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第3章
136. 作戦
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「(何言ってるんだ、この人は!!!)
えっ…いや、それはちょっと…。」と断ると、
「えぇ~!やってくんねぇの?じゃあ護衛しない。」
「エェ!?
(ちょっと!ガルバさん!なんでこの人選んだの!?)」と睨むと慌てて目を逸らされた。
「(ガルバさんは僕が出来る範囲で受け入れろって言ってたけど、キスするのはやっぱ兄様に悪いし…バレたりしないにしてもなんか後ろめたい…。でもこれでベイローレルさんに護衛を辞められるほうがもっと困るから…もう!腹を括ろう!)」
僕はベイローレルさんの太い首に出来るだけ腕を回して「ベイ…。」と呼んでこちらを向かせた。そしてチュッと唇の横にキスをし「お願い。」と上目遣いに頼んだ。
するとベイローレルさんは自分で言ったにも関わらず顔を赤くすると「わかった、フェンネルがそこまで言うならやってやる。」と照れ出し、反対に僕は「(はぁ~…ここまで自分の顔を武器にしたのは兄様以来だよ…。)」と溜息を吐いた。
それからベイローレルさんと明日、また落ち合う約束を取り付け、僕達は別れた。
「(よし、これでギルドの登録も終わったし、護衛も頼めたからあとは作戦を立てようかな。と言っても、ほとんどそんなものないんだけどね…。とりあえず建物に入り込んで片っ端から部屋の中を物色するしか…いや、待てよ。もっといい方法があった!ちょっと無理やりな感じだけど、これなら確実に証拠の部屋に辿り着ける!明日、ベイローレルさんに相談してみよう!)」
僕はそう意気込むと、教会へ泊まらせてもらうお礼に沢山の食材とお菓子を買って帰った。
その日の晩、部屋にクミンが訪れた。
「ギルドの登録は上手くいったのか?」
「うん、大丈夫だったよ。それにギルドマスターからランクAの人を紹介してもらえたし。護衛も引き受けてくれるって。」
「そっか…。なぁ、俺らになんか手伝えることないか?」
「ん~…そうだなぁ…建物内に入るのが目的だから…特にこれと言ってないんだけど…んじゃあ明日の午後はお店をたたんで、教会に戻っておいて。何があるか分からないから危険なんだ。」
「…わかった。そんなことでいいなら他の子供達にも言っておくよ。午後は教会の中にいるように、って。」
「うん、ありがとう。」
僕がお礼を言うとクミンは照れくさそうにある物を渡してきた。
「何、これ?」
それは自分で言うのも恥ずかしいけど、あの女神様の姿が彫られたペンダントだった。
「お守りだ、持っとけ。」
「いや、でもクミンの大事な物なんじゃ…?」
「明日、また返してくれたらいいから。」
「あっ、でも…。」
と言いかけたところでクミンは足早に部屋を出て行ってしまった。
「(あぁ~…。でもせっかく貸してくれたんだし、大事に持っとこ。)」
僕は上着の内ポケットに大事にしまった。
次の日、早速僕は昨日考えた作戦をベイローレルさんに伝えることにした。
"こちらが土地を売りたいと交渉し応接室などに案内してもらう、それでどうにか今までの帳簿を見せてもらい証拠を探し出す"
ということだ。
簡単ではないのは分かっているが、コソコソ入るより確実性がある。なら、ベイローレルさんじゃなくても…と思わなくもないが仕方ない、頼んでから思い付いたんだから…。
その作戦を伝え終えた時のベイローレルさんの反応は「じゃあ俺じゃなくても感」がかなり出ていたが子供の僕じゃ出来ない交渉をしてもらうことも伝えた。
すると「まぁ変装したらどうにかなるか。」と納得してくれた。
「お願いします、僕はどうやっても子供にしか見えないので向こうも本気で取ってくれないと思います…。」
「そうだな…さすがに子供に交渉されても帳簿までは見せたりしないだろうし…。よし!それならちょっと俺が協力してやる!少し待っとけ!」
そう言うと席を立ち、部屋を出て行ってしまった。
それから5分程して戻ってくると「今、手の空いている他の冒険者を動かしてる。2時間ほど時間をくれ。」と言われた。
「…それはいいですけど、大丈夫なんですか?」
「ああ、俺が保証する。
それより空いた2時間、デートしようぜ。」
「エェ!?そんなことしてる場合じゃないじゃないですか。」
「いいんだよ、どうせ時間まで何も出来ないんだから。それに変装道具も買わなきゃだろ?」
「たしかに…。」
そう納得した僕はデートというのには納得出来ないが、ベイローレルさんと街へ変装道具を買いに出掛けた。
えっ…いや、それはちょっと…。」と断ると、
「えぇ~!やってくんねぇの?じゃあ護衛しない。」
「エェ!?
