が行っているのね。それなら私が動かなくていいか~」
お菓子を頬張りサボる姿勢を見せるグロリア。
ジーニがダンジョンに潜ろうとしていた頃、ブラウディアの学園長、グロリアが地図を広げて顎に手を当てて考えこむ。
「この情報は本当にあっているの?」
「はい、ベントスからの情報も含まれていますので信憑性は高いと思われます」
グロリアの問いに報告にきた兵士が頷いた。グロリアは更に考え込む。
「魔窟はマナが無くては出現しない。普通の洞窟にそれほどマナはないはず...なのにこの量、明らかにおかしい」
グロリアの直感は正しかった。しかしその元凶がどこで何をしているのか、知る術もない為打つ手がない状態だ。
「確かジーニの仲間にローズがいたわね。Sランク冒険者の[薔薇]のローズならば攻略できるかしら」
本当は自分が行きたいと思っているものの流石にブラウディアを留守にするわけにもいかずとローズに目をつけた。ローズならばジーニの潜った4階程度ならば攻略できるかもしれない、しかし5~6階だとどうなる事か。
「ジーニに相談したい所だけど、今ダンジョンに向かったはず...ローズ本人に相談しようかしらね」
グロリアはジーニの屋敷の方を見て考え込む、了承してくれればいいんだけど、と見つめるのだった。
「ローズ、今大丈夫?」
「ん、ファラか。外で見るのは珍しいな」
ローズはわざと一人で外へ出て敵の出方を見ていたのだが何もなく暇をしていた。そこへギルドマスターのファラが話しかけた。
「今さ~困ってて~、魔窟が急に増えちゃってさ」
「魔窟?魔窟とはあの?。ジーニが壊したと聞いたが?」
「え?そなの?幾つ?」
「そんなにいっぱい湧いているのか...」
ローズも冒険者なだけあって魔窟やダンジョンの類いの情報には長けていた。なので魔窟がそんなに大量に湧いているとは思えずに狼狽える。
「そんなんだよ~。最近急に増えてきて~。おひとついかが?」
ファラはまるで試食販売のお姉さんのように勧めてくる。ローズは怪訝な顔で断った。
「いや、私は屋敷を守らないといけない。そんなものに時間をかけるわけには」
「では私が受けよう」
ローズが断った紙をデシウスがファラの後ろから現れてつまんだ。
「ジーニ様の話ではSランク以上の魔物が現れたという。それを倒していけばジーニ様のお傍に...」
デシウスは妄想の世界へと旅立った。しかしローズはデシウスを心配している。
「一人で大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。伊達に修行してません。それよりもローズはいいんですか?」
「....」
ローズはデシウスの言葉に俯く。ブラウディアに来てからというもの戦闘という戦闘をしていない。ストレスはたまりレベルは上がらない何とも体に悪い事か。ジーニを撫でることである程度抑制されているがそれでも毎日戦っていたローズはストレスを貯めていた。
「順番でいかないか?。まずは私から」
「ええ、....仕方ないですね。では急いでくださいよ」
「ああ、恩にきる。では早速一番近い所を」
ファラの抱える紙を見てブラウディアから一番近い依頼を拾う。ローズならば一日もかからない所である。
「移動に二日で攻略に二日か...」
「早くしてくださいよ...ヌフフ」
「何故笑う?」
デシウスはローズの様子を見て我慢出来ずに笑い出した。ローズは首を傾げた。
「何でもないですよ。それよりも早く準備していってください」
「ああ、屋敷は頼んだぞ」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ先に帰って準備に入る」
ローズは屋敷に帰っていった。
「うまくやりましたね..」
「何のことかね?大黒屋...」
「大黒?」
デシウスはジーニから聞いた知識でファラを大黒屋とよんだ。ファラはわけもわからず首を傾げる。
デシウスの策略はまんまとローズを屋敷から離す。何故屋敷からローズを話したかと言うと。
「ふっふっふ、これで私がジーニ様とお休みになる日が近くなった」
「....」
デシウスにとっては死活問題である、ジーニとのお休みの日。それをめぐって策略を要した。何とも浅はかな考えだがこれもジーニの魅力がなした事である。
ファラは言葉を無くして踵を返して帰ろうとする。
「ファラ..」
「はい?」
「今のは聞かなかったことにするんだぞ...」
「私は何も聞いていません。ローズはただ魔窟を壊す英雄です」
「よし、よくわかっているな。くっくっく」
デシウスまるで魔王かと思うほどの怒気を含みファラを威圧して口止めする。
デシウスの思いつきの計画通りローズは魔窟へと旅立った。
「あら?お願いしなくても叶ったわね..」
グロリアも安心してソファーに寝そべった。
「当分はサボれそうだけど、冒険者ギルドに依頼が行っているのね。それなら私が動かなくていいか~」
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