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第2章

105. 後悔*

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頭を撫でていた手は頰に滑り、耳や首筋、肩などに下りてくる。

僕が擽ったくてクスクス笑っていると「擽ったいか?」とサックルさんに愛しげに見つめられた。

僕は「はい。」と頷きながら恥ずかしくなり、サックルさんの目線から目を逸らすと

「(やっぱり…まずかったかな…?安易に了承するんじゃなかった…。もうそろそろやめてもらおう…。)」

と後悔していた。

しかし僕の気持ちとは裏腹にサックルさんは僕の唇をなぞってくる。

僕は慌てて「サックルさん!もういいですか?アニスも待ってますし、そろそろ行きます。また近い内に来ますのでその時ゆっくりお話しましょう!」

と自分の顔を出来るだけ引き離し、距離をとった。

だが、サックルさんは小さく微笑むと僕の後頭部に手を回し、そのまま静かに口付けてくる。

僕はサックルさんに止めてもらえる様、必死に胸を押したがビクともしない。






サックルさんとのキスは優しく唇を啄むものからだんだんと舌を絡めるキスに変わり、僕はサックルさんに頭といつの間にか回されていた腕で腰を固定されたままそのキスを受け入れざるを得なくなった。


「あっ…んっ…。」と声が漏れる。


「あっ…サックルさ…。」と言い掛けたが再び唇で塞がれ、そのままベッドに押し倒された。

「(うわぁー!マズイよー!僕の力じゃ止められない!アニス、助けてー!)」と願うが、アニスは助けに来ない。

その間にもサックルさんは口付けを深くしてくる。




ちゅ…じゅ…ぴちゃ…





「あっ…サックルさ…やめ…。」と言うも「フェル…もう少しだけ。」と切なげな表情で頼まれる。

「(えぇー!そんな顔されたら断れないじゃん…!どうする僕!?どこまで許すの!?)」

と僕はパニックになっていた。

「(でもサックルさんの気持ちを利用するのは良くないよね…いくら僕を求めてくれても受け入れるわけにはいかないし…!)」

僕はサックルさんの唇が離れた瞬間、

「んっ…アニ…ス…!」

と声を上げた。

すると「叔父上!」とアニスが洞窟に入ってきた。

しかし、サックルさんは僕の匂いに充てられているのか聞こえていない様子。

「あっ…アニス…!サックルさん…を止めて!」

と声を上げるとアニスがサックルさんの背中に覆い被さった。

「叔父上!やめて下さい!フェルが嫌がってます!」

と叫ぶとサックルさんはハッとなり手を止めた。

そして僕から急いで離れると「すっ…すまない!」と謝り頭を項垂れた。

3人の間に少しの沈黙が流れる。







僕が始めに口を開いた。

「あっ…あの僕が悪いんです!サックルさんは僕の近くに寄るのを嫌がったのに無理に誘ったから…それで匂いに充てられただけですよね…?サックルさん…気にしないで下さい。悪いのは気の遣えない僕ですから…!」

と言うと何故かアニスから憐れみの顔をされた。

サックルさんには「フェル…やはり私にはキツイ…。悪いが今日はこれで帰ってくれ。」と頼まれた。

僕はアニスに引っ張られるようにして洞窟を出た。

洞窟を出ると、

「フェル、すぐに助けなくてすまなかった。叔父上はあれでも理性がかなり強い人なんだ。だからきっとフェルに対しても紳士的に対応してくれるだろうとは思っていたが…すまない…。」

と謝られた。

「あっ…いや、」と言い掛けたが「暫く、叔父上のところには行かないでおこう。叔父上にも時間が必要だ。」と言われ僕は罪悪感に襲われたのだった。






それからアニスの家に戻り、ローザと合流するとローザの家に向かうことにした。

行きの馬車の中でローザから「どうだった?」と聞かれたが、曖昧に答えるしか出来ず余計に落ち込んでしまった。

ローザもその表情を察してかそれ以上聞いてはこなかった。

「(サックルさんに悪いことしちゃったな…。また次会うときはアニスと一緒に会ってもらおう。

はぁ~…この調子じゃ先が思いやられる…。皆にいい顔し過ぎるのもよくないね、僕…自分もモテる顔になりたかったのは事実だけど皆にいい顔すると、人の心を弄ぶようなことになっちゃうなんて知らなかった…。僕は単純にBLウォッチングがしたいが為にこの世界を望んだけど、こんなことになるんだったらもう少し平凡で暗いやつになってた方が良かったのかも…。)」

と考えていた。


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