イケメンは観賞用!

ミイ

文字の大きさ
上 下
4 / 48
第1章

4. パレード

しおりを挟む
「お兄様…僕は自分の容姿がどんなものか分かっています。お兄様やお姉様の様に見目麗しいわけではありません。ですから分相応なお相手をお願いしたいのです。」

「そんなことはないのだけど…。分かったよ、オリバーがそこまで言うなら私がオリバーに相応しい相手を見つけてくるからね!楽しみにしてて!」

そう息巻いたお兄様は足早に部屋を出て行く。僕はお兄様が出て行った方を見ながら「嵐が去った…。」と溜息を吐いた。





次の日、待ちに待ったパレードの日がやって来た。僕はパレードの始まる3時間前に場所取りをしスタンバる。

よしっ!この位置ならジャック様を斜め上から見れる!

ある馴染みの店の2階ベランダを借り双眼鏡を構えた。こんな遠くからなら準備などいらないと思われるが、僕はどんな可能性も排除したい。万が一、億が一の話、ジャック様の視界に僕が入ることを避けるためにはここまでする必要がある。漫画や小説なとでよくあるだろう、主人公とヒロインが有り得ないタイミングで出逢い恋に落ちる話。僕には関係ないことだとは思うが、こんなナリでも前世持ちの僕。いついかなる時にフラグが立つか分からない。なのでここまで念入りに準備するのだ。

あっ!歓声が聞こえてきた!

いよいよジャック様を乗せた馬の登場だ。

ワーッという歓声と共に現れたジャック様は周りの歓声に手を振って応えながら鍛え抜かれた黒馬に乗ってゆっくりと闊歩して行く。うしろには予想通りルイ様が白馬に乗って後をついて行っていた。先頭にはパレードを盛り上げるマーチングバンドがおり軽快なリズムと共に何十人という護衛隊が彼らの周りを取り囲み、ジャック様やルイ様を警護している。

はぁー…やっぱ俺様ジャック様はカッコいいなぁ。

その光景をポーッとしながら眺めていると「お隣宜しいですか?」と声を掛けられる。まさかこんな所で声を掛けられると思ってなかった僕はビクッと身体を震わせながら「はいっ⁉︎」と振り返った。

すると、そこには笑顔のノア様が立っていた。

えぇ⁉︎なんでココに⁉︎

「ノッ…ノア様…!」

「嬉しいな、私のことを覚えてくれてたんだね。」

彼はそう言って微笑むと僕の隣に腰掛ける。

「突然ゴメンね、お見合いのこと君のお父様から聞いたんだ。それでどうしても君と直接話したくて侍従に頼んで君のことを探してもらったんだ…迷惑だった?」

哀しそうに聞いてくるノア様だったが、迷惑と聞かれて迷惑だったと答える勇気のある者はいるだろうか。かく言う自分もそんな人物ではない。僕はヒクつく口元を隠しながら「いえ…。」と答えた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

悪の秘密結社、活動中

朔夜
BL
昔から悪者が大好きだった 戦隊モノの変身シーンを見てはなんでこの隙に攻撃しないのかと敵がやられる様を見ながら思ったものだし、あの有名な探偵の小説は黒幕が数学教授であることを知らない時から好きだった そんな俺の夢は悪の総帥になること 手始めに入学した全寮制男子校で秘密結社を作るぜ! ちゃんと王道学園BLです

カランコエの咲く所で

mahiro
BL
先生から大事な一人息子を託されたイブは、何故出来損ないの俺に大切な子供を託したのかと考える。 しかし、考えたところで答えが出るわけがなく、兎に角子供を連れて逃げることにした。 次の瞬間、背中に衝撃を受けそのまま亡くなってしまう。 それから、五年が経過しまたこの地に生まれ変わることができた。 だが、生まれ変わってすぐに森の中に捨てられてしまった。 そんなとき、たまたま通りかかった人物があの時最後まで守ることの出来なかった子供だったのだ。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

Ωの皇妃

永峯 祥司
BL
転生者の男は皇后となる運命を背負った。しかし、その運命は「転移者」の少女によって狂い始める──一度狂った歯車は、もう止められない。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

処理中です...