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第3章

149. 久しぶりの再会

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その時「何をしてる!」と大声で怒鳴られた。驚いて振り返るとこちらを睨み付けるカラマス君の姿があった。傍らには可愛らしい女性を連れている。

カラマス君は最初、僕達を睨みつけていたが僕に気付くと驚いた顔をして「フェル!」と叫びながら駆けてきた。僕は「(あっ…あの女性、放置でいいのかな…?)」の思いつつ「カラマス君、久しぶりだね。」と声を掛けた。

「フェル、どうしてここに?」とカラマス君は驚きながらも嬉しそうな顔をしている。

僕は久しぶりの再会に笑顔になると「実は僕、冒険者ギルドに登録したんだ。だから依頼を引き受けたんだけど、その先がカラマス君の家で。」

「そうか…それでこの庭を…綺麗にしてくれてありがとう。それにしても久しぶりだな、約2年振りか…長いな。」

「でも、手紙のやり取りはしてたでしょう?」

「それでもフェルの姿は見れないし、声も聞けない。こうやって触れることも出来なくて俺は寂しかったよ…。」

そう言ってカラマス君は僕の手を握った。

すると「何をなさっているの!?」と先程の女性が声を荒げた。

「カラマス様!私には触れて下さらないのにその方には触れるのですね?」と怒っている。

その姿に僕はパッとカラマス君の手を離すと「あっ…初めまして、フェンネルと申します。失礼致しました。」と頭を下げた。

「…挨拶は宜しいわ。貴方と仲良くする気はありませんので。」

と鋭い目で睨み付けられる。

僕はその視線にビクッとすると居た堪れず視線を逸らした。それに反応したのはカラマス君だ。

「ベリー!なんてことを!失礼だぞ!」

「そうかしら?だってこの方と今後会うことはないでしょう?なら仲良くしなくたって問題ないはずよ。」

次にその言葉に反応したのはベイローレルさんだった。

「おい!貴族だから何言ってもいいってわけじゃねぇぞ!その言葉、撤回しろ。」

「まぁ酷い言葉遣いね。だから平民は嫌いなのよ。」

そう言ってお互いに睨みつけている。

「ベリー、やめろ!
フェル、よかったら屋敷で休んでいかないか?草むしりをして疲れただろう?」

カラマス君の提案はありがたかったが魔法を使ったので殆ど疲れていない。それにこれ以上、ここにいたらベリー様をもっと怒らせそうだ。

「いや…気持ちは嬉しいけど、カラマス君も先約があるみたいだし僕達はこの辺で帰ることにするよ。もう依頼も終わったし、ねぇベイローレルさん。」

「…ああ。そうだな。」

「じゃ…じゃあ明日!明日の午前中、時間を作ってくれないか?」

とカラマス君が珍しく引き下がらない。
その様子に驚きつつも「えっ…?ああ、少しだけなら大丈夫だよ。」と答えた。

「ありがとう。じゃあ明日、宜しくな!待ってるから!」

そう言われ、カラマス君の屋敷を後にした。

僕はベイローレルさんと帰り道を歩いている時、気付く。

「あっ!依頼完了のサイン忘れちゃった!」







ガックリと肩を落として姉様の家に戻って来た僕達は貸してもらったそれぞれの部屋でゆっくりしていた。

すると部屋に姉様が訪ねてくる。

「フェルー!さっきはありがとう!素晴らしい時間だったわ!」

と抱き締められた。

「フフッ姉様、苦しいよ。あれで良ければいつでも。それにまだ最後までやってないしね。最後までしたらまた報告するね。」

「ホント!?嬉しいわ!フェルが10歳になったら報告してね!」

と姉様はニコニコしている。

「それにしても姉様、どうしたの?何か質問?」

そう言うと姉様は途端に真面目な顔になった。

「ええ、カラマス君のことや獣人さんのことをどう思ってるか詳しく聞こうと思って。最初は好奇心だけで聞こうと思ったけど、やっぱりフェルのことが心配だから今後どうするつもりなのか考えてることを教えて欲しいの。」

僕は少し考えてこう答えた。

「うん…そうだね。兄様をはじめカラマス君や獣人のサックルさんは僕に好意を寄せてくれる人達ばかりだったから正直、僕って流されてるのかな、って思うこともあった。でも自分の気持ちを改めて考えた時にカラマス君やサックルさんが自分から離れたら…って思うと凄く寂しくなったんだ。だから………僕はカラマス君やサックルさんのことを好きなんだと思う…ただ重婚することは相手の了承が得られないと出来ないことはわかってるから判断は相手に委ねようと思う…。」

「そう…。フェルなりに考えているのね。重婚の大変さは私にはわからないけれど、少なくとも私の経験からでは、わからないことは相談すること、かしら?なんでも話し合いが大切だと思うわ。言葉が足りないと相手の為を思って行動したことでも裏目に出てしまうことがあるもの。だから、なんでも決めつけずに先ずは話し合うこと。」

「うん、ありがとう。また叔父様にあって気持ちが決まったら報告するね。」

僕がそう言うと姉様は抱きしめてくれた。
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