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第4章

101. 弁釈

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僕はモリオンの居そうな所を走り回り、すれ違う人がいればその人に聞いて回った。

モリオン…何処にいるの…?部屋には居なかったし中庭だって…。

僕が知る限りモリオンの行動範囲は狭い。ほとんど部屋と広間の往復しかしていなかった。

何処か想い出の場所…。

「あっ!!!」

僕はある所に向かって走り出した。





バンッ!

ドアを開け放つとやはりそこには目を閉じ縋り付くように幹にもたれるモリオンの姿があった。

「モリオン、やっぱりここに居た…。」

僕はゆっくり彼に近付く。

僕と初めて会った場所…そして性徴と共に時間を共有した生命の樹木の部屋に彼は居た。僕はそっと彼の側に膝をつき、彼の髪を撫でる。しかし直ぐに払い除けられてしまった。

「…触らないで。」

不貞腐れた様な表情で彼が告げる。僕は振り払われた手を大人しく引っ込めると彼に謝った。

「モリオンごめん、君を傷付けてばかりで…。あの…魔王様に言われたんだ。僕達には言葉が足りないって…だから今まで僕が思っていたことや考えていることをモリオンに伝えたいと思うんだけど、いいかな…?」

「…。」

彼は無言だったが、僕は気にせず1人で話し出した。






一通り話し終わり「ふぅ~。」と吐息を吐く。彼の方を見ると僕の話を聞いてくれていたのか視線はこちらに向いている。

「…ショウは父様のことを愛してるんじゃないの?」

「違うよ、尊敬はしてるけど。」

「じゃあ真名のことは⁉︎真名が凄く大事なのは知ってるよね⁉︎」

「うん、でもそれは真名が大事だ、って知る前に魔王様に自己紹介しちゃって真名を告げただけだよ。」

「えっ…。じゃあ父様とよく抱き合ったりしてたのは⁉︎」

「抱き合った⁉︎うーん…抱き着いてたりはしてたけどそれは魔王様が父親みたいだからで…魔王様も僕のことは息子のようだ、って言ってたし。」

「…ッ!ネフライトは⁉︎俺はショウがネフライトに抱き着いているところを見たよ⁉︎」

「…?あぁ!あれかな、僕がモリオンのことで悩んで相談に乗ってもらってた時かな。確かに僕からネフライトに抱き着いたよ。でもそれは愛情から、というのじゃなくて…うーん…なんて言ったらいいのかな…僕が弱音を吐いたから甘えさせてもらっただけだというか…。」

「じゃあネフライトのことは好きじゃない?」

「うん…今のところは。」

「今のところは…?」

「…ッだって!僕はモリオンが成人を迎えるまで恋愛はしないって決めてるんだ、だから意図的にそういう風に見ないようにしてる。だけど、ネフライトはそれでもいいと待ってくれるみたいだから、今後どうなるかは僕にも分からないよ…。」

「ネフライトはショウに告白したんだ?」

「まぁ…そうだね。」

気まずい沈黙が流れる。
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