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第1章
4. パレード
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「お兄様…僕は自分の容姿がどんなものか分かっています。お兄様やお姉様の様に見目麗しいわけではありません。ですから分相応なお相手をお願いしたいのです。」
「そんなことはないのだけど…。分かったよ、オリバーがそこまで言うなら私がオリバーに相応しい相手を見つけてくるからね!楽しみにしてて!」
そう息巻いたお兄様は足早に部屋を出て行く。僕はお兄様が出て行った方を見ながら「嵐が去った…。」と溜息を吐いた。
次の日、待ちに待ったパレードの日がやって来た。僕はパレードの始まる3時間前に場所取りをしスタンバる。
よしっ!この位置ならジャック様を斜め上から見れる!
ある馴染みの店の2階ベランダを借り双眼鏡を構えた。こんな遠くからなら準備などいらないと思われるが、僕はどんな可能性も排除したい。万が一、億が一の話、ジャック様の視界に僕が入ることを避けるためにはここまでする必要がある。漫画や小説なとでよくあるだろう、主人公とヒロインが有り得ないタイミングで出逢い恋に落ちる話。僕には関係ないことだとは思うが、こんなナリでも前世持ちの僕。いついかなる時にフラグが立つか分からない。なのでここまで念入りに準備するのだ。
あっ!歓声が聞こえてきた!
いよいよジャック様を乗せた馬の登場だ。
ワーッという歓声と共に現れたジャック様は周りの歓声に手を振って応えながら鍛え抜かれた黒馬に乗ってゆっくりと闊歩して行く。うしろには予想通りルイ様が白馬に乗って後をついて行っていた。先頭にはパレードを盛り上げるマーチングバンドがおり軽快なリズムと共に何十人という護衛隊が彼らの周りを取り囲み、ジャック様やルイ様を警護している。
はぁー…やっぱ俺様ジャック様はカッコいいなぁ。
その光景をポーッとしながら眺めていると「お隣宜しいですか?」と声を掛けられる。まさかこんな所で声を掛けられると思ってなかった僕はビクッと身体を震わせながら「はいっ⁉︎」と振り返った。
すると、そこには笑顔のノア様が立っていた。
えぇ⁉︎なんでココに⁉︎
「ノッ…ノア様…!」
「嬉しいな、私のことを覚えてくれてたんだね。」
彼はそう言って微笑むと僕の隣に腰掛ける。
「突然ゴメンね、お見合いのこと君のお父様から聞いたんだ。それでどうしても君と直接話したくて侍従に頼んで君のことを探してもらったんだ…迷惑だった?」
哀しそうに聞いてくるノア様だったが、迷惑と聞かれて迷惑だったと答える勇気のある者はいるだろうか。かく言う自分もそんな人物ではない。僕はヒクつく口元を隠しながら「いえ…。」と答えた。
「そんなことはないのだけど…。分かったよ、オリバーがそこまで言うなら私がオリバーに相応しい相手を見つけてくるからね!楽しみにしてて!」
そう息巻いたお兄様は足早に部屋を出て行く。僕はお兄様が出て行った方を見ながら「嵐が去った…。」と溜息を吐いた。
次の日、待ちに待ったパレードの日がやって来た。僕はパレードの始まる3時間前に場所取りをしスタンバる。
よしっ!この位置ならジャック様を斜め上から見れる!
ある馴染みの店の2階ベランダを借り双眼鏡を構えた。こんな遠くからなら準備などいらないと思われるが、僕はどんな可能性も排除したい。万が一、億が一の話、ジャック様の視界に僕が入ることを避けるためにはここまでする必要がある。漫画や小説なとでよくあるだろう、主人公とヒロインが有り得ないタイミングで出逢い恋に落ちる話。僕には関係ないことだとは思うが、こんなナリでも前世持ちの僕。いついかなる時にフラグが立つか分からない。なのでここまで念入りに準備するのだ。
あっ!歓声が聞こえてきた!
いよいよジャック様を乗せた馬の登場だ。
ワーッという歓声と共に現れたジャック様は周りの歓声に手を振って応えながら鍛え抜かれた黒馬に乗ってゆっくりと闊歩して行く。うしろには予想通りルイ様が白馬に乗って後をついて行っていた。先頭にはパレードを盛り上げるマーチングバンドがおり軽快なリズムと共に何十人という護衛隊が彼らの周りを取り囲み、ジャック様やルイ様を警護している。
はぁー…やっぱ俺様ジャック様はカッコいいなぁ。
その光景をポーッとしながら眺めていると「お隣宜しいですか?」と声を掛けられる。まさかこんな所で声を掛けられると思ってなかった僕はビクッと身体を震わせながら「はいっ⁉︎」と振り返った。
すると、そこには笑顔のノア様が立っていた。
えぇ⁉︎なんでココに⁉︎
「ノッ…ノア様…!」
「嬉しいな、私のことを覚えてくれてたんだね。」
彼はそう言って微笑むと僕の隣に腰掛ける。
「突然ゴメンね、お見合いのこと君のお父様から聞いたんだ。それでどうしても君と直接話したくて侍従に頼んで君のことを探してもらったんだ…迷惑だった?」
哀しそうに聞いてくるノア様だったが、迷惑と聞かれて迷惑だったと答える勇気のある者はいるだろうか。かく言う自分もそんな人物ではない。僕はヒクつく口元を隠しながら「いえ…。」と答えた。
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