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異世界再び
重なる面影
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カゲとは、あれからずっと行動を共にしていた。カゲは勇者から目を離さずにずっと見守って助けていた。
たまに、勇者を見守るカゲの眼差しが透さんと重なって勇者が羨ましく思った。
俺は、カゲの為に食料調達の為の食材を購入の為に近くの村に買い物に来ていた。
「あら、イチだったわね?元気にしているようで安心したわ」
レオが声をかけてきた、各村へ人族との和解を伝える為に村を訪ね回っていると話された。俺はカゲの側にいるとは伝えずに移動しながら旅をしていると話した。
「そうなの。それじゃあ、また会えるかもしれないわね?…じゃあ、今度会ったらゆっくり話しましょう。今日はワタシの予定がつかないから次会えたら時間作るわ。イチの事は一人旅立つって聞いて気になっていたから」
レオにそう言われて、俺は転生しても仲良く話してくれるレオの優しさに嬉しくなって笑顔で頷いた。
「ホント可愛いわね」
レオは俺の頭を撫でて立ち去った。
勇者コウとして召喚された時よりもレオは優しい気がした。
俺はカゲの為に勇者に気づかれないように、匂いがしなくても美味しい食べ物を作り持っていった。
勇者が寝ると結界を張り、カゲは俺と話してくれた。ほとんど一方的に話していた気もするけどカゲは俺の話に相槌を打ったりしながら答えてくれていた。
「食事は助かるが、いつまで着いてくるつもりだ?」
カゲは食べ終えると尋ねてきた。
「邪魔ですか?……邪魔なら姿見せずに見守るだけです」
「立ち去らないんだな?邪魔じゃない、食事は助かってるし、美味いから。それにお前に姿消されたら探せないからやめろ。隠密スキル凄いんだから」
カゲに側にいてもいいと言われ、褒められ嬉しくなった。
「……お前、俺を好きだと言いながらも、たまに俺じゃない奴を見てるよな?」
俺は答えに困りつつも、問い返した。
「……カゲだって、勇者の事を愛しげに見てるだろ?魔王様が執着してるから諦めてるって事か?……何でだよ!好きな人いるなら他の人に優しくなんてするなよ!」
俺は思わず、転生前の口調で俺じゃない人の隣にいた事を思い出して泣きそうになるのを堪えて言っていた。
「……イチ?落ち着け。俺は勇者コウには恋慕していない、……似てはいるが違うから。二度と会えない人だ」
「………その人はカゲの真名は知ってるんですか?」
真名は生涯の伴侶と両親しか知らせない物だと言っていたから、声を震わせ尋ねた。
「知らないな、俺の今の真名は……。気にするな、昔の話だ」
ん?どういう意味だ?今のって?俺は疑問に思いながら、真っ直ぐ問い返しても答えてくれないなと思い質問の内容を変えた。
「勇者コウの真名は知ってるんですか?」
「そうだな。魔王様と四天王は知っている」
魔王と四天王だから、勇者の情報として勇者コウを知ってるのか?それ以上は聞けなかった。
カゲも転生していて透さんならって思ったけど……。それだと勇者コウの事は過去?……違うか、勇者コウの後に出会ったから未来?
うん……混乱してきたから、考えるのはやめよう。
今は、側にいてもいいって言ってくれるカゲの側にいる。
それが俺の望みだった。
面影を重ねてるだけかもしれないけど、カゲとしての優しさも好きだったんだよな。……本当に、ずっと見守ってくれてたんだな。
勇者が羨ましく思う、過去の俺なのに……。
たまに、勇者を見守るカゲの眼差しが透さんと重なって勇者が羨ましく思った。
俺は、カゲの為に食料調達の為の食材を購入の為に近くの村に買い物に来ていた。
「あら、イチだったわね?元気にしているようで安心したわ」
レオが声をかけてきた、各村へ人族との和解を伝える為に村を訪ね回っていると話された。俺はカゲの側にいるとは伝えずに移動しながら旅をしていると話した。
「そうなの。それじゃあ、また会えるかもしれないわね?…じゃあ、今度会ったらゆっくり話しましょう。今日はワタシの予定がつかないから次会えたら時間作るわ。イチの事は一人旅立つって聞いて気になっていたから」
レオにそう言われて、俺は転生しても仲良く話してくれるレオの優しさに嬉しくなって笑顔で頷いた。
「ホント可愛いわね」
レオは俺の頭を撫でて立ち去った。
勇者コウとして召喚された時よりもレオは優しい気がした。
俺はカゲの為に勇者に気づかれないように、匂いがしなくても美味しい食べ物を作り持っていった。
勇者が寝ると結界を張り、カゲは俺と話してくれた。ほとんど一方的に話していた気もするけどカゲは俺の話に相槌を打ったりしながら答えてくれていた。
「食事は助かるが、いつまで着いてくるつもりだ?」
カゲは食べ終えると尋ねてきた。
「邪魔ですか?……邪魔なら姿見せずに見守るだけです」
「立ち去らないんだな?邪魔じゃない、食事は助かってるし、美味いから。それにお前に姿消されたら探せないからやめろ。隠密スキル凄いんだから」
カゲに側にいてもいいと言われ、褒められ嬉しくなった。
「……お前、俺を好きだと言いながらも、たまに俺じゃない奴を見てるよな?」
俺は答えに困りつつも、問い返した。
「……カゲだって、勇者の事を愛しげに見てるだろ?魔王様が執着してるから諦めてるって事か?……何でだよ!好きな人いるなら他の人に優しくなんてするなよ!」
俺は思わず、転生前の口調で俺じゃない人の隣にいた事を思い出して泣きそうになるのを堪えて言っていた。
「……イチ?落ち着け。俺は勇者コウには恋慕していない、……似てはいるが違うから。二度と会えない人だ」
「………その人はカゲの真名は知ってるんですか?」
真名は生涯の伴侶と両親しか知らせない物だと言っていたから、声を震わせ尋ねた。
「知らないな、俺の今の真名は……。気にするな、昔の話だ」
ん?どういう意味だ?今のって?俺は疑問に思いながら、真っ直ぐ問い返しても答えてくれないなと思い質問の内容を変えた。
「勇者コウの真名は知ってるんですか?」
「そうだな。魔王様と四天王は知っている」
魔王と四天王だから、勇者の情報として勇者コウを知ってるのか?それ以上は聞けなかった。
カゲも転生していて透さんならって思ったけど……。それだと勇者コウの事は過去?……違うか、勇者コウの後に出会ったから未来?
うん……混乱してきたから、考えるのはやめよう。
今は、側にいてもいいって言ってくれるカゲの側にいる。
それが俺の望みだった。
面影を重ねてるだけかもしれないけど、カゲとしての優しさも好きだったんだよな。……本当に、ずっと見守ってくれてたんだな。
勇者が羨ましく思う、過去の俺なのに……。
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