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第1章
27. ディル兄様
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ディル兄様の意味深な発言に動揺しつつも、
「じゃ…じゃあ僕、タジェット兄様の部屋に行かないといけないから…!」
と言い、立ち上がった。
するとディル兄様は
「えーもう行くの?もっと喋ろうよーフェルー。」
と抱き着いてくる。
身長121cmの僕と比べ、14歳にしてすでに170cmを超える兄様にとっては覆い被さるような形になる。
「ダッダメ!大事な用事があるから!」
と僕は手を突っぱねて頑なに断った。
「んー…わかった…。じゃあ明日!明日は私がフェルの部屋に行くよ!それでいいなら今日は引き下がる!」
「(いや…そもそも抱き着いてるのは兄様であってこの手を離してくれればいいだけなんけど…とりあえずこの場をどうにかしないと。)
わかった。もうそれでいいよ。」
と渋々返事をした。
「やったー。はい!じゃあ離れるね。」
とさっきまでの執着が嘘のように離れる。
「…じゃあ兄様、僕もう行くね。」
「うん、おやすみー。」
とバイバイしながら言われた。
僕は急いで廊下に逃げる。
「(ちょっとー!聞いてないよー!ディル兄様はワンコ攻めかクール攻めかと思ってたのに小悪魔とか!それ受け限定じゃないの!?いや誘い受け!?あんな性格だと思わなかった!いや、待てよ。あの感じは僕に執着してるのかな?そしたらタジェット兄様と一緒でヤンデレじゃないか!ウチの兄弟はヤンデレ兄弟か!せめて溺愛で止まってくれー!うーん…ほとんどディル兄様からは腐の僕から見ても何も感じなかったから安心しきってたよ…。けど、なんで急に素を見せるようになったんだろ…謎だぁ~。)」
そう思いながらタジェット兄様の部屋の前に着き、僕は一度深呼吸をして扉をノックした。
「タジェット兄様、フェルだけど入ってもいい?」
「どうぞ。」
その声を聞き、入室する。
兄様は机に向かって何かしていたようだったので近付いて「何してるの?」と机上を覗き込んだ。
「ちょうど良かった。今、ミモザ様宛ての手紙が書き終わったところだったんだ。これを明日、渡してくれる?」
兄様は僕に手紙を差し出してきた。
僕は「わかった!」と言い、それを受け取る。
すると兄様は僕の顔を覗き込み「なんかフェル、疲れてる?」と聞いてきた。
「(流石兄様、鋭い!!)
ううん!大丈夫だよ?元気元気!」
と笑顔で返事をしたが兄様は何処か納得していない様子。
「(ディル兄様のせいとは言えないよね…。)」
僕は早々に「念の為、早く休むね。」と言い、兄様の部屋を出た。
「(ふぅ~。ディル兄様のせいで疲れちゃったよ。明日からどんな顔して会えばいいんだろ。なんか最近、兄様達に気を遣ってばっかだな…。もう早く寝よっと…。)」
そう思い、早めに眠りについた。
次の日、僕はいつも通りに授業を受け、ミモザ様宛ての手紙を渡すタイミングを見計らっていた。上級生のクラスに行くのは気が引けるが、待っていても来てくれるわけではないので仕方ないがミモザ様のクラスに行くことにする。
「(ミモザ様のクラス知らないし!どうしよ…とりあえず1番近いクラスから確認するしかないか…。)」
そう思い、Aクラスから覗いてみた。放課後だったので数名、教室に残り談笑していただけだった。しかし、その中にミモザ様はおらず「(違ったか…。)」と隣のBクラスへ。
Bクラスを覗くと知らない人と目が合った。僕はバッと目線を外し、ドアに隠れる。
「(僕、何も悪いことしてないけどこういうのってなんか隠れちゃうんだよね…。)」と言い訳しながら、もう一度覗こうとすると「なんか用か?」とさっき目が合った上級生に話し掛けられた。
髪は茶色で短髪、眼は緑色。
「あっ…えっと、ミモザ・ローマン様を探してて…。」と僕が緊張しながら言うと「あぁ、ローマンか。クラスにはいないけど中庭にでも取り巻き連れているんじゃないか?」と教えてくれた。
「ありがとうございます。行ってみます。
(助かった~!)」
と僕が安心していると、さっきの上級生が
「なんであいつを探してるかはわかんねぇけど、なんかあったら俺に言えよ。あいつの性格はだいたいわかってるつもりだからさ。俺はセージ・バークだ。ここの委員長をしてる。」
と親切にも言ってくれる。
「あっ、ありがとうございます。僕はフェンネル・ローランドです。宜しくお願いします。」
そう自己紹介をすると、
「お前が噂のフェンネル様か。お前、副会長の件でちょっとした有名人だぞ。」
「(えー!!やっぱりか~!)
