イケメンは観賞用！

第１章

27. 手紙

誰かと思いながら返事をするとお兄様だった。手には何か白いものを持っている。

「疲れてるところゴメンね、オリバーに手紙が届いてたよ。」

そう言って彼は1枚の封筒を差し出した。

「手紙…？」

「うん…ノア様から。」

「…ノア様⁉︎」

何故彼から手紙が届くのかわからない。しかし僕宛ということは何か意味があるのだろう。早速お兄様から手早く手紙を受け取ると中身に目を通した。





オリバーへ

成人おめでとう。今日から君も大人の仲間入りだね。直接君におめでとうと言ってあげたかったけれど手紙になってしまい申し訳ない。

今回、君に手紙を書いたのは成人を迎えた君に贈り物をしたいと思ったからなんだ。今まで素敵な時間を過ごさせて貰ったお礼と今後旅立つ君の力になりたくて。

突然で申し訳ないが◯月◯日、私の屋敷に来てくれないだろうか。返事は不要だ、君が来てくれることを心待ちにしている。

ノア・アボット





「…。」

贈り物…か。何かお守りみたいなものでもくれるのかな。

「ノア様は何て？」

お兄様が訝しげに聞いてくる。僕はよく分からないといった面持ちで成人を祝う内容と贈り物を渡したいから◯日に家に来て欲しいと書いてある旨を告げた。

「◯日にって…。」

お兄様が驚くのも無理はない。◯日は僕がこの街を出る日なのだ。なんともタイミングが悪い。しかし午前中であれば行けないこともないので少し考えた後答えを出す。

「大丈夫だよ、お兄様。午前中であれば支障はないし、贈り物をしたいって言ってるだけだからそれを受け取ったら直ぐに出発するよ。僕だって夜遅くに隣街には入りたくないしね。」

僕はなるべくお兄様を安心させるように笑顔で答えた。