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41. おんぶ
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僕は改めて紹介されたサイさんに挨拶をする。
「初めまして、サイさん。僕はヨースケと言います、こちらの街に行こうと思っていたところをクラリさんに声をかけて頂いてここまで来ました。」
「…そうですか、すみませんね、こんな場所での挨拶になって…。」
サイさんはベッドに腰掛けたままで挨拶してくる。
「いいえ、クラリさんから体調が優れないのは聞いていましたので気にしないで下さい。むしろ突然お邪魔してすみません。」
「いいんですよ、いつも主人と息子しかいないのでこんな可愛らしいお客様は大歓迎です。」
と笑顔で言ってくれた。
「そうだ、サイ。ヨースケが美味しいサンドイッチを作ってくれるぞ。食べれそうか?」
「今からですか?いえ…さっき少し食べてしまったので…今すぐはちょっと…。」
とサイさんは申し訳なさそうな顔をしたので「大丈夫です、僕も今すぐは材料がないので買いに行かないといけません。買い物に行ってから作りますね。」と伝えた。
するとクラリさんが「じゃあ、クローブ。お前がヨースケを街まで案内してあげなさい。街まで少し歩く、ヨースケ1人だと危ないからな。」と言う。
「(えっ…いや…それはクローブさんが嫌なんじゃ…?)」
と、僕がクローブさんを見ると案の定、凄い嫌な顔をしていた。
「(クラリさん…そんな笑顔で言うことじゃないのに…クローブさんの顔見てよ、凄い顔してるし…。)」
僕はその有難い申し出に断ることも出来ず「クローブさん…宜しくお願いします。」とお願いした。
それから出発し、クローブさんの数歩後ろを歩く。決して距離をとっているわけではない。クローブさんの脚が速いのだ。僕の身長と脚の長さに比べるとクローブは180cmを越える身長にそれに見合った脚の長さ。普通に歩いているだけでも距離が出来てしまう。
僕は嫌々、案内してくれているクローブさんをこれ以上怒らせてはいけないと、黙ってそのスピードに合わせて小走りについて行く。
しかし、暫く歩くとそれも限界になってきた。「ハァ…ハァ…。」と息を乱しながら前を見ると既に10mくらい距離が開いている。僕はもう近付くことを諦め、せめて見失わない程度に距離を保つことにした。
そこでふと、クローブさんが後ろを振り返った。僕と目が合うとツカツカと戻ってくるなり「速いなら速いと言えばいいだろう。」と僕の脚に跪く。
「(えっ!?何?)」
と僕が驚いていると僕の脚を触りながら「張っているな。」と呟いた。僕が驚いてる間に「ヨースケ、俺におぶされ。」と僕に背を向ける。
「えっ…いや、でも…。」
「…いいから、お前に合わせていると日が暮れる。」
「…はい…すみません。」
と僕はそう答えると大人しくクローブさんの背におぶさった。
僕はクローブさんにおんぶされながら申し訳ない気持ちで一杯だった。クローブさんは僕をおんぶしているにも関わらず息一つ乱さず黙々と歩いている。僕から話しかけようにもどんな会話をすればいいか分からないので黙っていた。そんな時、クローブさんが口を開く。
「ヨースケ…お前みたいな子供がなんで1人で旅してるんだ?」
「(そういえばさっき年齢言ってなかったな。)
…いえ、僕はもう成人してるので…。」
僕がそう言うとクローブさんがピタッと止まる。
「…何歳なんだ?」
「40歳ですけど…。」
と答えるとクローブさんはゆっくり歩き出した。
「そうか…てっきり20歳くらいかと思った。」
「…僕の種族は小柄な人が多いので…。」
「なるほど…それなら納得だ…で、理由は?」
「(どうしよう…何処まで本当のこと言っていいのかな…?)
実は…ある人に追われていて…でも、別に僕が犯罪者だからとかではないんです…過保護な人と言いましょうか…とりあえずその人に連れ戻されることを避けたいので旅に出ているんです…。」
とそれらしい理由を述べる。決して嘘ではないが本当のことでもない。
「…そうだったのか…ヨースケは訳ありなんだな。わかった…できるだけ協力しよう…あっヨースケ、そろそろ街が見えてきたぞ。」
「あっ…ホントだ。
(クローブさんって意外にいい人なのかな?僕のこと睨みつけてたのにおんぶしてくれるし協力してくれるって言うし…。)」
結局、僕は街の入口までクローブさんにおんぶしてもらうことになった。
街に入ると商店街のような感じでお店が並んでいる。
僕は物珍しさからキョロキョロしていると「ヨースケ、材料は何が必要なんだ?」と聞かれる。
「(卵とお酢と塩胡椒、砂糖があれば十分なんだけど…。)」
僕はこちらの世界で代用できる物の名前を伝える。すると「コッチだ。」と手を引かれた。
「(やっぱり、クローブさんっていい人かも…。)」
なんて単純に信じてしまう僕はこの世の中で1番騙されやすい人間だろう。
目的の場所へと着くとクローブさんは「好きなだけ買え。」と袋を渡してくる。僕は必要な分だけ購入し、お釣りは返した。そして帰りの道中もクローブさんにおんぶされて帰る羽目になる。
「クローブさん…すみません。帰りもお世話になって…。」
「いや、これくらいどうって事ない。ヨースケはその辺の子供より軽いからな。」
