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第4章

111. 面影

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しかし、インペリアルの側を離れるなと言われた手前、その魔族に会いに行くことが出来ない。それに事情を説明したらその魔族が処分されるかもしれない。

上司はともかくその魔族には一応助けられたんだよね…。

心境は複雑だったが、取り敢えず2人が戻ってくるまでこの事は保留にしようと決めた。





それから半日後、先に戻ってきたのはネフライトだった。

「ショウ様!!!」

彼が腕を広げて駆け寄ってくる。ギュッと苦しいくらいに抱き締められ思わず笑みが溢れた。

「ネフライト、また会えて嬉しいよ。ずっと捜しててくれてありがとう。」

「いいえ、貴方に会う為でしたらどんな苦労も厭いません。ああ…やはり貴方の側は居心地が良い…。」

そう言ってネフライトは僕の首筋に頰を擦り付けてくる。彼の綺麗な髪が頰や首に当たり擽ったくて笑っていると「ネフライト、どけ。」と低い声に呼びかけられた。誰だろうと振り返ると30代前半くらいの男性が立っている。ネフライトは渋々と僕から手を離し「そんな怖い声を出さないで下さい。ショウ様が怯えています。」と告げる。「(えっ!怯えてはないよ!)」と思いながらも誰か分からず首を傾けていると背後でボソッと「ショウ様…モリオン様です。」とネフライトが教えてくれた。

僕は驚いて目を見開きモリオンの面影の無くなった彼をジッと見つめる。

「…本当にモリオンなの…?」

まだ僕は半信半疑だった。すると彼はコクッと頷き「ああ。」と告げる。

えっえっ⁉︎嘘⁉︎あれがモリオン⁉︎まだ青年みたいで可愛い感じだったのに、なんかもう魔王としての貫禄がある…!というか僕より明らかに年上になってるんですけど!!!

僕の脳内は突然のことにパニックになり口からは「あっ…うっ…。」としか発せない。

するとモリオンがズンッズンッと僕に近付き「ショウ…やっと会えた…俺と結婚してくれ。」と告げる。

とうとうキャパオーバーになった僕はその場で気を失った。





次に目を覚ますと自室のベッドの上だった。

あれ…なんかデジャヴ…。

そう思った瞬間、視界にネフライトとモリオンの姿が入ってくる。なにやら足下で言い合いになっている、

「モリオン様!まだ混乱しているショウ様になんてことを言うんですか!貴方が余計なことを言うからショウ様が倒れてしまったんですよ⁉︎」

「余計なこととはなんだ、婚姻を申し込むのが余計なことと言うのか。」

「時と場所を選んで下さい!それにショウ様と結婚したいのは貴方だけではないのですよ⁉︎私だってまだ告げてないのにあんなにあっさりと言わないで下さい!」

「そんなもの早い方がいいに決まってるだろう。そんなんだからショウに振り向いてもらえないんだ。」

「なんですってぇー⁉︎」

部屋が爆発しそうな気配を感じ、ワザと「ヴウッ!」と声を上げてみる。案の定、2人が喧嘩を止め近付いてきた。
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