121 / 215
第2章
120. 重婚
しおりを挟む
それからエリーのおかげで帰りの馬車の中では少し心が軽くなった。
しかし、まだ日本人としての性分のせいか重婚にやや抵抗がある。
ただ、それをとっても自分が複数の人から好意を持たれて拒否出来るほどの強さもない。
「(生前からモテたことのない僕がこんな贅沢な選択肢に迫られるなんて…それに1人に絞ろうと努力したのにそれもしなくていいとか…。神様、ホント僕仕様に世界を変えてくれたんだね…。僕のこの優柔不断な性格をわかってたのかな…?僕…自分で言うのは変だけど前まではこんな優柔不断じゃなかったと思うんだよね、少なからず自分は腐男子ではあったけど人間としての感覚は外れてはなかったと思うし…。そりゃあイケメンに好かれて悪い気はしなかったと言えばしなかったけど、最初のカラマス君に対しても初恋がすぐ終わるのも可哀想だから、っていう同情からだし…。
…やっぱりBLが関係してるのかな?そういうのを見たいが為に転生させてもらったから自分を含めてそういう雰囲気になったら無下に出来なかったのも事実だ。そのせいで結果的に複数から好意を持たれてあたふたしちゃったんだけど…。
まぁ…とりあえず兄様に相談しよう…また言わなかったら凄いことになりそうだし…。)」
僕はそう思いながら馬車に揺られていた。
それから家に着き、兄様の部屋へと向かった。
あいにく兄様はまだ帰ってきておらずそのまま部屋に戻ろうかと思ったがまたすれ違いになってはややこしくなると思い、部屋に入ることにした。
「(部屋の鍵は閉まってるけど、兄様から合鍵を貰ったんだよね。「いつでも、入っていいよ。」って。早速使わせてもらおう。)」
と鍵を開けた。
ガチャと音を立てて扉が開くと兄様の爽やかな匂いが鼻いっぱいに広がる。
「(フフッ…兄様の匂いってなんか安心する…。)」
僕はそのままソファーに体育座りで腰掛け、兄様になんて説明するか考えていた。しかし、僕はいつの間にか考えながら膝に顔を埋め眠ってしまっていたようで気がつくと兄様のベッドに寝かされていた。
「(あれ…?ベッド…?兄様がしてくれたのかな…?)」
と思っていると自分の腰に回る腕に気が付いた。身をよじって後ろを確認すると案の定、兄様が僕を抱き締めて眠っている。
「(やっぱり…てか今何時…?夕食の時間には間に合わせないと…。)」
と兄様の方に身体を向けると僕は久しぶりに兄様の顔をマジマジと見つめた。
「(兄様…かっこいいなぁ…僕も最初からこんな顔に生まれたかった…そしたら日本じゃモテモテだったのに…。)
いいなぁ…。」
とポツリと呟く。
すると「何が?」と目を瞑ったまま返事をされて驚いた。
「兄様、起きてたの?」
と聞くと目がパチっと開き、
「うん、フェルがどんな反応を見せてくれるかなぁ?って思ってたとこ。
それにしても部屋に戻ってきてフェルがソファーで寝てたのはビックリしたよ。」
「あっ…ゴメンね。勝手に部屋に入って休んじゃって…。」
「ううん、いいんだよ。むしろ部屋に居てくれて嬉しかった。こんな可愛らしい天使みたいな子が部屋で待っててくれるなんて…そう思ったら次からは早く帰って来ないとね。」
と額にキスしてきた。
「(あっ…マズイ…このままだとダメな流れだ!)
