上 下
138 / 252
第五章 兄妹の絆

第二十九話 復活のアダマイオス

しおりを挟む
 オークレが倒れた。

 しかしゾンビ達はまだオーク達のように消滅しない。彼らは未練を残している。例え術士が死んでも成仏していかないのだ。

 それはアダマイオスも同じ事、二体になったアダマイオスだがレイによって封印された。ジャンヌが予め魔法を封印する術を解いていたのだ。

「「オオクレガ...死んだ」」

 二体のアダマイオスが声をもらす。そしてレイの結界一杯に膨らんでいく。

「バブ??」

 レイは困惑する。結界がひび割れていきとうとう壊れた。アダマイオスの膨らんだからだはレイのいた付近にも流れてきて間一髪でアルデバランに救ってもらった。

 アルデバランはレイを抱えてアダマイオスから離れていくが足をつかまれる。ドロドロのそれは確かに肉体をもちアルデバランを宙吊りにした。

 二体だったアダマイオスは結界を破った後、一体に重なっていく。更に大きくなったアダマイオスはアルデバランを宙吊りにしたままアステリアへと近づいて行く。

「ジーニいいのか?」
「まだ...まだ大丈夫だよ。今ジャンヌが近づいてくるから」

 ライを見ていたアドスバーンは倒すのを見届けてすぐに戻って来てた。僕はまだ我慢してる。だってジャンヌが高速でこっちに向かってるのが見えたからね。

「アダマイオス!!もうオークレは死んだんだよ!こんなことしても無駄だよ!」

 ジャンヌはアダマイオスの前で叫んだ。だけどアダマイオスは足を止めなかった。

「何で!何でアステリアを」
「恨みがあるからだ!!」
「え!?」

 オークレの呪縛から逃れたアダマイオス。はっきりと発音して話すアダマイオスの目は生気のあるものだった。

「俺は生き返ったんだ。それはジーニを殺す為、ジーニのいない今ここにようはないが俺の国を滅ぼしたジーニが憎いんだよ!!」
「そんなのさせない!。ここにお兄ちゃんはいないけど私がいる。恨みを晴らしたいんだったら私にぶつけて!!」

 アダマイオスは私の言葉を聞いて「そうか、なら死ね」って言って自分の体をドロドロにしてまるでビックウェーブのような津波になり襲い掛かってきた。私は全属性の剣、エターナルソードでガードするんだけど包み込まれてアダマイオスの体内に封印されちゃった。

「はっはっは、倒せないのならば取り込めばいいのだ。俺に知能を持たせればオークレも死ななかったのにな~~」

 アダマイオスは高笑いをしてアステリアへ歩き出した。

「どうにかして出れないの?」
「(マスター私達を開放して解き放ってください。そうすれば道が開けます)」

「でもそんなことしたらあなた達が傷つくんじゃ?」
「(確かに私達は傷つくかもしれません。でも私達は自然と同じ、復活して帰ってきます。だからやってください)」

 聖剣エターナルソードの剣を見ると剣に精霊達の顔が映る。精霊達は覚悟を決めたのか頷いてる。

 私は涙して決意した。

「[リベレーション]!!」

 六つの色とりどりの光がアダマイオスの胸から上空へと放たれた。光は空に虹を作り消えていく。

 その光によってアダマイオスは両断された。しかしすぐに元に戻り前進をし始めた。

「出れたけど。変身も解けちゃった...これじゃ勝てないよ...」

 私は俯いて涙する。

 どうしたらいいのこのままじゃアステリアがアダマイオスに壊されちゃう。

 私はアダマイオスを見ている事しかできなかった。だけどその時ライとレイがアダマイオスを攻撃している姿が見えて奮い立つ。

「兄妹達が頑張ってるのに私は何で俯いてるの!!」

 私は立ち上がってアダマイオスを見る。するとその時聞こえるはずもない声が聞こえてきた。

「(ジャンヌ、ライとレイと一緒に頑張るんだ)」
「お兄ちゃん!?」

 私は幻聴を聞いたのかもしれない。私はやる気に満ち満ちていく。お兄ちゃんが私の生きる意味、お母様、お父様、それにライとレイが私の生きる意味。絶対になくしはしないの!。

 私はすぐに移動を開始してアダマイオスの前に腕を組んで仁王立ちした。

「「バブブ!!」」
「ごめん二人共、少し遅くなったね。でももう大丈夫お姉ちゃんがこいつを倒すから!!」

 アダマイオスは私の言葉を聞いてニヤっと嫌な笑顔をしてきた。その笑顔も今のうちよ!やってやるんだから!!。

「精霊達がいなくたって!!」
「「バブ!」」

 私はお兄ちゃんのようにマナで剣を作って切りつける。だけど水を切るような感触しかしなくてすぐに戻って行く。

「レイ!氷魔法!」
「バブ!!」

 レイによって氷魔法の[コキュートスブレス]が放たれる。アダマイオスの体は氷ついた。

 [コキュートスブレス]は絶対零度の吹雪である。液状になっていたアダマイオスの体を容易に凍らせていった。

「やったのね....」
「バブ~~」

 私達は安心して座り込んだ。レイは魔法の連発で少し疲れたみたい私の膝に頭を乗せ目を閉じてる。

「レイのおかげだね」

 私はレイの頭を撫でる。でもその時、

「ゾンビ達がアダマイオスに集まってる!!ライ!」
「バブ!!」

 アダマイオスに集まってきているゾンビ達をライが何とか退けよう切りつけていく。私もレイをその場に寝かせてライを手伝うんだけどただ前進してくるゾンビ達はアダマイオスの体に到達していく。

 ゾンビ達はアダマイオスの体に吸収されて行く。切りつけたり倒したゾンビの破片何かもズルズルとアダマイオスに引っ張られるようにして吸収してる。

「ダメ!、ライ!離れて。私はレイを連れてく」
「アイアイ!」

 凍り付いているアダマイオスから嫌な予感がしてきた。私はすぐにレイを掲げてアステリアの城壁へ。

しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

ラストダンジョンをクリアしたら異世界転移! バグもそのままのゲームの世界は僕に優しいようだ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はランカ。 女の子と言われてしまう程可愛い少年。 アルステードオンラインというVRゲームにはまってラストダンジョンをクリア。 仲間たちはみんな現実世界に帰るけれど、僕は嫌いな現実には帰りたくなかった。 そんな時、アルステードオンラインの神、アルステードが僕の前に現れた 願っても叶わない異世界転移をすることになるとは思わなかったな~

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。 その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。 ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。 それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。 そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。 ※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

処理中です...