勇者召喚されて召喚先で人生終えたら、召喚前の人生に勇者能力引き継いでたんだけど！？

異世界再び

不信な行動

勇者が四天王と出会い、魔王と対面の為の鍛錬が始まった。
カゲが勇者の側を離れるのは他の四天王が勇者といる時だけだったけど。
勇者として旅立った時と比べたら強くなってきてる勇者だった。

カゲの隠密は気づくのに、俺が隠密で着いて行ってるのは気づいていない勇者を眺めて、勇者俺もまだまだ実力不足だなと観察していた。


カゲは他の四天王と鍛錬中の勇者から離れる事はなく近くで見守りは続けていた。

「……カゲは、他の四天王が一緒にいる時も勇者から離れないのはどうしてですか？」

他の四天王との鍛錬を見ていたカゲに俺は尋ねた。

「任務だからな…。他の四天王の任務は別にあるが、俺は勇者が魔王様の元に行くまで護衛が任務だからだ」

「……あの、私がカゲの側にいるのは迷惑じゃないですか？」

カゲは勇者がヒカルとゴウキの鍛錬を見守っていた視線を俺に向けた。

「何故、そんな事を聞くんだ？」

「特に理由はないです」

「……俺以外の奴といたいからか？四天王とも仲良くしてるのは知ってる。レオか？それともヒカル？まさかゴウキか？」

カゲの表情が寂しげに一瞬見えたが、すぐにいつもの表情に戻ったから気のせいかと思った。

「何言ってるんですか？勇者も強くなって来てるから……任務が終わったら側にいたら迷惑になるかなって、私はカゲの側にいたいです」

「側にいたいならいればいいだろう。迷惑じゃないと伝えたはずだが？」

「……でも、今の任務終えたら邪魔になりませんか？」

カゲは無言で俺を見て、何か言いたげな表情をしながらも首を横に振った。

「あの、じゃあ……カゲが前に言ってた二度と会えない人って、どんな人ですか？私はその人の半分でも慕われたいです」

「……二度と会えない奴の事を知ってどうする？イチを変わりにして側におけと言うのか？イチとソイツは違う……似ている部分はあるが、…聞き流せ忘れろ。イチを変わりにはしない、邪魔さえしなければずっと側にいたらいいだろ」

カゲはそれ以上話さなかった。



それから数週間はカゲは勇者と食事をとる事が多く、話せる時間も少なかった。


そんな時、レオと偶然会う機会が多くなっていた。

「ねぇ、イチは普段は何をしてるの？」

「何がですか？」

「ワタシと会ってない時は何してるのかなって思ったから聞いただけよ」

俺は転生前前世と関わりの距離感が違いすぎるレオに何て答えようかと考えていた。
ヒカルが転生者は他にもいるとは言ってたけど、違いすぎるレオがそうなのかわからなくなっていたから。

「………別に普通に過ごしてます」

「ねぇ、今は勇者の魔王様討伐というか…勇者育成中だけど。勇者が魔王様に会えたらワタシの任務も落ち着くから、ワタシと過ごさない？」

「食事する時間を増やすって事ですか？」

誘いが遠回しなのか、意味がわからずに首を傾げた。

「それも嬉しいわね。前にも言ったけど、真名を教えてもいい程なのよ？……そうね、真名全て伝えるのは良くないって思うから四天王レオじゃなくて、レオンって呼んでくれないかしら？」

「……それって真名じゃないんですか？」

「愛称よ。流石にお互いの同意なく真名は教えないから安心してちょうだいね」

「えっと、でも……レオ様じゃ駄目なんですか？」

俺は、真名ではなくても他者に名乗ってる愛称とは別の愛称を呼ばせる事の意味があるんじゃないかって、不安になって安易に呼ばないで問い返した。


「そう、レオって方が呼びやすいならそれでもいいわ」

レオは特に気にした様子もなく、たわい無い話でレオとの食事は終えた。




レオと離れた後に、ヒカルに連絡をして普段名乗っている愛称とは別の愛称で呼ぶ意味はあるのかと尋ねた。
ヒカルはすぐに返答してくれた。

普段名乗っている愛称とは別の愛称呼びは、特別な愛称呼びを許す特別な相手だと他の人へのアピールで他者には渡さないという意思表示だと言われた。

ヒカルは時間はあるからと、近くにいるからと直接話に来てくれた。

「……レオか？カゲはそんな事は言わなさそうだし」

「はい。レオ様です…レオ様って勇者への態度と違いすぎて困る時があるんですけど？……ナンパな人なんですか？」

「そんな事はないけど……好みの女の子がいたらいいって位しか知らないんだよな」

「勇者は男だから態度違うって事ですか？」

「……多分？あのさ、カゲの事を好きなんだよな？カゲには相談してみたらどう？」

ヒカルが言うと、その直後にヒカルはゴウキに呼ばれたと言ってきた。

「………あー、ごめんな。ゴウキがカゲと勇者に会ったらしい、普段からゴウキは俺といる事が多いからカゲに俺はどこだって言われたみたいで…多分、お前といるって気づかれたっぽいから。カゲに何か言われたらごめんな？」

ヒカルは謝罪の言葉を告げると立ち去った。