あっ…あの兄様!大事な話があるんだけど!」
「ん?このままでもいいよ?」
「いや…このままは僕がダメだから…!」
「そう…?じゃあソファーに座ろうか。」
と兄様は僕を抱き上げ、膝に乗せたままソファーに腰掛けた。
「(ゔぅ…話し辛い…。)」
僕と兄様は対面で座っている。
兄様が僕の腰を離さないので僕と兄様の顔の距離はどう頑張っても15cm程だ。
「(この際、思いっきり抱き着いて顔を見られないように言っちゃおうかな。)」
僕はそう思い「フェル、話って何?」とニコニコ笑っている兄様に抱き着いた。僕の耳は兄様の胸の上にある。
僕はドキドキしながら兄様に質問をした。
「あのね…兄様…重婚って知ってる…?」
兄様の心臓がドクンッと鳴る。
「…じゅう…こん…?……ああ、知ってるよ。」
「それで………
僕がそれを選ぶって言ったらどうする…?」
そう言った瞬間、兄様の心臓がドクドクと早くなった。
僕は兄様を仰ぎ見ようと首を動かしたがギュッと抱き締められてそれは出来なかった。
「にっ…兄様…?」
と声をかけるも暫く返事がなく僕は兄様から反応があるまでジッとしていた。
時間にして5分も経っていないくらい、兄様が口を開いた。
「そうだね…私、個人的にはフェルには選んで欲しくない…でもフェルがそうしたいのなら私に止める権利はないよ。重婚は子供を産む側の人間に与えられた権利で夫になる立場の人間はそれに口出し出来ないように法律で決められている…私みたいに独占欲が強い人間は相手にそうなって欲しくないために必要以上に束縛したり監視するのかもしれないね…。」
と零した。
しかし、まだ日本人としての性分のせいか重婚にやや抵抗がある。
ただ、それをとっても自分が複数の人から好意を持たれて拒否出来るほどの強さもない。
「(生前からモテたことのない僕がこんな贅沢な選択肢に迫られるなんて…それに1人に絞ろうと努力したのにそれもしなくていいとか…。神様、ホント僕仕様に世界を変えてくれたんだね…。僕のこの優柔不断な性格をわかってたのかな…?僕…自分で言うのは変だけど前まではこんな優柔不断じゃなかったと思うんだよね、少なからず自分は腐男子ではあったけど人間としての感覚は外れてはなかったと思うし…。そりゃあイケメンに好かれて悪い気はしなかったと言えばしなかったけど、最初のカラマス君に対しても初恋がすぐ終わるのも可哀想だから、っていう同情からだし…。
…やっぱりBLが関係してるのかな?そういうのを見たいが為に転生させてもらったから自分を含めてそういう雰囲気になったら無下に出来なかったのも事実だ。そのせいで結果的に複数から好意を持たれてあたふたしちゃったんだけど…。
まぁ…とりあえず兄様に相談しよう…また言わなかったら凄いことになりそうだし…。)」
僕はそう思いながら馬車に揺られていた。
それから家に着き、兄様の部屋へと向かった。
あいにく兄様はまだ帰ってきておらずそのまま部屋に戻ろうかと思ったがまたすれ違いになってはややこしくなると思い、部屋に入ることにした。
「(部屋の鍵は閉まってるけど、兄様から合鍵を貰ったんだよね。「いつでも、入っていいよ。」って。早速使わせてもらおう。)」
と鍵を開けた。
ガチャと音を立てて扉が開くと兄様の爽やかな匂いが鼻いっぱいに広がる。
「(フフッ…兄様の匂いってなんか安心する…。)」
僕はそのままソファーに体育座りで腰掛け、兄様になんて説明するか考えていた。しかし、僕はいつの間にか考えながら膝に顔を埋め眠ってしまっていたようで気がつくと兄様のベッドに寝かされていた。
「(あれ…?ベッド…?兄様がしてくれたのかな…?)」
と思っていると自分の腰に回る腕に気が付いた。身をよじって後ろを確認すると案の定、兄様が僕を抱き締めて眠っている。
「(やっぱり…てか今何時…?夕食の時間には間に合わせないと…。)」
と兄様の方に身体を向けると僕は久しぶりに兄様の顔をマジマジと見つめた。
「(兄様…かっこいいなぁ…僕も最初からこんな顔に生まれたかった…そしたら日本じゃモテモテだったのに…。)
いいなぁ…。」
とポツリと呟く。
すると「何が?」と目を瞑ったまま返事をされて驚いた。
「兄様、起きてたの?」
と聞くと目がパチっと開き、
「うん、フェルがどんな反応を見せてくれるかなぁ?って思ってたとこ。
それにしても部屋に戻ってきてフェルがソファーで寝てたのはビックリしたよ。」
「あっ…ゴメンね。勝手に部屋に入って休んじゃって…。」
「ううん、いいんだよ。むしろ部屋に居てくれて嬉しかった。こんな可愛らしい天使みたいな子が部屋で待っててくれるなんて…そう思ったら次からは早く帰って来ないとね。」
と額にキスしてきた。
「(あっ…マズイ…このままだとダメな流れだ!)
