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第五章 兄妹の絆

第十九話 美少女戦士!!

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 オークレはアダマイオスの体を縦横無尽に移動を繰り返す。私達はオークレから繰り出される幾つもの魔法を交わしながらオークレへと攻撃を繰り出すんだけどアダマイオスの体を傷つけるばかりだった。それは下に魔物を生むだけだった。

 アダマイオスの体は無数の魔物から出来ているのだ。アダマイオスから離れると自我を持ち魔物になっていく。

「ライ!、斬るのはダメ。レイも肉片を落さないような魔法を使って!」
「バブブ!」

 ライはそれならどうすればって焦ってる。でも私も同じ、どうすればいいのかわからない。

 その時、空から一本の剣がライの前に。

「お兄ちゃんの天雷の剣?」

 ジーニの天雷の剣をライは反射的に握りアダマイオスの肩を切った。アダマイオスの体は電撃で焼けこげて肉片が地上に落ちる事はなかった。

「そうか、傷口を焼くことで肉片が落ちないんだ」
「バブ!!」

 ライはどうすればいいのかわかり調子よくアダマイオスの肩を両断した。アダマイオスの左腕は地上に落ちていく。

「あらあら、腕を落してしまっていいのかしら?」

 オークレが笑みをうかべて告げる。私は悪い予感がして落ちていく腕を見ると腕の甲の全面に目玉がいくつも現れる。そして腕は叫び声をあげてツヴァイ達へと走り出した。

「な!、お父様の方へ!!」
「バブ!!」

 レイがアダマイオスの左腕を[マジックバリア]で行く手を阻む。[マジックバリア]は透明な魔法の壁を作りガードする魔法である。それを四方に展開されて左腕はガリガリとバリアに爪をたてる。

「ふう....レイ?幾つあれが出来る?」
「ン?.....バブ!」

 ジャンヌの質問にレイは両手を広げる。すなわち10個、あの[マジックバリア]が出来るようだ。

「ok。ライ!!」
「バブバブ!!」

 ライは残りの腕と両足を切り落とす。すると先ほどと同じように腕と足は魔物になっていく。

「バブバブ!!」

 たちどころにレイによって動きを止められる。

「ふふふ、勝ったつもりかしら?」
「まだ何かあるって言うの?」

 足も切られてしまいアダマイオスはアルデバランよりも小さくなってしまったのだがアダマイオスが痙攣し始めた。

 そして、

「さあ!可愛い可愛いアダマイオス!再生しなさい!」
「ジーニ...コロス!」

 オークレの指示を聞いたアダマイオスはジーニの名を叫び切断された腕と足を再生させていく。

 アダマイオスは元の大きさまで再生するとアルデバランを押し込んでいく。

「やっぱりサクリファイスキメラと同じなんだ....じゃあ再生できないくらいの...ロード!やるわよ」
「イエス、マスター」

 ジャンヌはエレメントロードと重なっていく。変身特有の光が辺りを照らす。

 ジャンヌは光をバックにシルエットを残し六色のドレスを着たボン!キュッ!ボン!の美少女に変身していく。

「美少女戦士ジャンヌ!!これでお兄ちゃんも悩殺だよ」
「「バ~ブ~....」」

 可愛くポーズを決めるジャンヌにライとレイは呆れて首を横にふる。

「あらあら、そんな事も出来るのね。でも成長したからってアダマイオスには勝てないわよ」
「それはどうかしら!![マイクロ波ヒートアップ]!!」

 皆さんご存知のレンジでチンを魔法でやってみました。マイクロ波はわからないのでアストラル粒子を超振動させてみました。アストラル体の事をフェイクに聞いた時に精霊たちに調べてもらったのです。そして今度フェイクのような敵が出た時に使えるようにしようと思ったんだ~。凄いでしょ?

 アダマイオスの体内を高速で駆けまわるアストラル粒子。アダマイオスは皮膚がただれて崩れ落ちていく。

「ぎゃ~~。私の体が...」

 アダマイオスの体内に入っていたオークレが悲鳴を上げて出てきた。オークレの肌はアダマイオスと同じようにただれて零れ落ちる。

「くくく、アハハハハハ」
「とうとう狂った?」
「バブバ?」

 オークレは崩れる顔を抑えながら立ち上がる。なおも高笑いを止めないオークレにライの[スラッシュ]が放たれた。

 ザシュ!

 剣戟はオークレの首を両断した。しかし何事もなかったようにオークレはこちらを見て笑みをうかべた。

「一流の死霊術士は死なないのよ。そしてこれからが本番」
「負け惜しみ?」
「「バブバブ!!」」
 
 オークレが強がりを言ったと思った瞬間縦揺れの地震が発生した。

 ドーーーン!

 地揺れの後、まるで10tトラックが事故を起こしたような音が鳴り響いて、音のした方を見やるとアルデバランが天高く舞い上がっていったのが見えた。

「アルデバラン....何が起こったの!」
「ふっふっふ。恐怖しなさい!私達、死霊術士の力にね」

 オークレの周りを人の顔の火が舞う。幾重にも重なるその火はまるで終焉を彩るようだった。
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