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番外編【ディル編】
11. 王妃生活8
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「ここは…。」
「貴方達の自室であってるかしら?」
私の身体は自室のソファーに腰掛けられている。
「貴方、妊娠しているならもっと身体を大事にしなさいよ。あんな場所に一人で来るなんて…赤ちゃんを殺す気?」
彼女の言葉にどきりとする。
勿論、長距離の移動とスラムに足を踏み入れることがどんなに危険なことか考えなかったわけじゃない。しかし心の何処かでなんとかなる、と思っていたのを見透かされていたようだ。
「…ッ!すまない。」
「私に謝らなくていいわ、お腹の赤ちゃんと旦那さんに謝りなさい。」
それから暫くしてファーが戻ってきた。
「ディル!今もどっ…!誰だ⁉︎」
彼女の姿を見た彼は私を守るように抱き締める。
「…ッ!ファー、落ち着いて。」
彼を宥めるように背中をさするが彼の身体は強張ったままだ。
「はぁ~…お熱いことで。」
彼女の呆れた声が聞こえる。
「…この人は魔術師のアークレット様だよ、何故彼女が此処にいるか説明するからこっちに座って。」
私は冷静に彼をソファーに座らせ、これまでの経緯を説明し始めた。
私の話を静かに聞いていた彼だったが私が話し終えると珍しく怒りを露わにしている。
「…話は分かった。彼女が何故此処にいるのか理解しよう。しかし…ディル!君はなんて危険なことを!」
私の手を握りしめる彼の表情は真剣そのものだ。
「心配かけてごめんなさい。どうしてもフェルに会いたくて無茶をしたんだ、それをアークレット様に諭されて…。赤ちゃんのことも後回しにして本当にごめんなさい…。」
責任感のない自分の行動に今更ながら呆れを感じる。
暫く沈黙が続くとそっと彼に抱き締められた。
「私こそ、すまない。君がそこまで追い詰められているなんて気付きもしなかった…。愛してるが故に君を縛り付けていたんだね。」
自分で起こしたことなのに彼の哀しそうな言葉が心に突き刺さる。正直、彼からの十分すぎるほどの愛に始めは戸惑っていた、しかし彼と過ごす内にその愛情も含めて彼を好きになったのだ。
「ううん、違うよ。私が割り切れなかっただけ。ファーは悪くない。」
私は彼の抱擁に抱き締め返すと自分の頰を相手の頰に擦り付けた。その瞬間、彼は私の身体をより一層強く抱き締めた後、突然彼女に頭を下げた。
「アークレット様、王妃が迷惑をかけて申し訳なかった、どうか私達に君の力を貸してもらえないだろうか。」
突然の行動に私は目を丸くする。
彼は王様という立場から国民や大臣達の見本とならなければない。それ故に一国民に頭を下げるなど本来あってはならないことなのだ。
彼女は私とファーのやり取りを見ながら「王様が一国民に頭を下げるなんてね。」とぼやいている。
しかしファーは行動を改めるつもりはないらしい。
「私の立場は関係ない、妻が迷惑をかけたのだから謝罪するのは当たり前だ、それにここまで彼を無事に帰還させてくれたことにも礼を言う。」
彼女はふぅ~と溜息を吐き「…まぁいいわ、頭を上げて。私はこの依頼を終えたらこの国を去るわ。今後どうなるか分からないけどこの国がずっと栄えていくことを祈ってる、頑張ってね、王様、王妃様。」と微笑むと杖を一振りした。
すると目を見開いて驚く私達の息子マストと目が合った。
「貴方達の自室であってるかしら?」
私の身体は自室のソファーに腰掛けられている。
「貴方、妊娠しているならもっと身体を大事にしなさいよ。あんな場所に一人で来るなんて…赤ちゃんを殺す気?」
彼女の言葉にどきりとする。
勿論、長距離の移動とスラムに足を踏み入れることがどんなに危険なことか考えなかったわけじゃない。しかし心の何処かでなんとかなる、と思っていたのを見透かされていたようだ。
「…ッ!すまない。」
「私に謝らなくていいわ、お腹の赤ちゃんと旦那さんに謝りなさい。」
それから暫くしてファーが戻ってきた。
「ディル!今もどっ…!誰だ⁉︎」
彼女の姿を見た彼は私を守るように抱き締める。
「…ッ!ファー、落ち着いて。」
彼を宥めるように背中をさするが彼の身体は強張ったままだ。
「はぁ~…お熱いことで。」
彼女の呆れた声が聞こえる。
「…この人は魔術師のアークレット様だよ、何故彼女が此処にいるか説明するからこっちに座って。」
私は冷静に彼をソファーに座らせ、これまでの経緯を説明し始めた。
私の話を静かに聞いていた彼だったが私が話し終えると珍しく怒りを露わにしている。
「…話は分かった。彼女が何故此処にいるのか理解しよう。しかし…ディル!君はなんて危険なことを!」
私の手を握りしめる彼の表情は真剣そのものだ。
「心配かけてごめんなさい。どうしてもフェルに会いたくて無茶をしたんだ、それをアークレット様に諭されて…。赤ちゃんのことも後回しにして本当にごめんなさい…。」
責任感のない自分の行動に今更ながら呆れを感じる。
暫く沈黙が続くとそっと彼に抱き締められた。
「私こそ、すまない。君がそこまで追い詰められているなんて気付きもしなかった…。愛してるが故に君を縛り付けていたんだね。」
自分で起こしたことなのに彼の哀しそうな言葉が心に突き刺さる。正直、彼からの十分すぎるほどの愛に始めは戸惑っていた、しかし彼と過ごす内にその愛情も含めて彼を好きになったのだ。
「ううん、違うよ。私が割り切れなかっただけ。ファーは悪くない。」
私は彼の抱擁に抱き締め返すと自分の頰を相手の頰に擦り付けた。その瞬間、彼は私の身体をより一層強く抱き締めた後、突然彼女に頭を下げた。
「アークレット様、王妃が迷惑をかけて申し訳なかった、どうか私達に君の力を貸してもらえないだろうか。」
突然の行動に私は目を丸くする。
彼は王様という立場から国民や大臣達の見本とならなければない。それ故に一国民に頭を下げるなど本来あってはならないことなのだ。
彼女は私とファーのやり取りを見ながら「王様が一国民に頭を下げるなんてね。」とぼやいている。
しかしファーは行動を改めるつもりはないらしい。
「私の立場は関係ない、妻が迷惑をかけたのだから謝罪するのは当たり前だ、それにここまで彼を無事に帰還させてくれたことにも礼を言う。」
彼女はふぅ~と溜息を吐き「…まぁいいわ、頭を上げて。私はこの依頼を終えたらこの国を去るわ。今後どうなるか分からないけどこの国がずっと栄えていくことを祈ってる、頑張ってね、王様、王妃様。」と微笑むと杖を一振りした。
すると目を見開いて驚く私達の息子マストと目が合った。
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