と言われ内心複雑な気持ちになったが、有り難くお世話になる。そしてクラリさんの家に帰宅した。
「初めまして、サイさん。僕はヨースケと言います、こちらの街に行こうと思っていたところをクラリさんに声をかけて頂いてここまで来ました。」
「…そうですか、すみませんね、こんな場所での挨拶になって…。」
サイさんはベッドに腰掛けたままで挨拶してくる。
「いいえ、クラリさんから体調が優れないのは聞いていましたので気にしないで下さい。むしろ突然お邪魔してすみません。」
「いいんですよ、いつも主人と息子しかいないのでこんな可愛らしいお客様は大歓迎です。」
と笑顔で言ってくれた。
「そうだ、サイ。ヨースケが美味しいサンドイッチを作ってくれるぞ。食べれそうか?」
「今からですか?いえ…さっき少し食べてしまったので…今すぐはちょっと…。」
とサイさんは申し訳なさそうな顔をしたので「大丈夫です、僕も今すぐは材料がないので買いに行かないといけません。買い物に行ってから作りますね。」と伝えた。
するとクラリさんが「じゃあ、クローブ。お前がヨースケを街まで案内してあげなさい。街まで少し歩く、ヨースケ1人だと危ないからな。」と言う。
「(えっ…いや…それはクローブさんが嫌なんじゃ…?)」
と、僕がクローブさんを見ると案の定、凄い嫌な顔をしていた。
「(クラリさん…そんな笑顔で言うことじゃないのに…クローブさんの顔見てよ、凄い顔してるし…。)」
僕はその有難い申し出に断ることも出来ず「クローブさん…宜しくお願いします。」とお願いした。
それから出発し、クローブさんの数歩後ろを歩く。決して距離をとっているわけではない。クローブさんの脚が速いのだ。僕の身長と脚の長さに比べるとクローブは180cmを越える身長にそれに見合った脚の長さ。普通に歩いているだけでも距離が出来てしまう。
僕は嫌々、案内してくれているクローブさんをこれ以上怒らせてはいけないと、黙ってそのスピードに合わせて小走りについて行く。
しかし、暫く歩くとそれも限界になってきた。「ハァ…ハァ…。」と息を乱しながら前を見ると既に10mくらい距離が開いている。僕はもう近付くことを諦め、せめて見失わない程度に距離を保つことにした。
そこでふと、クローブさんが後ろを振り返った。僕と目が合うとツカツカと戻ってくるなり「速いなら速いと言えばいいだろう。」と僕の脚に跪く。
「(えっ!?何?)」
と僕が驚いていると僕の脚を触りながら「張っているな。」と呟いた。僕が驚いてる間に「ヨースケ、俺におぶされ。」と僕に背を向ける。
「えっ…いや、でも…。」
「…いいから、お前に合わせていると日が暮れる。」
「…はい…すみません。」
と僕はそう答えると大人しくクローブさんの背におぶさった。
僕はクローブさんにおんぶされながら申し訳ない気持ちで一杯だった。クローブさんは僕をおんぶしているにも関わらず息一つ乱さず黙々と歩いている。僕から話しかけようにもどんな会話をすればいいか分からないので黙っていた。そんな時、クローブさんが口を開く。
「ヨースケ…お前みたいな子供がなんで1人で旅してるんだ?」
「(そういえばさっき年齢言ってなかったな。)
…いえ、僕はもう成人してるので…。」
僕がそう言うとクローブさんがピタッと止まる。
「…何歳なんだ?」
「40歳ですけど…。」
と答えるとクローブさんはゆっくり歩き出した。
「そうか…てっきり20歳くらいかと思った。」
「…僕の種族は小柄な人が多いので…。」
「なるほど…それなら納得だ…で、理由は?」
「(どうしよう…何処まで本当のこと言っていいのかな…?)
実は…ある人に追われていて…でも、別に僕が犯罪者だからとかではないんです…過保護な人と言いましょうか…とりあえずその人に連れ戻されることを避けたいので旅に出ているんです…。」
とそれらしい理由を述べる。決して嘘ではないが本当のことでもない。
「…そうだったのか…ヨースケは訳ありなんだな。わかった…できるだけ協力しよう…あっヨースケ、そろそろ街が見えてきたぞ。」
「あっ…ホントだ。
(クローブさんって意外にいい人なのかな?僕のこと睨みつけてたのにおんぶしてくれるし協力してくれるって言うし…。)」
結局、僕は街の入口までクローブさんにおんぶしてもらうことになった。
街に入ると商店街のような感じでお店が並んでいる。
僕は物珍しさからキョロキョロしていると「ヨースケ、材料は何が必要なんだ?」と聞かれる。
「(卵とお酢と塩胡椒、砂糖があれば十分なんだけど…。)」
僕はこちらの世界で代用できる物の名前を伝える。すると「コッチだ。」と手を引かれた。
「(やっぱり、クローブさんっていい人かも…。)」
なんて単純に信じてしまう僕はこの世の中で1番騙されやすい人間だろう。
目的の場所へと着くとクローブさんは「好きなだけ買え。」と袋を渡してくる。僕は必要な分だけ購入し、お釣りは返した。そして帰りの道中もクローブさんにおんぶされて帰る羽目になる。
「クローブさん…すみません。帰りもお世話になって…。」
「いや、これくらいどうって事ない。ヨースケはその辺の子供より軽いからな。」
と言われ内心複雑な気持ちになったが、有り難くお世話になる。そしてクラリさんの家に帰宅した。
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