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第六章 学園都市ブラウディア

第二話 ブラウディアに着きました

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 僕らはファストの町を出て一週間。

 ブラウディアが一望できる山まで到達した。ブラウディアはとっても大きくて六芒星の魔法陣のような城壁を築いてる。内壁が更に六芒星を描きその中に更に街があり、中央には大きな屋敷のような建物が見えた。

 お城はないみたいでたぶんその中央の建物が学校なのだろう?。

「すっごい大きいね~」
「そうだな。確か街としてはこの学園都市が一番大きいと言われているんだ」
「ほ~、凄い」
「ん、新しい本が見つかりそう」
「お勉強はあんまりしたくないよ~」
「フローラちゃんは私もサポートしますよ」
「じゃあ、ジーニ様は私が!!」

 デシウスが僕を後ろから抱きしめて頬ずりしてきた。シリカさんがデシウスの肩を後ろから鷲掴んで冷ややかな目を向けてる。

「..デシウス。この計算はできますか?」

 シリカさんが計算式を取り出した。デシウスはそれを見てうなだれる。

「こんな難しいの無理よ....何でこれを?」

 デシウスは不思議そうにシリカに質問した。しかしシリカさんは計算式の書いてあった紙をしまって勝ち誇った目をデシウスに向ける。

「何ですかその目は~」
「あなたではジーニ様の先生にはなれませんね。というかジーニ様には先生など必要ありません」
「え!?」

 シリカさんはデシウスに抱かれていた僕を引っぺがして自分の胸で抱きしめる。

 僕はフワフワな感触をニマニマして堪能してたんだけどふと視線を感じてララさんを見るとジト目を向けているのが見えて。顔をキリっと切り替えて決め顔をしたけどララさんは生気のない目になって本を読み始めた。ちなみに今呼んでいる本は[胸!!]という本である。ララさんの威厳の為に中身は教えないよ....。

 山から下りブラウディアの方向へ馬車を走らせていると後方から大きな声が聞こえてきた。

「どけどけどけ~」
「ちんたら走ってんじゃね~ぞ!!」

 道を少し外れて暴走馬車が僕らの脇を走り去っていった。何をそんなに急いでいるのかと疑問に思っていると更に後方から音が聞こえてきた。

「あれは?ゴブリンライダーですね」

 後方から犬の魔物に乗るゴブリン達がわんさかと追いかけてきた。たぶんさっきのチンピラみたいな人達を追いかけていたんだろうね。

「ジーニ様!!ここは私が。海ではあんまり強くなったところを見せられませんでしたしね」

 デシウスはジャンヌの強さを見てショックをうけ一人で旅をしていった。その時はアルサレムの戦いがあった時なのだがデシウスはその事を聞いてショックをうけてたけど次こそはと言って立ち直ってた。

 デシウスは馬車から降りて全身鎧と大剣をアイテムバックから取り出した。装着といってきているかのように瞬時に着た。

 大剣を両手でバッティングのように横に構えると、

「[神風烈波]!!」

 通常のスラッシュよりも幅の広い斬撃がゴブリンライダーに放たれる。風属性の魔法も纏っている斬撃は緑に輝き、犬の魔物の足やゴブリンの首など広範囲にダメージを負わせた。

