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序章 きみが灰になったとしても
第50話 きざはしからの落下
しおりを挟む森人族が治める国は大きく分けて二つある。
ミドラスノヴァとハリトノヴァの両国だ。
当たり前の話だが、それぞれ別の国王が各々の国を統治しており、北に位置するミドラスノヴァはファルディア王が、南に位置するハリトノヴァはギベオン王がその頂点に君臨している。
ノウト自身、スピネのもと特使的な役割でハリトノヴァに訪ねたことはあるが、その際は入国して関所を通ってすぐのところで足止めされた。
森人族はどの種族よりも勇者を忌み嫌っているのだ。
その理由は、森人族という種族の歴史の中にある。森人族は神歴が始まってから今この瞬間に至るまでに二度、勇者によって絶滅に追い込まれている。
文献には、森人族を襲った二度目の侵攻では〈熱〉の勇者と〈氷〉の勇者によって地獄のような凍土と化したとある。五百年以上も昔の話だが、今なお、森人族の勇者に対する憎悪の念は薄まらない。
ノウトを含む、チギラやレティシアら勇者一行は不幸中の幸いとは言えるのか分からないが、ハリトノヴァには立ち入らなかった。主な被害はシュンタイ、それからモファナくらいだ。ノウトは直接手を下してはいないが、ノウトの仲間は多くの民を犠牲にして歩を進めていた。
勇者は言わば、歩く災害だ。
それを忌避するのも当然の話で、ミドラスノヴァはいわゆる勇者を忌避した結果生まれた国とも言える。
先述した通り、森人族は勇者によって滅ぼされかけたが、この時、意志を違えた森人族達はそれぞれ住む場所を北と南に分けた。
勇者を追い払い、森人族を滅亡から救った魔皇側につく南のハリトノヴァと魔皇に支配されんとする為に北へと向かったミドラスノヴァだ。
森人族自体は魔皇の百族協定により友好的な関係を築いているがハリトノヴァとミドラスノヴァでは魔人族に対する態度は丸っきり異なる。
ハリトノヴァは猫耳族や血夜族など殆どの他種族に対してはあまり好意的とは言い難いが、魔人族に対してだけは友好的な態度を見せる。
対してミドラスノヴァは自らの種族、森人族だけを重んじてそれ以外の種族にはかなり排他的な姿勢を保っている。
栄枯盛衰の果てに生まれた森人族の双国ハリトノヴァとミドラスノヴァ。更に古い歴史を辿るのならば、灰森族の存在も森人族という種族を語る上で欠かせないが、冗長は停滞を生むので今回は割愛したいと思う。
さて、話がそれなりに長くなってしまったが、今現時点でノウトとニコが踏み入っているこの大地こそ、件のミドラスノヴァの領土に当たる。
「これ、不法侵入だよなぁ……」
「勝手にセンドキア入ってきといて何言ってんのさ」
「それとこれとはいろいろ違うだろ」
「まー、同じって言われたら困るけどね」
ノウトとニコは樹海の中をさまよっていた。上を見上げても木の影で隠れて太陽の姿がしっかりと見えない。微かに見える木漏れ日で昼か夜かくらいは分かるが、太陽を用いて方角を知ることは難しそうだ。まさに樹海といったところで、天高く伸びていく樹木はまさに圧巻だ。
ハリトノヴァとはまた違う樹木の種類であるのは確かだが、大きさが一線を画している。真上を見上げても木の幹の先が見えないほどだ。
ニコが持参したコンパスを頼りにひたすらに南西方向へと進んでいるが、コンパスがなくなりでもして方角が分からなくなったら本当の意味で詰んでしまう。
「そもそもここってほんとにノウトの言うミドラスノヴァってとこなの?」
「確信はない。もしかしたらハリトノヴァという可能性もある」
「えっ、だめじゃん」
「けど、大地掌握匣の地図は頭に叩き込んでるんだ。センドキアから南に進んで国を出たならとにかく南に進めば間違ってはないはず」
「ちょっと心配だなー」
「行くあてのないニコが文句言える立場か……?」
「ボク自身の目的は達成できたからもうボクは満足なんだよねー」
「センドキアから出られたらそれでいいのか?」
「うん」
