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第2章

113. お仕置き*

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僕は本当にいい友達を持った!と感動しながら鞄を受け取り、馬車に乗り込んだ。

アニスとローザに手を振り、別れを告げるとローザが「きっと1位はフェル様だったと思うよ~!」と大声で叫んでいた。

僕はだんだんと小さくなっていく2人になんて返せばいいかわからず、軽く笑いながら手を振った。

そして馬車の中で落ち着くと、帰ってから兄様にどう説明するか考えることにした。

「(とりあえず、このドレスを着替えなくっちゃ!僕まだ女性の格好だし…。

いや、待てよ。敢えてこの格好のまま事情を説明した方がわかりやすいのか…?兄様の為にこんな格好してみました~とか言って。多分、それはそれで喜ぶとは思うけど事件に巻き込まれたことは心配するだろうな。

先ずは、兄様の部屋に行って事情を説明して、その時には必ずダグラスさんのことも言って危険を回避しないと。それでもし兄様が僕に対して怒るようならその時はその時で考えるしかない。どうしたって兄様の耳には入るんだし。まぁそれだけで済まないのが兄様だけど…。)」

と僕は考えつつ、家に着くのを待った。

自宅に着くとそのままの脚で兄様の部屋に向かった。

扉をノックすると中から返事があったので最初が肝心!と僕は勢いよく兄様の部屋に入っていった。

兄様は僕の姿を見た瞬間、目を丸くして固まったがすぐに「フェル、どうしたの!?」と立ち上がった。

「兄様、似合う?」

と僕がスカートの裾を持ち上げながらその場でクルッと回ると兄様はズンズンと近付いてきて僕を抱き締めた。

「(うおっ!予想はしてたけど兄様、動きが早い!)」

「フェル…その格好はどうしたの…?まさかわざわざ私に見せに?」

とニコニコ笑っている。

「あっ…うん…兄様…先に説明してもいい?(予想通り凄い喜んでるな…。)」

僕がそう言うと兄様は快く頷き、ソファーに隣同士で腰掛けた。
兄様は相変わらず僕の腰を抱いて離そうとはしない。

「フェル…凄くよく似合ってるね。いつものフェルも可愛いけど、コッチの服もフェルの可愛さが引き立ってて愛らしい。でも…この数日は友達とお泊まり会だったんじゃなかったの?予定より早いけど、もしかしてその衣装が関係してる?」

兄様はそう言いながら僕の頰を撫でてくる。

僕は兄様をチラチラと目を合わせながら、

「うん…ローザの家の近くでお祭りがあって、そこで女装選手権に参加したんだ。それで思いの外、皆の反応が良かったから兄様にも見て欲しくてそのまま帰ってきたんだ。結局、僕は入賞しなかったけど…。」

と言うと「嘘!?」と驚いていた。

「だってこんなに可愛いのに入賞もしてないなんておかしい!投票した奴は誰だ!」

と言い出した。

「あっ…でもね、ローザは3位になったんだよ?ローザ、可愛いでしょ?だから別に僕は入賞しなくても…。」

と言ったが兄様は「それは何処の村だ!文句を言わないと!」と息巻いている。

「(うわぁ…早く事件のこと言わないと収まらなくなる…。)

それでね、1位の発表になった時にちょっと事件が起きてね…。」

と言うと兄様の目の色が変わった。
いつもの和かな兄様とは雰囲気がガラリと変わり「事件って?」と聞いてくる。

僕はステージで襲撃に遭ったこと、騎士団に助けられたこと、無傷であることを伝えた。

最初は厳しい顔でその話を聞いていた兄様も最後の方は少し柔らかい雰囲気になっていた。

「そんなことがあったのか…第3部隊ね…また話を聞いておくよ。それでフェルは特に怪我も無かったんだね?」

僕はコクリと頷く。

「よかった…もしフェルにちょっとでも怪我させてたらその犯人を探し出して沢山痛ぶってあげないとね…。」

と笑う。

僕がその笑顔に戸惑っていると、ふと兄様がニヤリと笑い、

「ねぇフェル…私、前から言ってたよね?そんな可愛い顔は私以外には見せてはいけないよ、って?いくらお祭りだからって約束破っちゃいけないと思うんだ。だからフェルにお仕置きしていい?」

と唐突に聞いてきた。

「おっ…お仕置き…?

(ちょっ…これ…お決まりのパターンでダメなやつ…!)」

「そう。私がダメって言ったら大人しく言うことを聞いてね?」

「(えっ…あっ…もう決定事項なの…?)」

と僕が焦り、腰を引こうとすると兄様に引き寄せられキスをされた。


「ふっ…ん…。」


「(やっぱりかー!こうなるかもしれないと予想はしてたけど、なんでヤンデレタイプはこういうのでお仕置きしたがるんだよー!普通に説教でいいじゃないか…!)」

と思っていると、兄様の手が僕の背中に回り込みドレスとコルセットの紐を緩め始めた。

「あっ…にい…さま…。」

と僕が思わず身体を捻ると、

「ダーメ。フェルはジッとしてて。」

と言われてしまった。

僕は言われた通り兄様の服を握り締めジッとした。
すると「良い子。」と軽くキスされる。

そして紐を解き終わった兄様は僕の肩からドレスをずり下げると僕の乳首を両手でキュッと握った。

「あんっ!!!」

と僕はその強い刺激に鳴いた。

「フフッ…フェルの可愛い乳首が丸見えだね…。ドレスから覗いてるっていうのもなかなかだ…。」

と呟き僕の唇をペロッと舐めると両方の乳首を親指でクリクリと弄りだす。

僕は兄様に唇を塞がれてない為、その刺激に耐えれるわけもなく嬌声を上げた。
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