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第4章

95. 登城

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バンッ!!!

「魔王様!」

僕は勢いよく扉を開け、魔王様の元へ駆け寄る。

「魔王様!サトーです!大丈夫ですか⁉︎」

勢いのまま身を乗り出すと魔王様の側にいた医官のオパールさんに驚かれる。

「サッ…サトー様⁉︎戻られたのですか⁉︎」

オパールさんが腰を抜かしながら叫んだ。

「あっ…すみません、驚かせてしまって…!魔王様が危篤だと聞いて急いで戻ってきたんです。あの…魔王様の容態は…?」

オパールさんは慌てた様子で身を起こすと「…状態は良くありません。」と続けた。

「本日の正午頃、昼食を召し上がってから体調を崩されまして今は私の魔力供給で落ち着いております。しかし元々この数年、お身体の調子が良くなかった為、それがいつまで持つか…。」

オパールさんは哀しそうな表情のまま顔を俯かせ、魔王様の状態を告げる。

「どうにか魔王様を良くする方法はないんですか⁉︎僕に出来ることならなんでもします!だから方法があるなら教えて下さい!」

僕の様子は必死だっただろう、僕は魔王様の手を握りしめながらオパールさんに詰め寄る。と、その時…「…ッ…サトー…。」とか細い魔王様の声が聞こえた。

「魔王様⁉︎」

彼はうっすらと目を開くと「戻ってきたのか。」と零す。

「はい!魔王様が心配で…!」

「いいのか…モリオンが来てしまうぞ。」

「…ッいいんです…!そんなことより僕は魔王様の方が大切です!魔王様にはモリオンが成人した姿を見てほしい…だから、それまでは生きて下さい!」

僕は涙ながらに胸の内を告げる。すると魔王様は僕が握っていない反対の手を伸ばし僕の頭をそっと撫でてくれた。

「サトー…其方は相変わらず優しいな…。モリオンが惚れるのも分かる。我がこんな状態でなければ、伴侶になって欲しい程に…。」

「魔王様…!そんなこと…。」

こんな時になんて冗談を言うんだ!

「はぁ…我もモリオンが立派に成人したところを見てから逝きたいものだ…。しかし…この目ではもうその姿は見れまい。だが、せめてそれまでは彼奴の父親でありたいのだ…。」

そう震える声で告げる彼に何も出来ない無力な自分が嫌になる。

魔王様…魔王様…!ごめんなさい!僕は迷惑ばかりかける役立たずだ…!今までこんなに良くしてくれたのにこんな時に限って何もお返しができない…。せめて…どうにかモリオンの姿を見せてあげたい…。なにか…なにか方法は…?

「…!魔王様!僕の片目をあげます!それで成人したモリオンの姿を見ましょう!」
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