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とおりゃんせ(3)帰還
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緊張感が満ちる。
「やってみるか?それなら、容赦はしない。全力で行くが」
しばらく睨み合いが続いたが、じわり、と神威を意図的に洩らすと、水干の彼らに動揺が走った。
やがて、水干の子供が、フッと笑った。
「冗談じゃ。怖いのう」
「いつまでもここにいるつもりか?」
「そういうつもりはないが、結果的に、どこにも行けぬ」
「送ってやるが」
彼らは、顔を見合わせた。
小さな子は、訳が分からないようで、大きい子を見上げる。
「わかりやすく言うと、新しく生まれ直してみないか、という事だ」
それで、彼らはそこここで相談し始めた。
「親より先に死んだら、怒られるんでしょ?だから、天神様がここに入れてくれたんでしょ?」
「これだけここにいたんだから、もう十分だ。それにそんなもの、君達のせいなわけないじゃないか」
ザワザワと彼らがざわめく。
「では、よろしく頼みたい」
「わかった」
彼らに対して、浄力を放つ。すると彼らは光って、さらさらと崩れて消えて行った。
「怜、あの子達、どこに行ったの?」
敬が見上げて訊く。
「死んでから行くところ。そこで、ちょっと休憩してから、もう1回生まれるんだぞ」
「まんまんちゃんあん?」
「そうだな」
それで、皆は各々、手を合わせて祈り始めた。
「あのね、一緒に遊んだよ?木登りとか蹴鞠とか教えてもらったの」
「そうか。楽しかったな」
「うん!」
「じゃあ、帰ろうか。皆も、お父さんやお母さんが待ってるからな。皆、ついて来るようにな」
言って、次元の穴を広げると、陽炎の向こうに、こちらを心配そうに見つめる父兄の姿が見えた。
「お父さん、お母さん!」
わっと1人が走り出すと、皆が走り出す。
「ただいま!」
敬はにこにことして兄と冴子姉に言った。
「おかえり、敬」
兄は言いながら、さっと、異常が無いかをチェックした。
「大冒険してきたの?」
冴子姉がしゃがみ込んで、目を合わせながら言う。
「うん!変な服の子とかと、遊んだ!その後、皆、死んだら行くところに行ったんだよね?」
「そう。皆で見送ったんだよな」
「うん!」
「そうか。皆、行ったのか」
神主と巫女がもう1度祈祷をし直すと言い、子供達は再び、本殿に上がり、新しい千歳あめをもらった。それで大抵の子は、機嫌が直ったし、怖かった事など、忘れ去っているようだ。
父兄への説明は、子供達が祈祷を受けている間に行った。
「さあ、帰ろうか」
「はあい」
敬も上機嫌で、返事をした。
家に帰って、流石に疲れたのか、敬はすぐに昼寝し始めた。
そこで改めて、兄と冴子姉に事の次第を話した。
「昔は子供が今よりも死に易かったからな。7歳まで無事に育つかどうかがまずは分かれ目で、それまでは、神の子としてたんだったか」
「親より先に死んだ子は親不孝って、賽の河原で苦行を課されるって言うしね。天神様がそれから守ってはいたのね」
「かわいそうな子達だよな。別に、死んだのは本人のせいじゃないのに。
かと言って、寂しいからって誰かを引きずり込まれたら困るけど。今まで、神隠しとして処理されてた子もいたようだし」
「まあ、生まれ直して、今度は幸せな人生をおくれるといいな」
僕達は幸せそうな敬の寝顔を見て、お茶を啜った。
「敬も、元気で幸せな人生になって欲しいな」
何の夢を見ているのか、敬がにへらっと笑った。
「やってみるか?それなら、容赦はしない。全力で行くが」
しばらく睨み合いが続いたが、じわり、と神威を意図的に洩らすと、水干の彼らに動揺が走った。
やがて、水干の子供が、フッと笑った。
「冗談じゃ。怖いのう」
「いつまでもここにいるつもりか?」
「そういうつもりはないが、結果的に、どこにも行けぬ」
「送ってやるが」
彼らは、顔を見合わせた。
小さな子は、訳が分からないようで、大きい子を見上げる。
「わかりやすく言うと、新しく生まれ直してみないか、という事だ」
それで、彼らはそこここで相談し始めた。
「親より先に死んだら、怒られるんでしょ?だから、天神様がここに入れてくれたんでしょ?」
「これだけここにいたんだから、もう十分だ。それにそんなもの、君達のせいなわけないじゃないか」
ザワザワと彼らがざわめく。
「では、よろしく頼みたい」
「わかった」
彼らに対して、浄力を放つ。すると彼らは光って、さらさらと崩れて消えて行った。
「怜、あの子達、どこに行ったの?」
敬が見上げて訊く。
「死んでから行くところ。そこで、ちょっと休憩してから、もう1回生まれるんだぞ」
「まんまんちゃんあん?」
「そうだな」
それで、皆は各々、手を合わせて祈り始めた。
「あのね、一緒に遊んだよ?木登りとか蹴鞠とか教えてもらったの」
「そうか。楽しかったな」
「うん!」
「じゃあ、帰ろうか。皆も、お父さんやお母さんが待ってるからな。皆、ついて来るようにな」
言って、次元の穴を広げると、陽炎の向こうに、こちらを心配そうに見つめる父兄の姿が見えた。
「お父さん、お母さん!」
わっと1人が走り出すと、皆が走り出す。
「ただいま!」
敬はにこにことして兄と冴子姉に言った。
「おかえり、敬」
兄は言いながら、さっと、異常が無いかをチェックした。
「大冒険してきたの?」
冴子姉がしゃがみ込んで、目を合わせながら言う。
「うん!変な服の子とかと、遊んだ!その後、皆、死んだら行くところに行ったんだよね?」
「そう。皆で見送ったんだよな」
「うん!」
「そうか。皆、行ったのか」
神主と巫女がもう1度祈祷をし直すと言い、子供達は再び、本殿に上がり、新しい千歳あめをもらった。それで大抵の子は、機嫌が直ったし、怖かった事など、忘れ去っているようだ。
父兄への説明は、子供達が祈祷を受けている間に行った。
「さあ、帰ろうか」
「はあい」
敬も上機嫌で、返事をした。
家に帰って、流石に疲れたのか、敬はすぐに昼寝し始めた。
そこで改めて、兄と冴子姉に事の次第を話した。
「昔は子供が今よりも死に易かったからな。7歳まで無事に育つかどうかがまずは分かれ目で、それまでは、神の子としてたんだったか」
「親より先に死んだ子は親不孝って、賽の河原で苦行を課されるって言うしね。天神様がそれから守ってはいたのね」
「かわいそうな子達だよな。別に、死んだのは本人のせいじゃないのに。
かと言って、寂しいからって誰かを引きずり込まれたら困るけど。今まで、神隠しとして処理されてた子もいたようだし」
「まあ、生まれ直して、今度は幸せな人生をおくれるといいな」
僕達は幸せそうな敬の寝顔を見て、お茶を啜った。
「敬も、元気で幸せな人生になって欲しいな」
何の夢を見ているのか、敬がにへらっと笑った。
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