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第4章

102. 方法

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「俺のことはどう思ってるの…?」

そう身を乗り出すように告げたモリオンの顔は今までにないくらい真剣そのものだ。

「そりゃあ好きに決まってるよ。だってこの15年間、ほとんど一緒にいたんだから…。モリオンの良いところも悪いところも僕は全部好きだよ。」

僕が答えると彼はホッとしたように「じゃあ、一生側に居てくれる?」と続け様に告げる。

「…。」

僕はその返答に言い澱み、とうとうこの質問が来てしまったのかと一つ大きく深呼吸をした。

「モリオン、今まで黙ってたんだけど僕は君の成人を迎えたらこの地を離れるつもりなんだ。」

そう一言告げるとモリオンは目を見開き「なんで⁉︎」と声を荒げる。この反応は想定済みだ、僕はゆっくりと話を続ける。

「元々僕はこの世界の人物じゃない…それに元を正せば、魔法も何も使えない普通の人間なんだ。この姿もある事情で魔族に変化しているだけ。君が成人を迎えたら僕は人間界に行き、人間として暮らす。そしたらモリオンと種族も違うし寿命も違う。そんな2人が一緒に居られるはずないでしょう…?」

僕は泣きそうになっているモリオンの頭を撫で、優しく微笑む。今度は流石に振り払われなかった。

「なんで人間界に行くって決まってるの⁉︎俺のことが好きならこっちにいたっていいじゃないか!」

「うん…そうなんだけどね。でも僕にはここを離れないといけない理由があるんだ。勿論、離れないでいいかもしれない…。うーん…僕もよくわからないんだけど、とにかくモリオンが成人を迎えたら一度離れないといけないんだ。一度人間界に行って、もしかしたらコッチに戻ってこれるかもしれないし、戻れないかもしれない…。モリオン、ごめんね。意味分からないよね?」

話していて僕もよく分からなくなってきた。案の定、モリオンは腑に落ちない表情で僕を睨んでいる。

ああ…神様、僕はどうしたらいいんでしょう…。

なんて説明すれば納得してもらえるか分からないが、何故か神様の名前は出しちゃいけない気がして余計に話がこんがらがる。

「じゃあ俺はどうしたらショウを繋ぎとめておける…?」

「…うーん…取り敢えず成人しないと分からない…かな?」

モリオンはガクッと分かりやすく項垂れた。
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