体質が変わったので

JUN

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チビッ子編 👻 初めてのお留守番(3)誰か来た

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 あれがしたい、これがしたい、あれは嫌、これが嫌。晴の気まぐれに、怜も直もヘトヘトだ。いつもなら助け舟を出してくれる母がいないので、止まらない。
 晴にしても、言葉がまだ上手く出て来ないので説明できず、癇癪を起して泣くか怒るか投げつけるかという手段に出てしまう。
 こうして3人の留守番は、なかなかのハードなものになってきていた。
 と、ここでドアチャイムが鳴った。
「誰?」
 3人はピタリと動きを止め、寄り集まってじっと玄関の方を見た。
 再び、ピーンポーン、とチャイムが鳴る。
 と、晴が立ち上がり、インターフォンを押した。
『あ、こんにちは』
「あ!晴!ダメ!」
「でも、お母さん、いつも押してるもん」
 直が焦り、晴が不服そうにブスッとして言う。
「はい。こんにちは」
 仕方がないので怜が返事をした。
『世界の平和について祈る会の者ですが、ちょっとよろしいでしょうか』
 宗教の勧誘だった。
 が、怜も直も晴も、よくわからない。
「世界平和?」
「悪の組織と戦ってるの?」
「おばちゃんも変身する!?」
『ほほほ。ごめんねえ。変身は無理ね。お母さんはいる?』
「いないよ」
「お兄ちゃんと怜とおすすばん」
「お留守番だよ、晴ちゃん」
「おるつばん」
『じゃあ、お母さんが帰って来たらこれを渡して欲しいから、ちょっと開けてくれるかしら』
 その一言は、3人の眠っていた警戒心を叩き起こした。
 ちょっとここを開けて。オオカミもそう言ったではないか。
「お母さんが、開けちゃダメって言ったから、ダメ」
 直は言って、素早く画像を消した。怜は、鍵を開けに行こうとする晴を押さえる係だ。
「晴。ダメだろ。ここを開けてって言われて開けたら、オオカミが入って来たじゃないか」
 晴は言い聞かされた事が面白くないのか、
「嫌!もう!嫌!」
と怜を振り払い、おもちゃ箱をひっくり返してボールを取り出すと、壁に向かって投げて遊び出した。
「油断禁物だな」
「危なかったね、直。敵はなかなかやるね」
 怜と直は、まずオオカミの第一波をやり過ごし、安堵した。

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