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27. 事後
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それから僕が解放されたのはカーテンの隙間から朝日の光が入る時刻…。
「はぁ…はぁ…。
(気絶しないのが奇跡だ…こんなにヤラレるなんて初めて…でも、気持ち良かった…。)」
僕はそんなことを思いながらキーワ様に甘えるように手を伸ばす。
「キーワ様…凄く気持ち良かったです…。」
僕がそう言うとキーワ様はフッと微笑み、口移しで水を飲ましてくれた。
「んっ…んっ…はぁ…。」
キーワ様は妖艶な仕草で僕の口元から垂れる水滴を舐め取ると、僕を抱き締める。
「ヨウ…無理をさせたな…。でも正直…こんなにヨウの身体が良いとは思わなかった…てっきり香りにあてられただけかと思ったが、これだけ抱いて相手が気絶しないのは初めてだ…。ヨウにだから本当のことを言うが、今まで色んな娼夫を抱いてきたが皆、3回程で気を失ってしまう。それでいつも私は不完全なまま娼館を後にしていたが、香りも私好みで身体も丈夫なヨウに出会えたことは私にとって大きなことだ。今後、もしかしたらヨウ以外では満足できないかもしれない…。ヨウ…ヨウが良ければ私の元に来ないか?」
キーワ様は真剣な表情で言ってくる。
「(えっ…身元引き受け人になってくれるってこと…?でも、僕がヒトだってバレたらまた王家に保護される話も出るかもしれないし…。)
あっ…ありがとうございます、キーワ様。あの、お話は大変嬉しいのですが、私の一存では決められないで少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
僕は念の為、返事を先延ばしにする。
「ああ…それは構わない。しかし…考えている間にもヨウは他の者とも身体を繋げるのだろう…?」
「…ッ…そう…なると思います。私はあくまでも娼夫ですし…それに店主からも他の方ともご一緒する様に伺っております…。」
「…そうか…其の者達もヨウの身体の良さに惚れてしまうかもしれん…どうやってそれを止めるか…。」
キーワ様はそう言うと考え込んでしまった。
「(キーワ様…そんなに僕のことを買ってくれるなんて…僕なんてタダのビッチなのに…。そういえばナックスさんからはあと2人予約してるって言ってたなぁ…ネズミとタヌキだっけ?…タヌキとかポチャポチャしてそう。)」
僕はそんなことを思い1人、フフッと笑ってしまう。その様子に気付いたキーワ様が「どうかしたか?」と聞いてくるが「いいえ、そんなに悩んで下さることが嬉しいのです。」と返しておいた。
それからキーワ様は退室ギリギリまで部屋に滞在し、名残惜しげに帰って行った。僕もあれだけ密着していたせいかキーワ様が離れた瞬間、少し寂しさを感じてしまう。
「(いけない、いけない!僕は娼夫だから1人に特別な思い入れはダメだよね。)」
そうして僕は怠く感じる身体を起こし、浴室へと向かう。キーワ様が終わってから軽くタオルで拭いてくれたおかげでそこまで身体はベタベタしていないが、身体全体を洗わないとスッキリしないのが日本人の性だろう。
僕は浴槽へと浸かると一息いれる。
「はぁ~…。
(長かった…けど、めちゃくちゃ気持ちよかった。僕の予想通り性欲が凄くて…あんなにアレがデカイ人も初めてだったし…流石、獣人。でも酷くされなくてよかった…。)」
僕はそのまま少し目を瞑り、お湯の暖かさに身を委ねる。暫くそれを堪能し、浴室を後にした。
「(お腹空いたなぁ…朝御飯、作ろっと。)」
僕は部屋に保存してある材料を持ちキッチンへと向かう。案の定、そこには誰もいなかったが気にせずパンを焼き、目玉焼きを作る。備え付けにサラダを盛れば完成だ。
出来上がったものを口にしながら、ふと気付く。
「(あれ…そういえばお尻痛くない…。)」
何故かあれだけキーワ様を受け入れたはずなのにお尻が痛くないのだ。
僕が初めて男の人を受け入れた時は、気持ちよかったものの終わった後はアソコが痛くてその日は円座に座る羽目になった。
僕は朝食を食べ終えると、その足でナックスさんの元へと向かう。
受付で何かの作業をしていたナックスさんは僕の姿を見つけると「昨日はお疲れ様でした。」と言ってくれた。
「キーワ様も機嫌良く帰っていきましたよ。」
「そうですか、それはよかったです。
それで、ちょっと聞きたいことがあるんですが、いいですか?」
「…はい?」
「昨日、僕はキーワ様と交尾したわけですが、不思議とお尻が痛くないんです…何故でしょうか?」
そう聞くとナックスさんは納得したように「ああ、それはキーワ様のおかげでしょう。」と言う。
なんでも娼館に訪れる人はコトを終えると娼夫に対して魔法でアソコを治癒するよう義務付けられているらしい。だから、お腹を下すこともないし、腫れたりすることもない。ただ、行為の最中に裂けたりする場合は相手次第で治してくれるかどうからしい。それに相手が優しい人であれば身体全体の治癒もしてくれるので怠さも殆ど残ることがないという。