ニコは進行方向に顔を向けたまま頷く。
「そのためにずっと準備してたし」
「その理由は──」
「はい、聞いちゃダメー」
「……知ってた」
ノウトは少しだけげんなりしつつも森の中を歩き続けた。
「その帝都ってとこであやかろうかなー」
「まぁ、俺が魔皇様に説明すればなんとかなるとは思うよ」
「えっ、ノウト、魔皇と知り合いなの?」
「あれ、言ってなかったか?」
「いやボクすっごく運いいな。今まで落ちに落ちてきたぶん反復的な上昇が半端ない」
ニコはノウトにぎりぎり聞こえるくらい小声でそう言った。
「なにはともあれ早く帝都に行かないとねっ」ニコは元気に跳ねる。
「……調子いいなぁ、ニコ」
正直、もう歩き疲れた。何キロくらい歩いているのだろうか。二十キロくらい? いやそれ以上か。というかさっきからずっと同じ景色だから進んでいるのかも分からない。確かに進んではいるはずだ。でも、これは進んでいるといよりは、さまよっているの方が近いのかもしれない。というか。もしかして、これ迷ってる? いや、迷ってるもなにもコンパスを頼りにずっと南西に向かっているだけだ。途中、大きな亀裂が走っていて足を止められたけど、迂回してなんとか進むことはできている。
ただ、こうも暗くて樹木に歩けど歩けど樹木に囲まれているこの景色が変わらないとなると、こう、気分がどんよりとなってくるのも仕方ないと思う。
「ねー、ノウトー」
「ん?」
「そろそろ休憩しなーい? ボク疲れちゃって」
「おう。じゃあちょっと休むか」
ニコの提案を快く受け入れて、ノウトは地面を這うように埋まっている巨大な樹木の根に腰掛けた。
ニコは少し離れた場所の幹に背中を預けて、目を瞑った。ノウトはその様子を見てから、自分の手元に視線を落とした。〈紋章〉は相も変わらず輝きを放っている。五芒星の角は二つの光を保っていて、今でもあいつはレーグで生きてると思うと確認できる。
ふぅ……、とひとつ息をついてニコと同じように目を瞑る。そして、小声で呟く。
「……大丈夫だ」
大丈夫。ノウトはなんだかんだ今までいきてこられた。きっと、これからも大丈夫。そのはず。信じろ、自分を。そして仲間たちのことを。ニコだって、少し自分本位なところはあるけど良い奴だ。センドキアでよほど嫌な思いをしたのだろう。センドキアから出ること自体が目的と言ってたけど、どういう意味だろう。
それをいつか、知るときが来るのだろうか。
◇◇◇
「よっ」
「ひぁっ」
俺がバルコニーの下から顔を出すと、アリスは少し後ろに飛び退いて、か細い悲鳴をあげた。それから、俺の姿をちゃんと確認できたのか、頬をふくらませて恥ずかしげに怒りだした。
「ちょっ、ちょっと…。びっくりしてお尻ついちゃったじゃん」
「悪い悪い」
俺は柵の上に腰をかけた。下から吹き上げるそよ風が前髪を撫でる。
標高約四百ウェルトにも及ぶこの王城はノヴァリシア王国の中央に佇立する巨大な樹の上にもとからそこにあったかのように建てられている。
「そんなことしてて、いつか落ちても知らないよ?」
アリスのいる部屋まで俺はいつもバカ高いこの巨木をよじ登って来ている。そうでもしないと、俺みたいな灰色エルフはアリスのような純血のハイエルフには絶対に会えないからだ。
ここでこうして話していることが露見でもしたら俺の打ち首は確実だ。その日の内に見世物として処刑されるだろう。
「はっはー。木登りだけはこの国で一番を自負できるからな。万に一もそんなこと起きないよ」
「ふふ。どうだか」
アリスは口を抑えて小さく笑った。アリスは、いつ見ても美しくて綺麗だ。贔屓目なしにエルフの中でも一番だと断言出来る。
透き通るような白皙に、流麗たる銀色の髪は初雪のように儚くて憂いを帯びていて、一層輝いて見える。空色の瞳はその目を見る誰もが魅了されるだろう。口では決して言えないが、そんなアリスを俺は好いている。叶わぬ恋だと知っているが、その心境とは逆にこうして会いに来てしまってる。
俺はバルコニーの柵から降りて、床に足をつけた。
「その衣装、新しいやつか?」
