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第1章
83. ナンパ
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僕が見上げると、その人は「おや?」という顔をしてそのまま片膝をついた。
「初めまして。私はメドウ・クリプトンと申します。」
急に自己紹介をしたかと思うと僕の手を取り、手の甲に口付けてきた。
「(えっ…ちょっ…何してるの!?)」
僕は慌てて手を引っ込める。
「あの…?」
と僕が声を掛けると、
「突然、申し訳ございません。あまりにも美しい方がいらっしゃいましたので思わず手に口付けてしまいました。貴方様のお名前を伺っても宜しいですか?」
とニコッと笑い、話し掛けられた。
僕は顔を赤くしながら「(もう…!この世界はイケメンばっかりなんだから~!ドキドキし過ぎて僕が耐えれないよ~!)」と身悶える。
それを相手は名前を教えてもらえないと思ったのか「どうしてもダメでしょうか…?」と伺うように聞いてきた。
「あっ…いや…こちらこそ、申し訳ございません。突然のことにビックリしておりました。初めまして、私はフェンネル・ローランドと申します。」
僕は出来る限り丁寧なお辞儀をして応える。
すると、相手は「やっぱり。」という表情となり、
「やはり、そうだったのですね。ロザリーナに似ておりましたのでご兄弟かと思っていたんです。私はロザリーナと同級生なんです。」
と言った。
「(そっか!姉様の友人もそりゃあ来るよね。それじゃあ、きちんと挨拶しなくっちゃ!)
そうでしたか…本日は姉様のためにわざわざお越し下さりありがとうございます。姉様も喜ぶと思います。後で是非、姉様にお声を掛けてあげて下さい。」
「本日は誠におめでとうございます。私もフェンネル様と出会えて嬉しく思います。是非ともこれから宜しくお願い致します。」
と言い、再び手を握ってきた。
「(なんかヤバイ…?クリプトン様の目に熱が篭ってる気がするんだけど…。)」
僕が返答に困っていると、後ろから「フェル!」と呼ばれた。
振り返るとカラマス君が手を振ってこちらに歩いてくる。
カラマス君が僕の隣に立つと「こちらの方は?」とクリプトン様に聞かれた。
「初めまして、私はカラマス・セイボリーと申します。本日、結婚するアミリス・セイボリーの弟です。…そして、こちらにいるフェンネルの婚約者でもあります。」
とカラマス君は僕の肩を抱いて、ニッコリと微笑んだ。
僕は「(えぇっ!?)」と驚いてカラマス君を見たが、カラマス君はクリプトン様から目を離さず微笑んだままだ。
クリプトン様は「…そうだったんですね…。カラマス様、本日は誠におめでとうございます。では、私は友人と待ち合わせてますので失礼致します。」と言って去っていった。
クリプトン様の姿が見えなくなると「フェル~!」と少し怒った様に名前を呼ばれる。
僕は「どうしたの?」と聞くと「お前、狙われてたんだぞ?気付かなかったのか?」と言われた。
「(あっ…やっぱりそうだったんだ。)
なんとなく、そんな気はしてたけど悪い人じゃなさそうだったから…。」
とチラッとカラマス様を見ると
「…だったから、何?あいつと付き合ったりするのか?」
「いや、そこまでは考えてないけど、せっかく声を掛けてもらったから少し話そうかと…。」
「はぁ~…フェルは警戒心が無いんだから、気を付けないと…俺がああやって誤魔化したからいいものの…それにこんな服装で来るし…。」
と僕をジッと見つめた。
僕もカラマス君を見つめて「…似合わない?」と聞くと「違う!似合い過ぎてるから心配なんだ!」と抱き締められた。
僕はフフッと笑うと「ありがとう。」とお礼を言い、抱き締め返した。
「はい、そこまで~。」
僕とカラマス様は誰かの手によって引き剥がされた。
2人でビックリしていると引き剥がしたのはディル兄様だった。
ディル兄様はカラマス君を無視しながら
「フェル~探したよ。いつまで経っても来ないからコッチから来たんだ~。さぁ姉様のところに行こうね~。」
と僕を抱き上げた。
「わっ!兄様~!あっちょっ…!カラマス君、ごめんね~!」
僕はそのまま兄様に運ばれていった。
少し奥まったところに着くと兄様は僕を抱いたまま、
「フェル~今日は特別可愛いね。その髪飾りも似合ってるよ。」
と褒めてくれた。
僕は「ありがとう。」とお礼を言い、兄様を改めて見た。
兄様は青色の膝丈ロングジャケットにベスト、黒色のパンツとブーツ。ジャケットには金の刺繍が襟から膝までのラインに施されてある。首元と袖から白のレースのようなものが見えていた。
「(おぉっ!まさに中世ヨーロッパって感じ…。)兄様も凄くかっこいいね。」
「ホントに?嬉しいなぁ~フェルに褒めてもらえるなんて。滅多にこんな正装しないからね、正直堅苦しいけどフェルに褒められるのならたまにはいいかな?」
と笑っていた。
それから、式がもうすぐ始まるからと新郎新婦の席の近くに駆け寄った。
すでに父様と母様、タジェット兄様は来ており、席に座っていた。
「おぉ!ようやく来たか。もうすぐ始まるぞ。席に座りなさい。」
そう促されて僕は席に座った。
「初めまして。私はメドウ・クリプトンと申します。」
急に自己紹介をしたかと思うと僕の手を取り、手の甲に口付けてきた。
「(えっ…ちょっ…何してるの!?)」
僕は慌てて手を引っ込める。
「あの…?」
と僕が声を掛けると、
「突然、申し訳ございません。あまりにも美しい方がいらっしゃいましたので思わず手に口付けてしまいました。貴方様のお名前を伺っても宜しいですか?」
とニコッと笑い、話し掛けられた。
僕は顔を赤くしながら「(もう…!この世界はイケメンばっかりなんだから~!ドキドキし過ぎて僕が耐えれないよ~!)」と身悶える。
それを相手は名前を教えてもらえないと思ったのか「どうしてもダメでしょうか…?」と伺うように聞いてきた。
「あっ…いや…こちらこそ、申し訳ございません。突然のことにビックリしておりました。初めまして、私はフェンネル・ローランドと申します。」
僕は出来る限り丁寧なお辞儀をして応える。
すると、相手は「やっぱり。」という表情となり、
「やはり、そうだったのですね。ロザリーナに似ておりましたのでご兄弟かと思っていたんです。私はロザリーナと同級生なんです。」
と言った。
「(そっか!姉様の友人もそりゃあ来るよね。それじゃあ、きちんと挨拶しなくっちゃ!)
