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異世界再び

失踪後(四天王side)

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ヒカルとレオside

イチが姿を消してからも、四天王の行動は表面上は変わらなかった。

「……ねぇ、早くこの任務終えてイチを探しに行きたいんだけど?ワタシの可愛い癒しなのよ」

ヒカルはゴウキが勇者との強化鍛錬中にレオに付き合わされていた。


「魔王様と勇者が会っても、すぐには自由行動なんて出来ないと思うけどな?」

レオはヒカルを不服げに睨みつけた。

「そんなの知ってるよ!ヒカルはいいわよね、ゴウキの側に変わらずいれるんだから」

「やつ当たりするなよ。俺だって記憶戻る前のゴウキとは同僚以上の関係性じゃなかったんだからな?それでも、ゴウキが前世の記憶がなくてもゴウキだって知ったから、四天王の誰よりも側に居続けたんだから。……強引に側にいるようには仕向けてはいないからな?」

レオはその言葉に罰悪そうに視線反らした。

「……何よ。好意を伝えていただけよ?…少し強引なだけだったけど」

「少しじゃないと思うんだけどな?世間知らずなイチにも問題はあるかもだけどな。イチがいなくなる前まで、何で俺らの行動範囲にいたのかは知ってるんだよな?」


「………知ってるわ。カゲの側にいたって事位…。でも、イチと先に会ったのはワタシよ!」

「出会いに後も先もないって思うけどな?…なぁ、どうしてイチに惹かれてんの?」

「理由なんてないわ。出会った瞬間の一目惚れよ、可愛い女の子で好みの子だったから」

「……その姿で女好きなのは変わらないな。…性別関係なく惚れてたら違ったのかもしれないんだけどな?」

ヒカルの言葉にレオは首傾げた。
そろそろ、ゴウキとカゲと交代でヒカルとレオが勇者の鍛錬の時間になり会話は終了した。


ゴウキとカゲside


ゴウキはヒカルがいないからと強引にカゲとの食事をとっていた。

「…おい、食わねえのか?食わねえなら食っちまうぞ」

ゴウキは自分の前の食事をたいらげてカゲの食事に視線をやった。
カゲは手付かずの食事をゴウキに差し出した。

「食うならやる」

ゴウキは礼をいい黙々と食べ終えた。

「食わねえから、筋力落ちてんじゃねえ?」

「……最低限は摂取してる問題ない。お前みたく筋肉つけすぎると行動に障害も出る」

ゴウキは明らかに食事量の減ったカゲを気にしていた。

「そうか。イチと食う飯は美味かったから仕方ないな」

「アイツの料理を食べたのか?」

カゲは鋭い目で睨みつけてきた。

「食わねえよ。礼に作るから食えとは言われたけど説明して断ってる。……何で説明しなかったんだ?」

カゲは明確な答えも出来ず沈黙だった。

「暇だし、俺の話に付き合え!」

カゲの了承も得ずにゴウキは話し始めた。


転生したと気づく前から、先に転生したと気づいたヒカルが前世と変わらずに側にいてくれた事。
気づいてからは、すぐに前世の記憶を思い出した事に気づかれて前世と変わらない関係性になれた事。

「……なあ、姿が変わっても変わらない想いって魂で惹かれてるって思わねえ?」

「…何が言いたい?」

「別に。……確かに、橋本の事はあんな最後だと引きづるのはわかるんだぜ?橋本が書き残したのは西影さんへの想いなのはわかる。……なあ、橋本が好きなのにどうして勇者に揺れ動かねえの?魔王様への忠誠心はわかるけどな、俺ならヒカルに魔王様が執着してきたら魔王様でも全力で守りぬくつもりだぜ!」

「……勇者は魔王様の側の方が幸せになれる。…………それに、勇者は俺の好きになった人じゃない」

「へえー、そうなのか?じゃあ誰が好きなんだ?」

「お前には関係ないだろ」

「んじゃ、聞き方変えるな。イチがいなくなって、何でそんなに落ち込んでるんだ?洸も西影さんも同性好きじゃなくて、俺だから橋本だったから惹かれたんじゃねえの?…今なら性別関係ないって言うのはわかるんだぜ?ヒカルならどっちでも俺以外には渡すつもりはないからな!」

「……何が言いたい」

「わかってない訳ないよな?」

「お前に何がわかるんだ!……護衛対象なのに嫉妬されて攻撃してきた事に想われてるって喜んでたのに…護衛対象を殺したかっただけで、バレたから失踪したのかって、今すぐにでも探して見つけて尋問してやりたい。……フラフラしてレオに言い寄られてんのは知ってる、アイツは俺の側にいるって…いたいって言ってたんだ!俺から離れる訳はないんだよ、俺のだ!奪われてるなら奪い返す!俺から逃げてるなら見つけて、逃げない様に監禁してやる!……くそっ、こんな任務さっさと終えてぇんだ」

予想以上の方向に慕って…よりも執着してる事にゴウキは苦笑いを浮かべた。

「もう少しで、勇者も魔王様に会えるだろ?だから鍛錬も二人一組で鍛えてんだから」

「今回の護衛任務を終えたら、俺は最低限の任務しかやらないからな!アイツを探す!!もし、どこかで怪我して動けないかもしれないからな」

カゲは言うことは終えたとばかりに、立ち上がり立ち去った。


ヒカルとゴウside


カゲは1人でいつもの様に勇者の護衛として戻り、レオは任務の合間にイチを探しに行っていた。

「カゲがそんな事を言ってたんだな。イチはほとんど家から出ないでいるから怪我はしないとは思うんだけどな?」

「イチが怪我って不意打ちでも難しいだろ?俺が全力で斬りかかってもかわされると思うけどな」

「危険回避と隠密能力は凄いからな。住んでた村では必須だったのも有るとは思うよ。そろそろ、魔族と人族も魔王様と勇者が手を取りあえば終わるから、落ち着くとは思うから。それからだよね、イチとカゲとレオはさ…レオがどこまで頑張るかだけどな?」

「レオを応援してんのか?」

「応援はしてないよ。俺が知る限りのイチ…というかアイツの前世を考えるとイチには協力はしたいとは思ってるよ」

「わかる。ほっとけない奴だよな?召喚されて、戻って来た時から懐かれてたからな。……でも、勇者の時もカゲに惹かれてたのに魔王様を選ぶってのはわかんねえんだけどな?」

「んー…、それって勇者としての使命感じゃないかな?魔王様との和解の為に平和的解決で安心感ある感じじゃないかな?勇者の思考は知らないけどな?」

ヒカルとゴウキは、把握してもそれを関係している人達に話す事はしなかった。

「勇者な……あの気弱さが、知ってるアイツに繋がらねえけど。カゲが好きなのは勇者じゃねえってのがわかんねえんだけどな?」

「そっか?俺はなんとなくわかるけどな…。ゴウキが俺に告ったタイミングよりも前なら俺はゴウキとは友達以上の関係になってないって思うからさ……?なんて言えばいいかな、好きになるタイミングとか?その時の心情とか状況じゃないかな?」

「運命的な出会いって感じか?わかんねえな…」

ヒカルとゴウキはもう少しで一段落する任務に一息ついていた。
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