えっ…そうなんですか…。なるべく目立たないようにします…。」
「いや、別に大丈夫とは思うけど…。まぁそんな気にすんなよ、この学院内は普段、代わり映えしないから皆、面白がってるだけだからさ。その内、収まるだろ。」
僕が「(良い人~!)」と感動していると「じゃあな、俺は今から委員会があるから。副会長様にローランドに会ったぞ、って自慢しとくな。」と悪戯っ子のような顔をして去っていった。
「じゃ…じゃあ僕、タジェット兄様の部屋に行かないといけないから…!」
と言い、立ち上がった。
するとディル兄様は
「えーもう行くの?もっと喋ろうよーフェルー。」
と抱き着いてくる。
身長121cmの僕と比べ、14歳にしてすでに170cmを超える兄様にとっては覆い被さるような形になる。
「ダッダメ!大事な用事があるから!」
と僕は手を突っぱねて頑なに断った。
「んー…わかった…。じゃあ明日!明日は私がフェルの部屋に行くよ!それでいいなら今日は引き下がる!」
「(いや…そもそも抱き着いてるのは兄様であってこの手を離してくれればいいだけなんけど…とりあえずこの場をどうにかしないと。)
わかった。もうそれでいいよ。」
と渋々返事をした。
「やったー。はい!じゃあ離れるね。」
とさっきまでの執着が嘘のように離れる。
「…じゃあ兄様、僕もう行くね。」
「うん、おやすみー。」
とバイバイしながら言われた。
僕は急いで廊下に逃げる。
「(ちょっとー!聞いてないよー!ディル兄様はワンコ攻めかクール攻めかと思ってたのに小悪魔とか!それ受け限定じゃないの!?いや誘い受け!?あんな性格だと思わなかった!いや、待てよ。あの感じは僕に執着してるのかな?そしたらタジェット兄様と一緒でヤンデレじゃないか!ウチの兄弟はヤンデレ兄弟か!せめて溺愛で止まってくれー!うーん…ほとんどディル兄様からは腐の僕から見ても何も感じなかったから安心しきってたよ…。けど、なんで急に素を見せるようになったんだろ…謎だぁ~。)」
そう思いながらタジェット兄様の部屋の前に着き、僕は一度深呼吸をして扉をノックした。
「タジェット兄様、フェルだけど入ってもいい?」
「どうぞ。」
その声を聞き、入室する。
兄様は机に向かって何かしていたようだったので近付いて「何してるの?」と机上を覗き込んだ。
「ちょうど良かった。今、ミモザ様宛ての手紙が書き終わったところだったんだ。これを明日、渡してくれる?」
兄様は僕に手紙を差し出してきた。
僕は「わかった!」と言い、それを受け取る。
すると兄様は僕の顔を覗き込み「なんかフェル、疲れてる?」と聞いてきた。
「(流石兄様、鋭い!!)
ううん!大丈夫だよ?元気元気!」
と笑顔で返事をしたが兄様は何処か納得していない様子。
「(ディル兄様のせいとは言えないよね…。)」
僕は早々に「念の為、早く休むね。」と言い、兄様の部屋を出た。
「(ふぅ~。ディル兄様のせいで疲れちゃったよ。明日からどんな顔して会えばいいんだろ。なんか最近、兄様達に気を遣ってばっかだな…。もう早く寝よっと…。)」
そう思い、早めに眠りについた。
次の日、僕はいつも通りに授業を受け、ミモザ様宛ての手紙を渡すタイミングを見計らっていた。上級生のクラスに行くのは気が引けるが、待っていても来てくれるわけではないので仕方ないがミモザ様のクラスに行くことにする。
「(ミモザ様のクラス知らないし!どうしよ…とりあえず1番近いクラスから確認するしかないか…。)」
そう思い、Aクラスから覗いてみた。放課後だったので数名、教室に残り談笑していただけだった。しかし、その中にミモザ様はおらず「(違ったか…。)」と隣のBクラスへ。
Bクラスを覗くと知らない人と目が合った。僕はバッと目線を外し、ドアに隠れる。
「(僕、何も悪いことしてないけどこういうのってなんか隠れちゃうんだよね…。)」と言い訳しながら、もう一度覗こうとすると「なんか用か?」とさっき目が合った上級生に話し掛けられた。
髪は茶色で短髪、眼は緑色。
「あっ…えっと、ミモザ・ローマン様を探してて…。」と僕が緊張しながら言うと「あぁ、ローマンか。クラスにはいないけど中庭にでも取り巻き連れているんじゃないか?」と教えてくれた。
「ありがとうございます。行ってみます。
(助かった~!)」
と僕が安心していると、さっきの上級生が
「なんであいつを探してるかはわかんねぇけど、なんかあったら俺に言えよ。あいつの性格はだいたいわかってるつもりだからさ。俺はセージ・バークだ。ここの委員長をしてる。」
と親切にも言ってくれる。
「あっ、ありがとうございます。僕はフェンネル・ローランドです。宜しくお願いします。」
そう自己紹介をすると、
「お前が噂のフェンネル様か。お前、副会長の件でちょっとした有名人だぞ。」
「(えー!!やっぱりか~!)
えっ…そうなんですか…。なるべく目立たないようにします…。」
「いや、別に大丈夫とは思うけど…。まぁそんな気にすんなよ、この学院内は普段、代わり映えしないから皆、面白がってるだけだからさ。その内、収まるだろ。」
僕が「(良い人~!)」と感動していると「じゃあな、俺は今から委員会があるから。副会長様にローランドに会ったぞ、って自慢しとくな。」と悪戯っ子のような顔をして去っていった。
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