 ゴブリンライダーたちは焦りそそくさと撤退していった。

「ふっふっふ。どうですか?」
「う~ん、10点!」

「ええ~何点満点ですか?100点ですか?」
「ううん、10点満点だよ!」

「あう~ジーニ様~いけず~。大好きです~」

 デシウスは僕のからかいに涙して抱きついてきた。頬ずりをするとすぐにキスをしようとしたのだがその場の全員に止められた。

 だけど擦り付けて行くなんてどんな人達なんだろうね...。これは抗議しなくちゃ。

 僕らはブラウディアに到着していく。







「ようこそブラウディアへ」

 門番の兵士さん達が僕らを歓迎してくれた。とても優しそうな兵士さん達に好印象。

「先程魔物を擦り付けられたのだが私達よりも先に来た馬車を見なかったか?」
「たぶん貴族の門にむかった馬車だろう。こっちには来なかったぞ」

「そうか...」
「まあなんだ。犬にかまれたと思って我慢してくれ....ってあんた[薔薇]のローズ様じゃないか?」

「ん?ああ、そうだが」
「あ~やっぱりそうだ。[薔薇]は国に属したと聞いてギルドや国のお偉いさん方が騒いでいたんだ」

 どうやら[薔薇]の戦力は色々な国から目をつけられていたみたい。グリンベイルンの王にも同盟が広まったのは凄いニュースになっているのかも。

「国というよりも個人に付いたのだがな...」

 ローズさんがそう言うと僕を一目見て頬を赤く染めた。

 う~ん、凛々しいお姉さんが照れで頬を赤くしている姿って何でこんなに可愛いのでしょう。僕もドキッとしちゃった。

「そうですか。では長々と申し訳ない。お入りください」
「ああ、ありがとう」

 兵士に促されると御者のローズさんが馬に合図をして歩き出した。

 門からまっすぐと歩いて行くと噴水広場が見える。内壁までの距離に二つの噴水広場がある。山から見た時、街全部が左右対称を意識しているのが伺えるので噴水広場も倍あるのが予想できる。

「確か、学園から指定された屋敷はここのはず....」
「大きいですね..」

 デシウスが声をもらした。

 屋敷は現代の体育館を二棟つなげたほどの大きさでアステリアにある僕の家と同じくらいだ。なんで驚いているかと言うと学園から指定されたという事である。

 やはり高位の貴族になると自然と屋敷もでかくなるのだが僕は王子とはいえ、とっても田舎の国の王子なんだよね。だからこんな大きな屋敷は過剰だと思うんだ。

 それに...。

「アステリア・ジーニ様。お待ちしておりました」

 屋敷に前で馬車から降りると複数のメイドと執事が扉の前で迎えてくれた。10人以上います。かなり過剰な接待感を感じる。

「えっとこれは...」
「学園長のアグリアス・グロリア様の命で今日からジーニ様のお世話をすることになりました。私はメイド長のアグリッサです。何なりとお申し付けくださいませ」

 シリカさんとは対照的な赤い長い髪の女性アグリッサさん自己紹介をしてお辞儀をすると後ろに控えていた執事とメイド達もお辞儀をしてきた。

 だけど僕にはララさんとシリカさんがいるからそんなにはいらないんだよね。とっても綺麗な人達だけど遠慮しようかな。

「お心遣いは嬉しいんですが、僕にはすでに二人の僕を思ってくれる人がいるので大丈夫です。学園長にはそう言ってください」
「...そうですか。では私だけこちらに残りましょう。これだけ大きい屋敷を二人では大変でしょうから」

 アグリッサさんが合図をするとメイドと執事が散開して門の前からいなくなった。だけど僕はアグリッサさんにも遠慮してもらおうと思って口を開く。

「あの、アグリッサさんも.」
「ジーニ様、さんなんておやめください。アグリッサと呼び捨てでお願いします」

 僕の両手を取ってウルウルした目で話すアグリッサさん。僕はドキッとして俯くと後ろから殺気が複数。

「ジーニ様」
「ん、女性に弱いのだめ」
「ジーニ...」
「ああやればいいのだな」
「ジーニちゃん」

 みんながジト目で僕たちを見てた。ヘリアは何だか学習を始めてる。

 むむ、僕はここで引き下がるわけにはいかない!。

「申し訳ないけどアグリッサさん!」
「では!本当の事を言いましょう」

 僕が男を示そうと思ったときアグリッサさんが遮り立ち上がって声を上げた。

「学園長はあなたを知りたいのです。私はそう言う使命でここに来ています。ここで私がここから追い出されたら私は路頭にまよってしまいます。どうか私を助けると思ってお願いいたします!」

 アグリッサさんが目に涙を溜めて土下座してお願いしてる。アウアウと僕は戸惑って後ろを見るとシリカさんが優しい顔で僕に頷いた。みんなは嫌そうだったけど仕方ないよね。

「アグリッサさん顔を上げてください」
「ジーニ様」

 僕はアグリッサさんの手を取って砂を払うとアグリッサさんを見つめる。

「僕はみんなを大切にしています。だからアグリッサさんも自分を大事にしてね。こんな地面に膝ついたら痛いでしょ」

 僕は軽く[ヒール]をかけてあげる。アグリッサさんの膝は少し赤くなってたんだけど元の白くて綺麗な足に戻って行った。

「では!いいのですか?」
「うん、今日からアグリッサさんも僕の家族だよ。みんなとは仲良くしてね」

 アグリッサさんはパァっと顔を輝かせて馬車の中の荷物を屋敷に入れていく。僕らも手伝うととても喜んでた。

 今日は家族が増えて僕は嬉しい。

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