「叔母様がくれたの。でも、よく気付いたね。前とちょっとしか違わないのに」
「目には自信あるからさ」
アリスはドレスの裾をつかんでふりふりと揺らしてみせた。それから、少し間をあけてよそよそしい態度で俺を見つめる。
「……えっと、どう?」
「どうって?」
「その……」
幾分か俺より小さいアリスは上目遣いで俺を見た。
「似合ってるかなぁ、って」
「あー……」俺はぽりぽりと頬を搔いた。「似合ってるんじゃない?」
「なーにその曖昧な答え」
「似合ってなくもない」
「曖昧さは全く変わってないよ」
アリスは腰に手を当てて頬を朱色にした。ご機嫌ななめらしい。俺としても、褒めるべきだったのは重々承知だけど、そんなに簡単に褒め言葉は口から零れてくれない。
「そこで立ってないで入ったら?」
「いや、さすがにそこまでは……」
「ここまで来て何言ってんの。入って入って」
「ちょ、ちょい…!」
アリスは俺の手を強引に引いてバルコニーから部屋の中に入った。その瞬間、柑橘系のいい香りが鼻腔を掠めた。天井から吊り下がってるかごの中に果物が入っているようだ。
「バレたらまずいって」
「勝手に登ってきて侵入しといて今更すぎるでしょ」
「それは否定出来ないけどさ」
「わたしも暇だからもう少し話し相手くらいなってよ」
「分かったよ」
俺は入ってきたバルコニーの方を一瞬だけ振り返って、それからアリスの部屋の中を見渡した。落ち着いた部屋だ。とても王族のものとは思えないくらいさっぱりとしている。壁にそなえつけられた棚には木製の調度品が置いてある。
「にしても、相変わらずいい部屋住んでるなー」
「そうかな」
「うん、俺の部屋の五倍…、いや十倍は大きいね。絶対」
「あれ、そんなに小さかったっけ、きみの部屋」
「小さいとか言うなよ。前来た時のこともう忘れたのか?」
「覚えてるけどさ。わたしには小さくは感じなかったよ?」
これが皮肉でも嫌味でもなんでもない、ただの本心なのだから、アリスには頭が上がらない。
「また行きたいな、城下町」
「おー、行くか? いつでも連れてってやるよ」
「って冗談」
アリスは小さく笑ったけれど、明らかに苦笑いというか無理をしている笑い方だった。
「知ってる」
俺も同様に顔を逸らして頷いた。アリスが城から簡単に出られないのは分かっている。城から出ること自体が罪なのだ。そんなのおかしい。おかしいに決まってる。
でも、なんの権力も地位も財産もない俺が口を挟めないことも、それと同じくらい当たり前で、目の前で寂しそうにしている女の子ひとり救えないのも、また当然なのだ。
「王女様」
こんこんと、扉がノックされて、それとほぼ同時に扉の向こうから声が聞こえた。女性の声だ。俺は慌てて足音を殺して部屋から飛び出るように駆けて、バルコニーの下側にへばりつくように滑り抜けた。
「入っていいわよ」
アリスが言うと、扉が開けられた音がした。
「さきほどまで誰かとお話しておりましたか?」
「い、いえ」
「そうですか。失礼、話し声が聞こえたもので」
「……えっと、独り言です。気にしないで」
アリス、嘘下手だなー……と俺は思いつつも盗み聞きを続けた。
「王との面会がありますのでご準備を」
侍者らしき女性が言うと、アリスは少し間を置いて、口を開いた。
「分かったわ。今行くと伝えて」
「かしこまりました」
そう言って女性は部屋から出ていくのが分かった。もし侵入がバレたらもう二度とここに来れなくなるかもしれないので、今日のところは帰ろうと城の外壁を降りていく。
ふと、上を見上げるとアリスがバルコニーで手を振っているのが見えた。俺は手を振り返そうと片手を離した。
「あ」
見えなかったけど、多分アリスも俺と同じ顔をしているだろう。
片手を離した結果、当たり前のように壁から離れて、俺は真っ逆さまに落下していく。重力に導かれるまま風を感じて、それでも頭にあるのはアリスのことだけだった。
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