85 / 122
第3章
85. 独白
しおりを挟む
驚き目を見張るとアクアが「うわぁ!パパ大胆!」と驚きの声を上げる。しかし、その声色は嬉しそうだ。
えっ⁉︎ちょっ…どうして⁉︎アクアの前でこんなことしなかったのに…!
素早く身を引きインカさんから唇を離すと彼はアクアの方に向き直り「どうだ、パパとママは仲良しだろう?近いうちにアクアに弟か妹を作ってやるからな?」と衝撃的なことを告げた。
その言葉に僕が口をあんぐりと開けていると一際テンションの上がったアクアが「本当⁉︎いつ⁉︎いつ出来るの⁉︎」と立ち上がった。そして僕のところまで走り寄ってくると「えっ⁉︎もうママのお腹にいるの⁉︎」と僕のお腹を撫で始める。僕は「いや、いないから!」とアクアをなだめると笑顔のインカさんをキッと睨んだ。
朝食後、アクアが近所の友達と遊んでくると言うので家には僕とインカさんだけが残る。
「…。」
「…。」
ソファーに座るインカさんを横目に僕はお茶の準備しながら何て声を掛けようか悩んでいた。先程の発言の意味を知りたくて仕方がない。
あの言葉の意味って…そのまんまの意味なのかな?…てことは僕と…!
想像してボッと顔を赤くする。あんなことまでされといて今更だとは思うが、恋愛初心者の僕からすればセックスなど夢のまた夢だ。カタカタと震える手でお盆を持ちながらインカさんに近付き、お茶を差し出す。彼は静かに口をつけるといつまでも座らない僕を見上げ腰を抱いた。
「いいから、隣に座れ。」
強制的に隣に座らされ、僕は動けなくなる。
「イッ…インカさん、この手を離して下さい。話だけならこんなに近くなくても話せます。」
そう言って手を押しやるが、彼が離す気配はない。
「この体勢の方が俺は話しやすい。」
「僕が話し辛いんです!」
間髪入れず答えると、なるべく彼から距離を取るように上半身を逸らした。
なっなんか…インカさん、俺様になってない⁉︎僕の気持ち、無視ばっかりして…!
「インカさん、もう少し僕の気持ちも考慮して下さい!昨日から変ですよ!」
今までの彼の様子からするとあまりの変化に戸惑いが隠せない。僕の困惑した表情を感じ取ったのか彼は沈んだように「…すまない。」と口にした。
「ショウの気持ちを優先させたいと思っているんだが…矛盾ばかりしているな…。しかし、気持ちが焦るんだ、このままだとショウはまたあの男のところへ帰ってしまうと。」
「あの男…?」
「ショウを迎えに来た男だ。」
「でもそれは仕事で戻るのであって彼の元へと戻るのかというとそうではないです…。」
僕がそう告げたが彼は頭を左右に振る。
「…俺にとっては同じことだ。前回、ショウがあの男と帰る時、釘を刺されたんだ、ショウに手を出すなと。最初はあの男の魔力で怖気付いてしまったがショウが居なくなり物凄く後悔した、何故もっと早くショウのことを繋ぎとめておかなかったのかと。ショウが再びココに来た時、あの男の言葉がチラついてなかなかショウに触れれなかったが、ショウが出て行くと言って吹っ切れた。俺はもう後悔したくない。俺は…あの男に比べると遥かに弱いし、ショウに贅沢もさせてやれない…。しかし、ショウとアクアを一生愛し、幸せな生活を共に歩んでいくことなら出来る。だから、ショウがいつか戻るとわかっていても自分のことを忘れて欲しくない一心で触れてしまった…。すまない、ショウ…こんな堪え性のない俺を許してくれ…。」
そう言って彼は頭を下げた。
えっ⁉︎ちょっ…どうして⁉︎アクアの前でこんなことしなかったのに…!
素早く身を引きインカさんから唇を離すと彼はアクアの方に向き直り「どうだ、パパとママは仲良しだろう?近いうちにアクアに弟か妹を作ってやるからな?」と衝撃的なことを告げた。
その言葉に僕が口をあんぐりと開けていると一際テンションの上がったアクアが「本当⁉︎いつ⁉︎いつ出来るの⁉︎」と立ち上がった。そして僕のところまで走り寄ってくると「えっ⁉︎もうママのお腹にいるの⁉︎」と僕のお腹を撫で始める。僕は「いや、いないから!」とアクアをなだめると笑顔のインカさんをキッと睨んだ。
朝食後、アクアが近所の友達と遊んでくると言うので家には僕とインカさんだけが残る。
「…。」
「…。」
ソファーに座るインカさんを横目に僕はお茶の準備しながら何て声を掛けようか悩んでいた。先程の発言の意味を知りたくて仕方がない。
あの言葉の意味って…そのまんまの意味なのかな?…てことは僕と…!
