体質が変わったので

チビッ子編 👻 たんぽぽ捕り物帖（３）秘密

　警察が来て推定盗撮魔はパトカーに乗せられ、カメラ付きのラジコンヘリも押収された。
「じゃあ、名前をきかせてもらおうかな」
　警察官が言うのに、怜が言う。
「名乗るほどのものではござらん」
　怜。それは忍びじゃなく、浪人か何かだろう、と司は思った。
「ええ……」
「しがない狩人でございます」
　直も続く。
「ああ……じゃあ、君が代表して――」
「だめ！兄ちゃ――上様はお忍び中なの！」
　とうとう、警察官達も野次馬も笑い出す。
「怜、直、あのな」
「だめ！御庭番は正体を明かしちゃいけないの！」
「白雪姫を逃がしたのがばれたらお妃様に殺される！」
「……どうすりゃいいんだ……」
　司は悩んだ。
　が、警察官はしゃがみこんで、言った。
「おじさんは、上様の命令で悪者を取り締まる係だからね。味方だからいいんだよ」
　怜と直が、司を見上げた。それで、司は頷いた。
「じゃあ、たんぽぽ幼稚園竹組、御崎　怜です！」
「たんぽぽ幼稚園竹組、町田　直です！」
「御崎　司です」
　司は、警察官という職業も本当に柔軟性が必要で大変だなあ、と思った。

　３人の活躍は新聞の地方版に載り、忍者と狩人の姿の２人と司の写真も載った。
　おかげで、司は学校で「上様」と呼ばれそうになった。
　怜と直はというと、女子寮の人達から「かわいい」とか「ありがとう」とか言われてたくさんのお菓子をもらったのもあって、それで味をしめたらしい。
　しきりに、「パトロール」に出掛けようとする。
「あんなに間抜けなやつだから助かったけど、危ないんだからな？やめなさい」
　そう言ったが不満そうなので、
「御庭番が目立ったら仕事にならないし、目立つとお妃様に居所がバレるぞ」
と言うと、衝撃を受けたような顔をして、２人は大人しくなった。
　そして司は密かに、小学校はハロウィンの仮装が無くて良かった、と安堵したのだった。