体質が変わったので

JUN

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義務(4)選択

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 その後、美登利さんはすっかり明るく朗らかになり、由香さんと仲良くやっているそうだ。
 冷凍食品もレトルトも最新家電も、
「便利なものがあるのに、使わなかったら損じゃないの。上手く利用したらいいのよ」
と趣旨替えしたらしい。
「自分が苦労したから嫁にも――とは、怖いねえ」
「代々の姑の申し送り?嫌だなあ、こんなの」
 僕と直は、嫁姑というものに震えた。
「それで、決めたの。私、退職する」
 千穂さんが言って、美里は少し考えてから訊いた。
「後悔しないの?」
「警察官っていう職業に誇りを持ってるけど、母親っていうのにも誇りを持ってるのよね。
 でも、私って器用じゃないから。仕事中、子供が熱出してたとか、朝機嫌が悪かったとかって時、気になっちゃうの。それ、ダメでしょ。
 だから、警察官のかっこいいお母さんは見せられないけど、やめて、お母さんに専念する」
 美里は笑い、言った。
「ばかね。その選択をする千穂ちゃんが、カッコよくないわけないじゃない。さいっこう!」
「えへへへへ」
 千穂さんは照れたように笑い、ココアを啜った。
「だからさあ、優維の保育園を、この近くで探したいんだよねえ。累はたんぽぽ幼稚園に行かせるつもりだけどねえ」
「凜が喜びそうだな」
「思い出すなあ。怜と初めてあったの、幼稚園だもんねえ」
「そうそう。お巡りさん泥棒疑惑とか、ハロウィンの盗撮魔事件とか」
「あれ?もしかして、ボク達って問題児だったりした?」
「え?そんなわけ……ない、と、思う……けど」
 どうしよう。自信がないぞ。
「聞きたいわ。それ、どういう事件だったの?」
「ほかにもどうせあるんでしょ?吐かないなら、司さんに訊いちゃうもんね。
 ねえ、美里ちゃん」
「ああ、いいわね。何か、昔のお使いのビデオもあるらしいわよ」
「見たい!表情筋が仕事してた頃の怜君、見たい!」
「今度司さんに借りましょうよ!」
 僕と直が口を挟めないまま、決まって行く。
「直、何か盛り上がってるぞ。どうしよう」
「諦めるかねえ。こうなった時の女性は止められないよう」
「兄ちゃんに、ビデオを渡すなって言っておこうか」
「無駄だよう。冴子姉も面白がるに決まってるしねえ」
「ああ、それもそうか」
「司さんも、嬉々としてビデオを見そうだしねえ」
「……目に浮かぶようだな」
 僕と直は諦めた。
 まあ、いいか。僕だって、懐しい。
「ま、楽しんでもらえりゃいいか」
 家庭に笑い声が満ちるのが一番だ。
 瀬名さんの家も、そうである事を願った。


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