そうでしたか…本日は姉様のためにわざわざお越し下さりありがとうございます。姉様も喜ぶと思います。後で是非、姉様にお声を掛けてあげて下さい。」
「本日は誠におめでとうございます。私もフェンネル様と出会えて嬉しく思います。是非ともこれから宜しくお願い致します。」
と言い、再び手を握ってきた。
「(なんかヤバイ…?クリプトン様の目に熱が篭ってる気がするんだけど…。)」
僕が返答に困っていると、後ろから「フェル!」と呼ばれた。
振り返るとカラマス君が手を振ってこちらに歩いてくる。
カラマス君が僕の隣に立つと「こちらの方は?」とクリプトン様に聞かれた。
「初めまして、私はカラマス・セイボリーと申します。本日、結婚するアミリス・セイボリーの弟です。…そして、こちらにいるフェンネルの婚約者でもあります。」
とカラマス君は僕の肩を抱いて、ニッコリと微笑んだ。
僕は「(えぇっ!?)」と驚いてカラマス君を見たが、カラマス君はクリプトン様から目を離さず微笑んだままだ。
クリプトン様は「…そうだったんですね…。カラマス様、本日は誠におめでとうございます。では、私は友人と待ち合わせてますので失礼致します。」と言って去っていった。
クリプトン様の姿が見えなくなると「フェル~!」と少し怒った様に名前を呼ばれる。
僕は「どうしたの?」と聞くと「お前、狙われてたんだぞ?気付かなかったのか?」と言われた。
「(あっ…やっぱりそうだったんだ。)
なんとなく、そんな気はしてたけど悪い人じゃなさそうだったから…。」
とチラッとカラマス様を見ると
「…だったから、何?あいつと付き合ったりするのか?」
「いや、そこまでは考えてないけど、せっかく声を掛けてもらったから少し話そうかと…。」
「はぁ~…フェルは警戒心が無いんだから、気を付けないと…俺がああやって誤魔化したからいいものの…それにこんな服装で来るし…。」
と僕をジッと見つめた。
僕もカラマス君を見つめて「…似合わない?」と聞くと「違う!似合い過ぎてるから心配なんだ!」と抱き締められた。
僕はフフッと笑うと「ありがとう。」とお礼を言い、抱き締め返した。
「はい、そこまで~。」
僕とカラマス様は誰かの手によって引き剥がされた。
2人でビックリしていると引き剥がしたのはディル兄様だった。
ディル兄様はカラマス君を無視しながら
「フェル~探したよ。いつまで経っても来ないからコッチから来たんだ~。さぁ姉様のところに行こうね~。」
と僕を抱き上げた。
「わっ!兄様~!あっちょっ…!カラマス君、ごめんね~!」
僕はそのまま兄様に運ばれていった。
少し奥まったところに着くと兄様は僕を抱いたまま、
「フェル~今日は特別可愛いね。その髪飾りも似合ってるよ。」
と褒めてくれた。
僕は「ありがとう。」とお礼を言い、兄様を改めて見た。
兄様は青色の膝丈ロングジャケットにベスト、黒色のパンツとブーツ。ジャケットには金の刺繍が襟から膝までのラインに施されてある。首元と袖から白のレースのようなものが見えていた。
「(おぉっ!まさに中世ヨーロッパって感じ…。)兄様も凄くかっこいいね。」
「ホントに?嬉しいなぁ~フェルに褒めてもらえるなんて。滅多にこんな正装しないからね、正直堅苦しいけどフェルに褒められるのならたまにはいいかな?」
と笑っていた。
それから、式がもうすぐ始まるからと新郎新婦の席の近くに駆け寄った。
すでに父様と母様、タジェット兄様は来ており、席に座っていた。
「おぉ!ようやく来たか。もうすぐ始まるぞ。席に座りなさい。」
そう促されて僕は席に座った。
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