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第2章

47. 外出

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「…ショウ様、大丈夫ですか?」

心配そうにネフライトが話し掛けてくる。咄嗟に大丈夫、と言おうとしたが上手く言葉が出ず、結局「うん…。」と返すので精一杯だった。気まずい雰囲気の中、ネフライトが後ろから慰める様に僕の両肩を抱いてくる。

「モリオン様と何かあったのですね…?」

核心に迫る聞き方をされ思わず黙り込む。内容まではさすがにネフライトには言えない。彼は僕がどの様にモリオンに食事を与えているかは知っているが、食事方法が変わったことまでは知られていない。

僕がそのまま無言を貫くと彼は静かに僕の頭を撫で「言いたくないのなら言わなくていいのですよ。」と告げる。そして「私がそれとなくモリオン様に聞いてみます。この後、私の授業がありますので。」と僕を安心させるように微笑んだ。僕はまたしてもネフライトの優しさに助けられたのだった。




それからネフライトと別れた僕は一度部屋に戻ってくる。しかし、このまま部屋に篭ってしまうと余計滅入ってしまうと思い外に足を延ばすことにした。

「これからどうしようかな…。」

外に出て来たはいいが、特に目的もなく出てきてしまった為、激しく後悔する。

こんな軽装で何処行くっていうんだよ…!

僕の今の服装はシャツとスラックス、そして薄いジャケットを羽織っただけ。そして持ち物は少しの水と食べ物だけだ。

ちょっと散歩に…っていうレベルだけど大丈夫かな…?

実を言うと僕は魔王様の敷地から出たことがない。それはただ僕に勇気が無く出ることを渋っていただけだが、今はあの屋敷にいることは躊躇われた。それにこんな機会がなければ一生外に出ることも無かっただろう。

…ここから街までどれくらいの距離があるか分からないな…。いつもアイオライトかアルマンディンが視察に行ってくれてるから他の人は魔王城から出る必要が無いし…。

魔王城の門を背にそんなことを考えていると門番がチラチラとこちらを心配そうに見ているのに気付いた。

「あっ、お疲れ様でーす。」と愛想笑いしながらその場を離れる為に歩き出す。

門番に聞いてもいいんだけど、今更そんなこと聞いたら恥ずかしいし…。はぁー…思い付きで外に出るもんじゃないね…。






1時間ほど歩いてやっと森が見えてくる。

あぁ…やっと違う景色が…!

この1時間、草原や更地しか歩いて来なかった僕はやっと現れた森林に感動していた。

いや、待てよ…。RPGでよく森=魔物が出る、というのはセオリーじゃないのか…?てことは、あの森に入れば魔物に遭遇する…?どうしよう…僕、襲われたら上手く戦えるか分からないよ…。

なんせ僕はこちらの世界に来て5年間、温室でぬくぬくと育てられたようなものだ。汚い仕事は他の4人がしてくれていたし、僕はモリオンの子育てに集中できていた。なので、いざ攻撃魔法とかを使うとなると咄嗟に発動できるか分からない。

防御魔法は神様が自然に出来るようにしてくれてるみたいだけど攻撃魔法は僕の意思がないと発動しないはず…。

僕は森を目の前にして覚悟を決めることにした。





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