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交差し始める想い

衝撃

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全国大会予選も無事に終えて全国大会参加を秋桜しゅうおう青春あおはる共に決定した。


カゲは多忙なのか、ずっとカゲからの連絡はなかった。

会いたい

触れたい

声が聴きたい


俺は全国大会を控えてるのに、そんな事ばかり考えていたから……。
一瞬幻覚かと思った、カゲが喫茶店の窓際席に女の人一緒にいたんだ。

その後も何度か、カゲを見かけたけどその度に女の人は違ったんだ。

最後の全国大会で秋桜しゅうおうと本気で戦うんだ、こんな事で心揺るがせてたらダメだって思うけど……辛かった。

俺は、伝えられない気持ちを1冊のノートに書く事で発散しようとした。

会いたい、触れたい、声が聴きたい、俺だけを見て欲しい、好きだ、離れないで、側にいて欲しい、側にいたい……。



全国大会前日

俺はノート1冊を埋める程書いていた。カゲの存在に気づいて会って話した時の嬉しさから、側にいて見守ってくれた事の嬉しさ、離れていって寂しかった事……そして、戻ってきてから会えた時に初対面なのにデータだけとはいえ知っていてくれた事の嬉しさ、戦えなかった悔しかった全国大会の事、一緒にご飯食べた事、優しい言葉……。

書きながらも気づくと涙が零れていてノートにポタポタと落ちていた。

透さんが好きだ。全国大会が終わって伝えたら……付き合ってる人がいたら迷惑かけるよな?でも、好きだって伝える位ならいいよな?

俺はノートの最後のページに自問自答するように書き終えて、いつの間にか机に突っ伏して寝ていた。




全国大会当日

俺はいつも通りの起床時間に目覚めて焦った。
大会会場に着くにはギリギリだと……。

全国大会初戦が秋桜しゅうおうなのに寝坊して試合に出れないなんてなったらと焦った俺は周囲への危機感がなかったから、普段なら避けられたのに……。

青信号で渡ったのに気づくと目の前にトラックが見えて俺は跳ねられ道路に打ちつけられた。

「……試合、行かなきゃ……」

その言葉を最後に薄れる意識に俺は、カゲに会いたいと思い意識は途切れた。
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