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第2章

103. 獣人の求愛とは

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「(えぇ!?マズイよ…!僕に新しいフラグとかいらないから、むしろローザに立ってよ…!入学してからローザにピッタリな攻めを探したのになかなか見つからないんだもん!最初はあんなにビクビクしてて小動物みたいだったのにだんだん気が強くなっちゃって…。包容攻めとかもう追い付かなくなっちゃってるし…!)」

と僕は全く関係ないことを考え出した。



僕が少し現実逃避していると、

「………ぃ、おい、フェルッ!」

とアニスに声を掛けられていたようだ。

「えっ?…ゴメン、何?」

「はぁ~…叔父上のことだが、少し様子を見させてもらう。叔父上は冗談でそんなことを言うような人ではないから本気だとは思うが…フェルが相手だと…タジェット様も黙ってはいないだろう。ましてや獣人が人に求婚することは元々リスクが高い。言いにくいが、獣人はローザが言うみたいに子孫を残すために生殖活動が激しいんだ。だから、それに人が耐えれるかが問題となってくる。万が一、人が妊娠、出産となっても身体への負担が獣人よりも大きいからな。獣人は大概、この者となら子孫を残せるという妥協から入ることも少なくない。
しかし、番いを見つけてしまっては話は違う。それが人間であれ獣人であれ、我々は番いと子孫を残すことに全力を注ぐ。だから、フェルからその香りがしたということは…まぁそういうことなんだろう…。悪いが俺から言えることは"頑張れ"しかない…。」

とアニスは憐れむような顔を向けてきた。

「えっ…?えっ!?僕もう避けられないの?」と聞いたが「う~ん…難しいだろうな…。」と言葉を濁された。

「あの…でも僕、サックルさんのこと何も知らないのに…。」

と戸惑った返事をすると、

「ああ、それはわかっている。だから叔父上には少し待ってもらえるように頼んでおくから心配するな。

きっと本当は今すぐにでも自分の元に置いておきたいがフェルのことを思って我慢しているのだと思う。
先に言っておくが、獣人の求愛を舐めないほうがいいぞ?特に熊はこの人と決めたら他のことはどうでも良くなる。最低限の生活はするが、常に側を離れようとはしないし、ましてや番いを見つけたら監禁紛いのことを仕出かしてもおかしくはない。
フェル…我々はこういうことを本能でしてしまうんだ。だから悪く思わないでくれ。
それとこの後、叔父上に会って欲しい。今後のことを含めて話し合いをしなければ。」

とアニスに言われた。

「うん…それは僕も必要だと思う…サックルさんに会いに行こう!」

と僕も賛同した。









結局、お昼頃にローザの家に行くのは延期になりサックルさんとの問題が解決してから行くことになった。

アニスにサックルさんを探しに行くので待っていてくれ、と言われたが「(むしろ僕が行った方が早いんじゃ…?)」と思い、同行することにした。

アニスと2人で森に入り、アニスの嗅覚と僕の呼び掛けですぐさまサックルさんは見つかった。
何故なら僕の呼び掛けに「ウォーン。」と声を上げたからだ。

その声を頼りに近付いていくとサックルさんの寝床である洞窟の前で再会できた。

サックルさんは僕が現れたことが嬉しかったのか、直ぐに近付いてきた。

しかし、僕はまだこの巨体に慣れておらずアニスの背後に少し隠れることとなった。



早速、アニスが口を開く。

「叔父上…フェルに番いになって欲しいと言ったのは本当ですか?」

するとサックルさんは少しも悪びれた様子もなく「ああ、言ったが?」と答えた。

「…叔父上の判断ですので否定も出来ませんが、フェルには荷が重いのではないでしょうか…?そもそも人間に我々の欲求が満たせるとは思えませんし…フェルはまだ10歳にもなっていません。」

と説得してくれた。

しかし、サックルさんは「なら成人していたら良いのか?」と尋ねてきた。

「(えぇ!?いや、まぁ考え様によったらそうだけど…!なんかまた話がズレてるし…。サックルさん…質問には答えてくれてるけどコッチが欲しい答えを一向に返してくれない…。)」

アニスもそう思ったのか、

「いや、そういうことではなく!いきなり番いのことを言われてもフェルが戸惑うだけなのではないかと。だからもう少し彼に時間をあげて欲しいのです…。せめて彼が成人し、自分の身の振り方を選べる時まで待って頂けないでしょうか…?」

と頼んでくれた。

サックルさんは再び「ふむ…。」と考え込むと、

「アニス、フェルと2人で話がしたい。お前は席を外せ。」

と言ってきた。

アニスは僕をチラッと見ると「少し離れた所にいる。何かあったらすぐ駆けつけるから。心配するな、俺は耳もいい。」と言うと、その場を離れて行く。



僕はサックルさんと2人きりになった。

するとサックルさんに「フェル、こちらへ。」と洞窟の中に案内された。

正直、この状況で2人きりになるのは抵抗もあったが、もしもの時はアニスに助けてもらえるという安心感もあり大人しくついて行った。

洞窟の中は思っていたよりも過ごしやすそうで、てっきり真っ暗なのかと思っていたがランプもあるし、ベッドはないが藁のベッドにラグのようなものが掛けてあり、そこを寝床としているようだった。少ないながらもナイフなどの調理器具もあり、なんと洋服まであった。

僕は思わず「サックルさん…この服は…?」と聞いてしまった。
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