腐男子は神様に願望を叶えてもらいました

第2章

119. 新事実

それからオットーさんと別れ、帰りの馬車の中で僕は色んな考えを巡らせていた。

「(神様は僕に色んな人と同時に付き合ったり身体の関係を持ってもいい、とか言ってたけどそれって相手の性格にも関係してるのかなぁ…？だってこんなにトラブル無く解決するなんておかしいよね？オットーさんは元々、恋愛は出来ない立場だったから仕方ないとしてもラーチさんとも少し話し合えば解決しちゃったし…。これも神様によるものなのかな…？神様は僕が生きやすいように変えてくれてるって言ってたし…。でも僕の都合の良いようにいきすぎて罪悪感がハンパない…。
あとはカラマス君とサックルさんか…。この2人は僕に対する執着心がかなりあるし、サックルさんは番いってことで僕に執着してるのはなんとなくわかるけどカラマス君は…？いくらロザリーナ姉様のことで昔、助けたからってこんなに執着するものなのかな…？)」

僕がゔーん、ゔーん…と考えているとエリーに「どうされたんですか？」と声を掛けられた。

「施療院に行ってからお元気がないように思えますが…。」

僕はエリーに相談しようか悩んだ末、今まで色んなことを助けてくれたエリーなら大丈夫だと思い相談することにした。

僕はこれまでにあったカラマス君、ラーチさん、オットーさん、サックルさん、そして兄様の僕に対する執着心を掻い摘んで説明した。

するとエリーが

「そうだったんですね…フェンネル様のことですから沢山、悩まれたのでしょう…。しかし、そこまで悩まれずとも大丈夫ですよ、フェンネル様はお1人"だけ"を選ぼうとされてますがこの国では重婚をされている方も少なからずいらっしゃいます。」

「えっ…？」

と思わず素の言葉が出てしまった。

「えっ？えっ!?どういうこと？

(初耳なんですけど！！)」

「今はだいぶ少なくなっておりますが、パートナーを複数お持ちの方もいらっしゃるということです。重婚できる権利は奥様の立場の方に限られますが私の友人にもおります、奥様の立場1人に対して旦那様が3人という家庭が。
この国の男女比は8:2。圧倒的に男性が多いです。しかし、女性に比べ男性の出産率は低いです。ということは、男性の出産率は低いのに男児ばかりが増えるのはおかしいですよね？それは、その男性が妊娠、出産する場合ほとんどが男児を産み、さらに女性が10ヶ月ほどの妊娠期間がある中、男性の妊娠期間は半分の5ヶ月。そこに女性で妊娠した方がいらっしゃって、そこでも男児を産めば自ずと男性の比率は上がっていきます。
それでも男性ばかり増えるのはおかしいとお思いかもしれませんが、それが複数のパートナーと関係を持っている方が関わってきます。それは"1パートナー"との間に出産する出産率は低いのですが、他にもパートナーがいる方はその方との間にも子供を産みます。その間に生まれるのは男児がほとんど。もうお判りですね？あいにくフェンネル様の周りやこの街では重婚する家庭は少ないですが私の生まれた村は多かったですよ。
あっ、あとこの重婚が認められているのは男性同士だけです。女性をパートナーにした場合はその方のみを生涯の伴侶と決め、その方以外とは結婚できません。もし男性と結婚していて女性ともパートナーを、となった場合は男性と離婚してから女性と結婚しなければいけません。その理由は…また追々、ご説明致します。

…長々と説明致しましたがお判り頂けたでしょうか？
端的に言うとフェンネル様は奥様の立場であるならお一人だけでなく複数とご結婚されても良い、ということです。」

エリーを見ると凄い笑顔だった。

「(ええっ!?そうなの…？なんかまた僕の都合の良い展開になってる…！神様のせい？おかげ？いいのかな～？でも兄様が許してくれなさそう…。てか、エリーには何もかもバレてそうな気がするな…。)

そっ…そうなんだ…。エリーはどう思う？僕が重婚するってなったらやめたほうがいいと思う？」

するとエリーはなんとも言えない顔になった。

「(やっぱり否定的なんだ…！)」と落ち込んでいると、

「いいえ、むしろ推奨しております。出来ればフェンネル様には重婚して頂きたいです！」

と食い気味に言われた。

「えっ…そうなの…？なんで…？」

「それは…フェンネル様のお子様が生まれたらきっとフェンネル様に似てとても可愛らしい子が生まれると思ったからです、それでまた私が侍女としてご一緒したいな…と。」

「あっ…そうなんだ…。うん…多分、僕は産む側だね…なんか恥ずかしいな…。」

とモゴモゴと返事をした。