あっ…あの兄様!大事な話があるんだけど!」
「ん?このままでもいいよ?」
「いや…このままは僕がダメだから…!」
「そう…?じゃあソファーに座ろうか。」
と兄様は僕を抱き上げ、膝に乗せたままソファーに腰掛けた。
「(ゔぅ…話し辛い…。)」
僕と兄様は対面で座っている。
兄様が僕の腰を離さないので僕と兄様の顔の距離はどう頑張っても15cm程だ。
「(この際、思いっきり抱き着いて顔を見られないように言っちゃおうかな。)」
僕はそう思い「フェル、話って何?」とニコニコ笑っている兄様に抱き着いた。僕の耳は兄様の胸の上にある。
僕はドキドキしながら兄様に質問をした。
「あのね…兄様…重婚って知ってる…?」
兄様の心臓がドクンッと鳴る。
「…じゅう…こん…?……ああ、知ってるよ。」
「それで………
僕がそれを選ぶって言ったらどうする…?」
そう言った瞬間、兄様の心臓がドクドクと早くなった。
僕は兄様を仰ぎ見ようと首を動かしたがギュッと抱き締められてそれは出来なかった。
「にっ…兄様…?」
と声をかけるも暫く返事がなく僕は兄様から反応があるまでジッとしていた。
時間にして5分も経っていないくらい、兄様が口を開いた。
「そうだね…私、個人的にはフェルには選んで欲しくない…でもフェルがそうしたいのなら私に止める権利はないよ。重婚は子供を産む側の人間に与えられた権利で夫になる立場の人間はそれに口出し出来ないように法律で決められている…私みたいに独占欲が強い人間は相手にそうなって欲しくないために必要以上に束縛したり監視するのかもしれないね…。」
と零した。
15
お気に入りに追加
4,568
あなたにおすすめの小説
冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~
日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました!
小説家になろうにて先行公開中
https://ncode.syosetu.com/n5925iz/
残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。
だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。
そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。
実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく!
ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう!
彼女はむしろ喜んだ。
戦略的過保護のち溺愛
鍋
恋愛
私は女神様によって物騒な国に転生させられた。
怖いと嫌がったのに、守りの指輪一つ付けられてこの世界に落とされた。
理不尽だ。
私の転生先はキメ王国宰相の娘。両親は私を放置していて私は愛情を受けずに育った。お陰で使用人からも無視され結構悲惨な状況。
そんな中、王国は隣国に攻められ滅びる。殺される寸前に敵である漆黒の騎士に助けられる。
無愛想な漆黒の騎士は帝国の公爵様だった。
漆黒の騎士は私を帝国に連れ帰り婚約した。
不器用なヒーローが少しずつ甘くなっていきます。
最後の方がR18です。
22話 完結
「僕は病弱なので面倒な政務は全部やってね」と言う婚約者にビンタくらわした私が聖女です
リオール
恋愛
これは聖女が阿呆な婚約者(王太子)との婚約を解消して、惚れた大魔法使い(見た目若いイケメン…年齢は桁が違う)と結ばれるために奮闘する話。
でも周囲は認めてくれないし、婚約者はどこまでも阿呆だし、好きな人は塩対応だし、婚約者はやっぱり阿呆だし(二度言う)
はたして聖女は自身の望みを叶えられるのだろうか?
それとも聖女として辛い道を選ぶのか?
※筆者注※
基本、コメディな雰囲気なので、苦手な方はご注意ください。
(たまにシリアスが入ります)
勢いで書き始めて、駆け足で終わってます(汗
【完結】8私だけ本当の家族じゃないと、妹の身代わりで、辺境伯に嫁ぐことになった
華蓮
恋愛
次期辺境伯は、妹アリーサに求婚した。
でも、アリーサは、辺境伯に嫁ぎたいと父に頼み込んで、代わりに姉サマリーを、嫁がせた。
辺境伯に行くと、、、、、
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします
ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、
王太子からは拒絶されてしまった。
欲情しない?
ならば白い結婚で。
同伴公務も拒否します。
だけど王太子が何故か付き纏い出す。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?
リオール
ファンタジー
俺は魔王を倒し世界を救った最強の勇者。
誰もが俺に憧れ崇拝し、金はもちろん女にも困らない。これぞ最高の余生!
まだまだ30代、人生これから。謳歌しなくて何が人生か!
──なんて思っていたのも今は昔。
40代とスッカリ年食ってオッサンになった俺は、すっかり田舎の農民になっていた。
このまま平穏に田畑を耕して生きていこうと思っていたのに……そんな俺の目論見を崩すかのように、いきなりやって来た女の子。
その子が俺のことを「パパ」と呼んで!?
ちょっと待ってくれ、俺はまだ父親になるつもりはない。
頼むから付きまとうな、パパと呼ぶな、俺の人生を邪魔するな!
これは魔王を倒した後、悠々自適にお気楽ライフを送っている勇者の人生が一変するお話。
その子供は、はたして勇者にとって救世主となるのか?
そして本当に勇者の子供なのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる