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第3章

162. 従兄弟

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僕の自己紹介にフラン様とシトロ様以外は「小さいタインがいる…。」と話し始めた。

「(やっぱりそんな似てるんだ。)」と思っているとキーワ様に「フェンネル君はとてもタインに似てますね、驚きました。」と話し掛けられる。

「あっ…そうですね、髪の色も目の色も一緒ですしね。」と答えると「でも纏ってるオーラは少し違いますね…。フェンネル君のオーラは緑と青…タインは赤と青ですから。」と言った。

僕はその言葉の意味がわからず不思議な顔をしているとタイン様に

「キーワはエルフの血が4分の1入ってるからそういうの見えるらしいよ、フェンネルは緑と青か~…冷静さと温厚ね、フェンネルっぽい。」

と納得される。

「(へぇ~そうなんだ、でもさすがに僕が転生者ってことはわからないよね?まぁ別にバレても問題はないんだけど、なんか全部見透かされるかもって思うと怖いな…。)」

と思いながら黙々と夕食を進めた。

それから、次々と合流する子供達の自己紹介が始まり、僕はメモを取りながら名前を覚えるのに必死だった。

この家にいる子供は全部で6人。年齢的に、もう子供ではない人もいるが一括りで言うとそうなる。

まずフラン様の子供が2人。実はもう結婚して家庭があるのでこの場には来ていなかった。双子で22歳。

次はシトロ様の息子、クレメさん。19歳で王都で働いてるみたい。シトロ様に似て体格がよく、人懐っこさのある人だ。

そしてキーワ様の息子、クローブさん16歳。魔術学校卒業後、その才能を生かした職種に就いているそうだ。詳しくは教えてもらっていない。

アダン様の息子はマツリカさん15歳。華奢な体格に叔父様と同じで銀髪。今後は教師を目指すらしい。

スクリュー様の息子はアラビ君11歳。騎士団に所属していて今は体力作り中だとか。騎士団の宿舎にいるのでこの子もここにはいない。

なので、ここにいる僕と1番歳が近いマツリカさんが親切に色々と教えてくれている。見た目も似ていることから一緒にいると本当の兄弟みたいに見える。タイン様も2人一緒に並んでー!と何故か言ってくる。僕達は苦笑いになりながらリクエストに応えた。





夕食後、マツリカさんが部屋に招いてくれた。

「フェンネル君、長旅疲れたでしょう?紅茶をどうぞ。」と言って差し出してくる。

僕は「ありがとうございます。」と受け取るとそれをゆっくりと堪能した。

「美味しい…。」と思わず呟くとマツリカさんは「良かった。」と喜び、2人の間にゆったりとした時間が流れる。

「この茶葉はこの辺りで採れたもので私が1番好きなものなんだ。飲んだときにフルーティーな香りがするのが分かった?実は茶葉の中に果皮が混ぜられていてその分、あっさりと飲めるし、砂糖を入れなくても十分甘い。疲れた時とか眠れない時に飲むととてもいいんだよ?」

と話すマツリカさんの表情はとても楽しそうだ。

「確かに柑橘系の香りがしました。僕もこの紅茶、好きです。美味しいですね…マツリカさん、紅茶が本当にお好きなんですね。」と笑うと「あっ!ゴメンね、ちょっと興奮しちゃって…。お父様とお母様には内緒にしててね?」と言われた。

「えっ?でも紅茶が好きなことは悪いことじゃないですよ?」

「…そうなんだけど、家族はコーヒー派なんだ。だから私は1人の時に紅茶を飲むようにしてる。こうやってお客様に披露できるのも嬉しいよ。」と少し悲しそうな顔をした。

「(そういえば、マツリカさんが紅茶を淹れる時は一から茶葉をフィルターに入れてたなぁ…。かなり手間をかけてくれて作ってくれたんだ。)
そうなんですね…わざわざありがとうございます。」

そう答えると笑顔で返してくれた。

それから少し雑談をして僕は部屋に帰ってきた。

「(マツリカさん、凄く良い人だったなぁ…でも紅茶好きなこと内緒にしてるんだ…でもそれってなんか寂しい…皆と共有できたらもっと楽しいと思うんだけど…。)」

僕はそんなことを考えながら眠りについた。







次の日の朝食時、僕はコーヒーが出ていたにもかかわらず、思い切って「朝は紅茶が飲みたいです!」とワガママを言った。

すると叔父様が

「え~…紅茶ってあったっけ?フラン、知ってる?」

「いや、この家にはコーヒーしか置いてないと思うが…。キッチンに聞いてみるか?」

「そうだね、お願い。」

そう言って確認の為にフラン様が立ち上がった。するとマツリカさんが「フランお父様!あの私…私が持ってます。」と言って慌てて立ち上がった。

「えっ?そうなの?マツリカ、紅茶が好きなの?」と叔父様が聞くとマツリカさんは恥ずかしそうに「はっ…はい、実は。」と答えた。

それからマツリカさんは自分の部屋にあるティーセットを持ってきて、順番に淹れ始めた。すると他の人達も「せっかくだから私達も貰おう。」と言って結局、全員分を用意することになった。マツリカさんはこんなに沢山の量を淹れたことはないようで大変そうにしていたが、その顔はとても嬉しそうだった。
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