上 下
122 / 252
第五章 兄妹の絆

第十三話 ゾンビ進軍

しおりを挟む
「おお、ジャンヌ様どうだか?」
「ちょっと危険です。皆さん避難の準備をしておいてください」

 村長にいまの状況を伝える。発生源もわからずただただこちらに向かってくるゾンビ達。討ちもらしもあるだろうしこのまま村の人達を住まわせるのは愚策とふんだ。

 夜も遅くなってきたのもあるけど村の人達はとても怯えてる。

「光の精霊!ここら辺一体を照らして!」

 私は光の精霊に太陽になってもらう、明るくなればみんなの不安な気持ちは吹き飛ぶと思ったの。みんな明るくなると顔も明るいものになってきたから大丈夫だと思う。

 ある程度避難の準備ができるとみんな就寝していく。

「ジャンヌ様達はお休みください。私達が見張りに立ちますので」

 私が見張りに立とうと思ったんだけど見張りくらいはできますって言ってきたのでお言葉に甘えて休む。

 この日は何事もなく朝を迎えられた。ゾンビは移動が遅いから大丈夫なんだよね。







「アドスバーンのルーズだ。ツヴァイ王はいらっしゃるか?レイ姫から念話で伝わっているはず」

 アステリアへと走っていたルーズとフーズは日が落ちてすぐにアステリアに着いた。

「連絡は受けている。今出立の準備をしていた」

 [薔薇]のガルドが双子を迎える。ガルドと他のメンバーは出立の準備を始めていた。

「死霊術士が現れたのだろう。発見されたエリアはアドスバーンと隣接している。アドスバーンにも手紙をだせ」

 アドスバーンにも知らせを走らせ包囲殲滅する有無を伝える。そして明け方にはデイブ村へと出立していった。

 ルーズとフーズも一緒に向かい、先にデイブ村に着くとジャンヌ達に褒められ頭を撫でられたがとても嫌そうな顔で頬を赤く染めていた。








「オオクレ、オオクレ」
「はいはい、アダマイオス。どうしたの?」

 アダマイオスゾンビがオークレにまたおねだりをしている。仕方なくオークレは少しずつ与えるのだが。

「ふふふ、アダマイオスも大きくなってきたわね。そろそろ全部上げてもいいかもしれないわ」

 当初アダマイオスはもちろん人間サイズであった。今では4メートルの体躯になっている。これ以上大きくなられるとこの隠れ家に入りきらないほどになってしまう。

「大鍋を外には出せないから。最後はこの隠れ家ともおさらばね」

 ため息にも似た息をもらす。オークレは完成したアダマイオスを想像して身悶える。フェイクの完成させたサクリファイスキメラよりも強力な個体になるだろう。

 フェイクの完成させたサクリファイスキメラは所詮は人間の死体だ。しかしオークレの用意した物は魔物の死体。それも強力な状態異常をもたらすコカトリス、そして強靭な体躯の竜の仲間のドレイク。どれもこれも人間を遥かに超える存在である。

「もう待てないわ。全部食べちゃいなさい!」
「オオオオ~」

 アダマイオスゾンビは大きな鍋を抱え込む。火がかけられていたので鍋に接触している部分が焼けこげているが構わずに鍋の中身を飲み込んでいく。見る見る鍋の中身がなくなっていき、それに比例してアダマイオスゾンビの体躯がどんどんと大きくなっていく。

 人型だったアダマイオスゾンビは尻尾や翼が生える。尻尾は別の生き物のように動き回り。翼は所々穴が開いていてとても飛べる代物ではない。

 大きくなったせいで隠れ家を突き破る。大きな翼を羽ばたかせるが飛べない、なので手で隠れ家を壊して外へと這い出ていく。

「ふふふ、さあ、行くわよ!」
「オオクレ、ジーニハドコ!」
「ついてくればいいのよ」

 とうとうオークレは動き出した。オークレは自分の全配下を召喚して進軍していく。

 総勢3万の死霊の群れは不気味な声を上げてまっすぐにアステリアへと進んでいく。

 先頭を歩くのはオークレを乗せた身長10メートル程になったアダマイオスゾンビである。まるで巨人かと思われるアダマイオスゾンビの外見は皮膚がうねうねと別の生き物のようにうごめきとても不気味である。

 ジーニのいないアステリアに最悪が訪れる。 
しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

処理中です...