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4章 惆悵と本懐

4話 

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白い、どこまでも白い空間の中には、不釣り合いに思われそうな大きな噴水がある。どこか、不透明な不確かなその噴水は不釣り合いに見えてその空間ととても馴染んていた。そしてそんな噴水の淵に、噴水の中を覗くものがいた。
その様子を遠目から見ていたものは、仕方ないなと言うような小さなため息を落としながらその者へ近づいて声をかけた。

「あの子、頑張っているわね」

白い空間の中に存在するのは大いなる存在であるものたち、、、。名は無く、人々つけた総称で言えばその存在は神と呼ばれるものたちだ。

声を掛けたが、返事はない。それがわかっていたのか、彼女は話を続ける。

「、、、」

「あなたが一等気に入っていた子だものね。はこんなに綺麗な「黙れ」、、、はぁ、心配なら、加護でもあげればよかったのに、本当にあなたって創造神様に忠実よね。少しぐらい贔屓してもあのお方は怒らないわよ」

「、、、、」

「はぁ、本当に無口なんだから」

呆れたようにため息をつき、もう一度水面に目を落とした。不安そうで、弱々しそうなその魂は以前と違い、光り輝いている。家族との仲が少しずつ解消され、フランの心が強くなるにつれその光は強さを増し、そして彼が本来持っているも増し続けている。

「、、、」

「はぁ」

顔は無表情だが、長年の付き合いで彼がどれだけ彼を心配しているのかはわかる。そんなに心配なら少しぐらい助けてもいいのだろうに、、、堅物なのも考えものだ。

「早く幸せを掴んで欲しいものね」

そう言って彼女はその空間から姿を消した。











フッと意識が上がる感覚がして目が覚める。毎日同じ時間に起きているからその習慣のせいだろう。のそのそと重たい体を起こし少しぼーっとするが、自分のいる部屋を見渡し昨日何があったのか思い出し一瞬で目が覚めた。
隣を見るとロイドは居らず、つれて行かれたのかと急いでベットから出た。

「!ロイド、、、」

「!フラン様、おはようございます」

扉を開けた先にロイドはいた。いたが、ロイドだけでなくアスセーナもだ。

「私はこれで失礼する、お前から説明をしておけ」

「あぁ」

アスセーナはそれだけ言うと部屋を出ていってしまった。
ロイドはフランが心配そうにしているのを気づいたのか優しく微笑んだ。

「大丈夫です。何かされたわけではなく今後の話をしていたのです。」

「今後の話?」

「えぇ、あと数日すれば数刻ですがこの城が手薄になります。その際にこの城から抜け出します」

「わ、わかった」

「ただ、アレリア国まで徒歩で一ヶ月以上かかります。それまでは別の名を使いフラン様に対し、きやすい対応をしてしまうかもしれないのですが、、、」

申し訳なさそうに言うロイドに、?が浮かぶが、確か彼は平民出身だったと思い出した。

「大丈夫、気にしない」

「ありがとうございます。俺の魔力が多く、魔法の才能があれば転移魔法でもっと早く帰れたのですが、、、」

「て、転移魔法、、、それは、、、、」

転移魔法を使えるものはフランが知る中で数名だけだ、兄であるアルディナ、魔法の祖と言われるヘアセアクレイ、噂だが遠い国の王様も使えると聞いいたことがあるがその程度だ。この魔法は多くの魔力とその地点への明確なビジョンが必要で失敗すると異空間から急に引き離され体がバラバラになったり、時空の間に取り込まれ出られなくなるとか、危険が高いのだ。だからこそ転移魔法よりも転移陣が使用されており、そちらの方が安全性と魔力消費量を抑えることができるため使用されているのだ。

「それは、俺にも言えるから、、、それに、俺だけだったら国まで戻れない、、、だから、ロイドがいてくれて、よかった」

「!、、、フラン様。必ずお守りします」

「う、うん」

真剣な眼差しで安心するように、本当に大切なものを守るかのような瞳に少し、胸がざわついた。

「あの男が朝食を持ってきてくれたので、食べましょうか」

「え、あ、うん。食べる」

今までにない感覚に?が浮かぶが朝食に誘われたため疑問を隅に追いやった。
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