「(そういえば、あれだけやったのにほとんど怠くなかった…。)」
それがキーワ様の優しさだと思うと思いの外、嬉しく感じた。
「はぁ…はぁ…。
(気絶しないのが奇跡だ…こんなにヤラレるなんて初めて…でも、気持ち良かった…。)」
僕はそんなことを思いながらキーワ様に甘えるように手を伸ばす。
「キーワ様…凄く気持ち良かったです…。」
僕がそう言うとキーワ様はフッと微笑み、口移しで水を飲ましてくれた。
「んっ…んっ…はぁ…。」
キーワ様は妖艶な仕草で僕の口元から垂れる水滴を舐め取ると、僕を抱き締める。
「ヨウ…無理をさせたな…。でも正直…こんなにヨウの身体が良いとは思わなかった…てっきり香りにあてられただけかと思ったが、これだけ抱いて相手が気絶しないのは初めてだ…。ヨウにだから本当のことを言うが、今まで色んな娼夫を抱いてきたが皆、3回程で気を失ってしまう。それでいつも私は不完全なまま娼館を後にしていたが、香りも私好みで身体も丈夫なヨウに出会えたことは私にとって大きなことだ。今後、もしかしたらヨウ以外では満足できないかもしれない…。ヨウ…ヨウが良ければ私の元に来ないか?」
キーワ様は真剣な表情で言ってくる。
「(えっ…身元引き受け人になってくれるってこと…?でも、僕がヒトだってバレたらまた王家に保護される話も出るかもしれないし…。)
あっ…ありがとうございます、キーワ様。あの、お話は大変嬉しいのですが、私の一存では決められないで少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
僕は念の為、返事を先延ばしにする。
「ああ…それは構わない。しかし…考えている間にもヨウは他の者とも身体を繋げるのだろう…?」
「…ッ…そう…なると思います。私はあくまでも娼夫ですし…それに店主からも他の方ともご一緒する様に伺っております…。」
「…そうか…其の者達もヨウの身体の良さに惚れてしまうかもしれん…どうやってそれを止めるか…。」
キーワ様はそう言うと考え込んでしまった。
「(キーワ様…そんなに僕のことを買ってくれるなんて…僕なんてタダのビッチなのに…。そういえばナックスさんからはあと2人予約してるって言ってたなぁ…ネズミとタヌキだっけ?…タヌキとかポチャポチャしてそう。)」
僕はそんなことを思い1人、フフッと笑ってしまう。その様子に気付いたキーワ様が「どうかしたか?」と聞いてくるが「いいえ、そんなに悩んで下さることが嬉しいのです。」と返しておいた。
それからキーワ様は退室ギリギリまで部屋に滞在し、名残惜しげに帰って行った。僕もあれだけ密着していたせいかキーワ様が離れた瞬間、少し寂しさを感じてしまう。
「(いけない、いけない!僕は娼夫だから1人に特別な思い入れはダメだよね。)」
そうして僕は怠く感じる身体を起こし、浴室へと向かう。キーワ様が終わってから軽くタオルで拭いてくれたおかげでそこまで身体はベタベタしていないが、身体全体を洗わないとスッキリしないのが日本人の性だろう。
僕は浴槽へと浸かると一息いれる。
「はぁ~…。
(長かった…けど、めちゃくちゃ気持ちよかった。僕の予想通り性欲が凄くて…あんなにアレがデカイ人も初めてだったし…流石、獣人。でも酷くされなくてよかった…。)」
僕はそのまま少し目を瞑り、お湯の暖かさに身を委ねる。暫くそれを堪能し、浴室を後にした。
「(お腹空いたなぁ…朝御飯、作ろっと。)」
僕は部屋に保存してある材料を持ちキッチンへと向かう。案の定、そこには誰もいなかったが気にせずパンを焼き、目玉焼きを作る。備え付けにサラダを盛れば完成だ。
出来上がったものを口にしながら、ふと気付く。
「(あれ…そういえばお尻痛くない…。)」
何故かあれだけキーワ様を受け入れたはずなのにお尻が痛くないのだ。
僕が初めて男の人を受け入れた時は、気持ちよかったものの終わった後はアソコが痛くてその日は円座に座る羽目になった。
僕は朝食を食べ終えると、その足でナックスさんの元へと向かう。
受付で何かの作業をしていたナックスさんは僕の姿を見つけると「昨日はお疲れ様でした。」と言ってくれた。
「キーワ様も機嫌良く帰っていきましたよ。」
「そうですか、それはよかったです。
それで、ちょっと聞きたいことがあるんですが、いいですか?」
「…はい?」
「昨日、僕はキーワ様と交尾したわけですが、不思議とお尻が痛くないんです…何故でしょうか?」
そう聞くとナックスさんは納得したように「ああ、それはキーワ様のおかげでしょう。」と言う。
なんでも娼館に訪れる人はコトを終えると娼夫に対して魔法でアソコを治癒するよう義務付けられているらしい。だから、お腹を下すこともないし、腫れたりすることもない。ただ、行為の最中に裂けたりする場合は相手次第で治してくれるかどうからしい。それに相手が優しい人であれば身体全体の治癒もしてくれるので怠さも殆ど残ることがないという。
「(そういえば、あれだけやったのにほとんど怠くなかった…。)」
それがキーワ様の優しさだと思うと思いの外、嬉しく感じた。
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