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第1章

17. 新入生歓迎会

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僕は部屋で悶々としていた。

「(ディル兄様、さっきの何だったんだろう…?普段はタジェット兄様がいつも側にいるからあまり話し掛けてこないのに…。それにデコチューされた!僕、恋愛初心者だからそんなことされたらドキドキしちゃうよ!ディル兄様もタジェット兄様も自分達がイケメンなの自覚してほしいよね!まったく!
どうせタジェット兄様に言っても「フェルに好かれないと意味ない。」とか言っちゃうんだよ、きっと!もう僕を萌え死にさせる気か!)」

僕は1人ハァハァ言ってた。側から見たら完全おかしい人だよね。

「(ディル兄様はおまじないって言ってたけど…よくわからない呪文も言ってたし…。まさか禁呪!?それだと兄様が罪に問われちゃう…!でも、まさかそんなことに手を出さないよね。禁呪の危険性は魔術学校に通ってる兄様が一番よくわかっているはずだし…まぁ僕がどう考えても結論は出ないから明日の為に早く寝ないと!)」

そう気楽に考えて布団に潜りこんだ。

すると思っていたよりも身体は疲れていたのか直ぐに寝付くことができた。



次の日、いつもの様にエリーに起こされ、お風呂と着替えを済ませた。朝食の場に行くとタジェット兄様はおらず、ディル兄様を見てもいつも通りである。流石にこの場で昨日のことを聞くわけもいかないので僕は黙って朝食を食べ学校に向かう為に馬車に乗り込んだ。

「(はぁ~昨日は皆で乗ったから寂しくなかったけど、1人で乗るとこんなに寂しいのか…。)」

僕はそのまま外の景色を眺めながら過ごす。

そんなことを考えているとふと、馬車が止まった。

僕は運転手に手伝ってもらいながら馬車を降り、教室へと向かう。ドアをガラッと開けると昨日と同じく教室がシーンとなった。

「(わかってたけど、やっぱり居心地悪いなぁ…。)」

僕がしょんぼりしながら席に着くと直ぐにランタナが声を掛けてくれた。

「フェンネル様、おはようございます。」

今日も彼女は笑顔だ。

「おはよう、ランタナ。…この空気どうにかならないかな…?」

僕は苦笑いでコソッとランタナに聞こえるように言う。

ランタナも僕の表情から「そうですね…。しばらくはこのままかと…こういうのは時間が解決してくれる、と言うのではないですか?」とランタナはクスリと笑った。

ランタナの言う通り僕も今から無理に友達作りをするのは得策ではないな、と思う。なので、既に仲良くなった人との信頼度を上げることにした。

手始めにアニスに声を掛けることにする。

「ランタナ、ちょっとアニスのとこに行ってくるね。」

そう声を掛けアニスの席に近付いた。

アニスは机で本を読んでいるようで僕が近付いていることには気付いていない。

 「アニス、おはよう!」と気付いてもらえるように少し大きな声を出す。

アニスはこちらを振り返って「おはよう。」と返事してくれた。

でも、それ以降はまた本に目を向けてしまい僕はそれ以上なんて言っていいかわからず、大人しく席に戻った。

「(う~ん…まだそこまで仲良くなれないか…。)」

と落ち込んでいるとマシュー先生が教室に入ってきた。

「おはようございます。皆さん、席に着いてますね、今日は上級生が皆さんのために歓迎会を開いてくれます。最初は全員で、その後は各能力別に分かれてその先輩達が行ってくれます。それでは、移動しましょう。」

そう言うと皆を廊下に促した。全員で並んで入学式が行われた広間に行くと、あのウサ耳の男の子を見つける。

「(あぁ~!ウサ耳ショタっ子!やっぱり隣のクラスだった~!仲良くなりたいな~!)」

念を送るようにガン見していると彼と目が合う。しかし、彼はギョッとした顔をしてまた目を逸らしてしまった。

「(あぁ~…またダメだった~。)」

とまたもや振られて僕は落ち込む…。





しばらく待っていると放送が聞こえた。

「只今より新入生歓迎会を始めます。司会進行は生徒会会長、カッシア・バークが進めて参ります。では、理事長よりご挨拶を頂きます。」

「(生徒会会長かぁ…まだ10歳なのに大変だなぁ…。それに…やっぱりあれは…攻めだな!)」

そんなことを考えながら新入生歓迎会を楽しんだ。全体の歓迎会は終わり、各能力別での歓迎会となる。僕は水だけど、ランタナは火だしアニスも風で一緒に行動するのは出来ない。なので、1人で水の能力の先輩に着いていこうとした。

その時、

「ロッ…ローランド様!」

振り返ると、なんと!あのウサ耳ショタっ子だった。

「あっ…あの僕も能力が水なんですが、ローランド様も水だとお伺いして…ご一緒しても宜しいですか?」

なんて、顔を真っ赤にしてモジモジと言われてしまった。

「(なっなんて可愛いんだ!これぞ理想のショタっ子!)」

僕は感動して、

「うん!うん!」

と満面の笑みで答えた。
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