(ちょっと!ガルバさん!なんでこの人選んだの!?)」と睨むと慌てて目を逸らされた。
「(ガルバさんは僕が出来る範囲で受け入れろって言ってたけど、キスするのはやっぱ兄様に悪いし…バレたりしないにしてもなんか後ろめたい…。でもこれでベイローレルさんに護衛を辞められるほうがもっと困るから…もう!腹を括ろう!)」
僕はベイローレルさんの太い首に出来るだけ腕を回して「ベイ…。」と呼んでこちらを向かせた。そしてチュッと唇の横にキスをし「お願い。」と上目遣いに頼んだ。
するとベイローレルさんは自分で言ったにも関わらず顔を赤くすると「わかった、フェンネルがそこまで言うならやってやる。」と照れ出し、反対に僕は「(はぁ~…ここまで自分の顔を武器にしたのは兄様以来だよ…。)」と溜息を吐いた。
それからベイローレルさんと明日、また落ち合う約束を取り付け、僕達は別れた。
「(よし、これでギルドの登録も終わったし、護衛も頼めたからあとは作戦を立てようかな。と言っても、ほとんどそんなものないんだけどね…。とりあえず建物に入り込んで片っ端から部屋の中を物色するしか…いや、待てよ。もっといい方法があった!ちょっと無理やりな感じだけど、これなら確実に証拠の部屋に辿り着ける!明日、ベイローレルさんに相談してみよう!)」
僕はそう意気込むと、教会へ泊まらせてもらうお礼に沢山の食材とお菓子を買って帰った。
その日の晩、部屋にクミンが訪れた。
「ギルドの登録は上手くいったのか?」
「うん、大丈夫だったよ。それにギルドマスターからランクAの人を紹介してもらえたし。護衛も引き受けてくれるって。」
「そっか…。なぁ、俺らになんか手伝えることないか?」
「ん~…そうだなぁ…建物内に入るのが目的だから…特にこれと言ってないんだけど…んじゃあ明日の午後はお店をたたんで、教会に戻っておいて。何があるか分からないから危険なんだ。」
「…わかった。そんなことでいいなら他の子供達にも言っておくよ。午後は教会の中にいるように、って。」
「うん、ありがとう。」
僕がお礼を言うとクミンは照れくさそうにある物を渡してきた。
「何、これ?」
それは自分で言うのも恥ずかしいけど、あの女神様の姿が彫られたペンダントだった。
「お守りだ、持っとけ。」
「いや、でもクミンの大事な物なんじゃ…?」
「明日、また返してくれたらいいから。」
「あっ、でも…。」
と言いかけたところでクミンは足早に部屋を出て行ってしまった。
「(あぁ~…。でもせっかく貸してくれたんだし、大事に持っとこ。)」
僕は上着の内ポケットに大事にしまった。
次の日、早速僕は昨日考えた作戦をベイローレルさんに伝えることにした。
"こちらが土地を売りたいと交渉し応接室などに案内してもらう、それでどうにか今までの帳簿を見せてもらい証拠を探し出す"
ということだ。
簡単ではないのは分かっているが、コソコソ入るより確実性がある。なら、ベイローレルさんじゃなくても…と思わなくもないが仕方ない、頼んでから思い付いたんだから…。
その作戦を伝え終えた時のベイローレルさんの反応は「じゃあ俺じゃなくても感」がかなり出ていたが子供の僕じゃ出来ない交渉をしてもらうことも伝えた。
すると「まぁ変装したらどうにかなるか。」と納得してくれた。
「お願いします、僕はどうやっても子供にしか見えないので向こうも本気で取ってくれないと思います…。」
「そうだな…さすがに子供に交渉されても帳簿までは見せたりしないだろうし…。よし!それならちょっと俺が協力してやる!少し待っとけ!」
そう言うと席を立ち、部屋を出て行ってしまった。
それから5分程して戻ってくると「今、手の空いている他の冒険者を動かしてる。2時間ほど時間をくれ。」と言われた。
「…それはいいですけど、大丈夫なんですか?」
「ああ、俺が保証する。
それより空いた2時間、デートしようぜ。」
「エェ!?そんなことしてる場合じゃないじゃないですか。」
「いいんだよ、どうせ時間まで何も出来ないんだから。それに変装道具も買わなきゃだろ?」
「たしかに…。」
そう納得した僕はデートというのには納得出来ないが、ベイローレルさんと街へ変装道具を買いに出掛けた。
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