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第六章 学園都市ブラウディア

第七話 アグリッサ困惑

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「ここがダインズ教会か」
「結構大きいね」

 稲ちゃんを植えてから次の日、ローズさんの情報で聞いたダインズ教会へ、来てみた。メンバーはローズさんとララさん。

 最近ララさんを構っていなかったから不貞腐れていたのでお願いしました。不貞腐れてというよりもどんよりとした目でなんか呪文を唱えそうだったから...。ヤンデレ怖い。

 ギルドマスターのファラさんはあんまり近づかないようにって言われたけど差別をやめてもらうにはまず何で差別するのかを聞かなくちゃ話にならないからね。

 という事で教会へ、ゴ~、

「これはこれは...加護なしの子供をあずけに?」

 司祭の男が僕らを見てすぐに声をかけてきた。しかし僕らはみんなピアスをしているのに僕だけを見て加護なしをあずける人だと判断したみたい。どうやって判断してるんだろう?。

「いいえ、私達は教会の歴史を知りたくて来たんです」
「お~それはそれは熱心な信者という事ですね。まあそれを知ってから加護なしをあずけていただいても結構ですしね」

 司祭はそう言って僕らを教会の中へと案内していく。

「どうか大司祭様私の子供に[キュア]を」
「ええい!うるさい。金のない者にかける魔法はないは!」

 教会に入るとすぐに叫び声が聞こえてきた。何だかやっぱり貧困で差別があるのかな。

「お金は渡したはずです」
「加護なしは通常の3倍払わんとダメだと知らないのか?」

「そんな!、ですが私は加護なしではありません」
「ふん!その毒に侵された子供は加護なしだろう?」

 息も絶え絶えの子供を指さして大司祭の太っちょさんが叫ぶ。僕は居ても立っても居られなくなって親子に声をかける。

「お話し中すいません。私はアステリア・ジーニという田舎の貴族です」
「え?はあ?」

「ここでは教会の方々に迷惑になるのでお外でお話ししませんか?」
「いや!しかし、私の子供が」

「僕が治しますから」

 僕が親子にしか聞こえない声で治すと言うと子供のお父さんの表情が緩み大人しく外に歩いて行った。僕もすぐについて行くんだけど大司祭にお辞儀をして向かう。

 大司祭はふん!って感じで奥の部屋に入っていった。

「司祭様、すいません。ちょっとあの親子とお話ししてきますのでちょっと待っててください」
「ふむ、加護なしのくせに良い教育がされているようですね。では用が済んだらダインズの歴史をお話ししましょう」

 司祭はそう言って経壇の経典をペラペラとめくり口を動かしてる。

「じゃあ二人共ついて来てくれる?」
「相変わらず優しいな、君は」
「ん、助けてあげなくちゃ」

 二人を連れて親子と話す為に教会の外へ。





「本当に治してくれるんですか?」

 僕らは親子を路地に連れてきた。

 子供のお父さんは目に涙を溜めて訴えている。僕らは笑顔で頷く。

「[キュア]とかってそんなに珍しい魔法なの?」
「そうだな。状態異常を回復する魔法は珍しい。特に呪い何て言うのは世界に一人いるかいないかだ」

 その一人は僕なんですねわかります。ではではお父さんがオドオドしてるからちゃっちゃと治しちゃおう。

「[キュア]」

「ん....お父さん。お腹空いた」
「ああ、カルル治ったんだな..」

 お父さんは頬ずりをして子供の無事を喜んでる。良かった良かった。

「ありがとうございます。これは心ばかりですが」

 お父さんは銀貨一枚と銅貨を数枚渡してきた。でも僕はいらないと首を横に振った。

「子供は治ったけどお金は治った後の生活に使ってください」
「!?、いいんですか?。ありがとうございます!。この恩は一生忘れません」

 親子は深くお辞儀をした。僕らは手を振って親子を見送る。

 


 ジーニ達の善行を見る者がいたそれは、

「グロリア様の言った通り、つけてきて正解でした。まさかあの歳で[キュア]を」

 路地を覗くその人物はアグリッサだった。だがアグリッサにも魔の手が。

「おいおい、へへ。こんな所に綺麗な姉ちゃんがいるぞ」
「何だ何だ?男でも漁ってるのかよ」

 5人程の男達がアグリッサを囲む。アグリッサはそこそこ強いが実戦は初めてである、それに男達は武器を持っている。アグリッサは怯えて尻もちをついた。

「人の顔見てそんなに怯えるなんてショックだな」
「ああ、ショックがでかすぎて僕ちゃん慰めてほしいな~」
「「「「「ハハハハハ!!」」」」」

 男達はアグリッサの様子を見て更に調子づく。

「じゃあ、そろそろ」

 男達の一人がアグリッサの腕に手を掛けたその時。

「待て!お前達何をしている!」

 ローズがアグリッサの前に立ち、男達をアグリッサから遠ざける。

 男達はニヤッと笑う。

「男が女にする事と言えばあれしかないだろ?」
「そうだよね?」
「「「「へへへ」」」」

 男達は悪びれもせずに言い放った。ローズさんはまたかとうなだれていると手の早い一人の男がローズに切り掛かった。

「ふむ、死にたいのか?」

「いててて!、何余裕こいてやがる」
「お前も俺達をたのしませるんだよ」

 ローズさんは振り下ろされた剣を避けて男の腕を取り手首をしめる。

「やっちめ、どうし!?...アグ」

 ドタッドタッ!っと男達は倒れていく。

 僕のお腹が大活躍。男達は至福の表情で気絶していった。

 ララさんが男達を縛る。ローズさんがギルドに連絡を入れて男達をあずけるとアグリッサさんが僕らにお礼を言ってきた。

「ジーニ様、それにローズ様とララ様。ありがとうございました」
「ううん、それよりも大丈夫だった?」

 アグリッサさんはキョトンとして頷いた。それよりも何でここにアグリッサさんはいたんだろう?。

「ん、アグリッサはジーニ様をつけてた。お仕置きする?」
「え?そうなの?」

 ララさんの指摘にアグリッサさんは顔を青ざめた。別に怒ってるわけじゃないんだけど。

「それならそうと言ってくれればよかったのに。そんなコソコソついてこなくてもついてきたかったらいってね」
「え?....」

 アグリッサさんは唖然として俯いてる、申し訳ない感じなのかな?。

「アグリッサさん、そんなに悲しい顔しないで。そんな顔見たら僕は悲しいよ」
「ジーニ様....」

 アグリッサさんの顔は紅葉した。何だか嫌な予感がしてララさんを見ると頬を膨らませてご立腹。ローズさんはヤレヤレって感じだ。僕なんかしちゃった?。

「じゃ、じゃあ、僕らは教会に行くからね。気をつけて帰ってね」
「は、はい~....」

 何だかアグリッサさんの目がハートだったような気がするけど....気にしちゃダメだ。早く教会いこう。

 教会に歩いていると僕の手を握ってきたララさんにつねられた。ローズさんは笑ってるし。もうどうしたらいいのん!。

 僕はつねられながら教会へと歩いて行った。





「あ~ジーニ様.....ダメよダメダメ、私にはグロリア様からの使命が!!....でもでもでも、なんて聡明で可愛いのかしら」

 アグリッサさんは路地にて身悶えた。クネクネさせるその姿はデシウスを彷彿とさせた。

 
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