想像してボッと顔を赤くする。あんなことまでされといて今更だとは思うが、恋愛初心者の僕からすればセックスなど夢のまた夢だ。カタカタと震える手でお盆を持ちながらインカさんに近付き、お茶を差し出す。彼は静かに口をつけるといつまでも座らない僕を見上げ腰を抱いた。
「いいから、隣に座れ。」
強制的に隣に座らされ、僕は動けなくなる。
「イッ…インカさん、この手を離して下さい。話だけならこんなに近くなくても話せます。」
そう言って手を押しやるが、彼が離す気配はない。
「この体勢の方が俺は話しやすい。」
「僕が話し辛いんです!」
間髪入れず答えると、なるべく彼から距離を取るように上半身を逸らした。
なっなんか…インカさん、俺様になってない⁉︎僕の気持ち、無視ばっかりして…!
「インカさん、もう少し僕の気持ちも考慮して下さい!昨日から変ですよ!」
今までの彼の様子からするとあまりの変化に戸惑いが隠せない。僕の困惑した表情を感じ取ったのか彼は沈んだように「…すまない。」と口にした。
「ショウの気持ちを優先させたいと思っているんだが…矛盾ばかりしているな…。しかし、気持ちが焦るんだ、このままだとショウはまたあの男のところへ帰ってしまうと。」
「あの男…?」
「ショウを迎えに来た男だ。」
「でもそれは仕事で戻るのであって彼の元へと戻るのかというとそうではないです…。」
僕がそう告げたが彼は頭を左右に振る。
「…俺にとっては同じことだ。前回、ショウがあの男と帰る時、釘を刺されたんだ、ショウに手を出すなと。最初はあの男の魔力で怖気付いてしまったがショウが居なくなり物凄く後悔した、何故もっと早くショウのことを繋ぎとめておかなかったのかと。ショウが再びココに来た時、あの男の言葉がチラついてなかなかショウに触れれなかったが、ショウが出て行くと言って吹っ切れた。俺はもう後悔したくない。俺は…あの男に比べると遥かに弱いし、ショウに贅沢もさせてやれない…。しかし、ショウとアクアを一生愛し、幸せな生活を共に歩んでいくことなら出来る。だから、ショウがいつか戻るとわかっていても自分のことを忘れて欲しくない一心で触れてしまった…。すまない、ショウ…こんな堪え性のない俺を許してくれ…。」
そう言って彼は頭を下げた。
1
お気に入りに追加
1,511
あなたにおすすめの小説
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
モブに転生したはずが、推しに熱烈に愛されています
奈織
BL
腐男子だった僕は、大好きだったBLゲームの世界に転生した。
生まれ変わったのは『王子ルートの悪役令嬢の取り巻き、の婚約者』
ゲームでは名前すら登場しない、明らかなモブである。
顔も地味な僕が主人公たちに関わることはないだろうと思ってたのに、なぜか推しだった公爵子息から熱烈に愛されてしまって…?
自分は地味モブだと思い込んでる上品お色気お兄さん(攻)×クーデレで隠れМな武闘派後輩(受)のお話。
※エロは後半です
※ムーンライトノベルにも掲載しています
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
「んじゃ、お望み通りにしてやるよ」〜俺様最強チートが不憫な転生美青年をとにかく溺愛するお話(モブありver)
天白
BL
【あらすじ】
ある時代、聖女という役割を持って生まれた青年は大罪を犯し、村人によって谷底へと落とされた。
以後、罪だけを背負った青年・レイヴンは村に囚われるように何度も転生を繰り返し、今では村の男達の慰み者として罰を受けていた。
ある日、村の外からやってきたと思しき赤髪の若い男、シンと出会う。怪我を負い死にかけていたシンをひっそりと匿うレイヴンは、禁忌であると知りつつ自身の持つ聖なる力で彼を介抱する。
シンの怪我が治るまで、村から離れたレイヴンはしばし穏やかな日常を送る。しかしそんな細やかな幸せも束の間。レイヴンは再び村の男達に捕まり壮絶な罰を受け、瀕死の状態となってしまう。
果たしてレイヴンは、罰という名の転生から逃れることができるのか?(R18作品です)
※序盤、主人公の扱いが酷いです。ストーリー重視ですが、モブ攻めありなので地雷の方は注意してください。(※)印のついたページはモブ攻めシーンありです。後に攻めによってでろでろに溺愛される甘々ストーリーです。
また、こちらはムーンライトノベルズ様でも公開しておりますが、表現が若干異なります。(ややマイルド)
別ブックの「んじゃ、お前のすべてを捧げろよ」はモブ攻め描写なしverです。
隣国王子に快楽堕ちさせれた悪役令息はこの俺です
栄円ろく
BL
日本人として生を受けたが、とある事故で某乙女ゲームの悪役令息に転生した俺は、全く身に覚えのない罪で、この国の王子であるルイズ様に学園追放を言い渡された。
原作通りなら俺はこの後辺境の地で幽閉されるのだが、なぜかそこに親交留学していた隣国の王子、リアが現れて!?
イケメン王子から与えられる溺愛と快楽に今日も俺は抗えない。
※後編がエロです
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる