イケメンは観賞用!

ミイ

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第1章

12. 跡継ぎ

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「なっ、なにを言ってるんだ⁉︎」

僕は思わずお父様に抱き着いた。

「さっきまでの僕は人生を舐めてました!お父様やお母様の言うことも聞かずに自分の趣味に走り、せっかくお父様が持って来て下さったお見合い話も断ってばかりで…!本当にごめんなさい!僕は今から心を入れ替えます!だから僕を殴って下さい!」

縋り付く僕にお父様は相当引いている。

「いや、何故そうなるんだ!私はお前を殴りたくないぞ!」

「そう言わずにお願いします!」

そうやって2人で揉みくちゃになっていると「何をなさっているのですか?」と怒気を孕んだ声が聞こえ、お父様と固まりながらそちらを見ると僕等を睨み付けたハリーお兄様の姿があった。

「おぉ、ハリー!オリバーを止めてくれ。」

お父様は助かったとばかりに声を上げる。

「お父様、オリバーと何をなさっているのですか?」

「いや、普通に話をしていただけなのだがオリバーが自分を殴ってくれと言いだして…。」

その言葉にお兄様は僕をいきなり抱き締めると「オリバー!なんでそんなことを⁉︎」と叫ぶ。

「えぇ⁉︎お兄様!離して下さい!」

いくらお兄様でもイケメンに抱き締められるのは居た堪れない!

「こんな可愛いオリバーの顔に暴力を振るうなんて私が許さないよ!」

いや、コレ僕の顔!

「お兄様、落ち着いて下さい。一旦離れましょう。」

「嫌だ!離れたらまた殴ってとか言うんだろう⁉︎」

うん、言うけども!





その後、なんとか説得に成功した僕は3人でソファーに座り今後について話し合うことになった。

「…で、オリバーは今後はどうするつもりなんだ。さっきも言ったが私の跡を継ぐハリーを手伝ってもいいんだぞ?」

その提案は僕にとって凄く魅力的だ、推しに力も注げるし、適度に労働するだけで衣食住が保障される。僕の思っていた理想そのものだ。しかし自分がここの家の本当の子供ではないと聞いた手前、その好意をはい、ありがとうございますと素直に受け取ってもいいのだろうか…いや、それは虫が良すぎる。

「先程のお話を聞いて考えたのですが、やはり僕はこの家を出ます。」

「そんな…!」

そう言って立ち上がるお兄様をお父様が嗜める。

「お父様にそう言って頂けたことは凄く嬉しいです。でも、いつまでもその好意に甘えてはいけないと思うのです。僕ももう成人を迎えます、これからは己の足で立たなければならないのだと先程のお話で強く思いました。僕はこれから外の世界を旅しながら本当のお父様を探してみようと思います。」
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