体質が変わったので

JUN

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トラック(2)路上駐車

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 工場が立ち並んだその道路沿いに行くと、路上駐車のトラックがズラリと並んで、4車線が2車線になっていた。
「昼間もよく止まってはいるみたいだけど、朝方は特に多いらしいねえ」
 直がそう言う。
 町田 直まちだ なお、幼稚園からの親友だ。要領が良くて人懐っこく、脅威の人脈を持っている。高1の夏以降、直も、霊が見え、会話ができる体質になったので本当に心強い。だがその前から、僕の事情にも精通し、いつも無条件で助けてくれた大切な相棒だ。霊能師としては、祓えないが、屈指の札使いであり、インコ使いである。そして、キャリア警察官でもある。
「いつも?」
「らしいよ。千穂ちゃん情報だと、ここは実質一車線みたいなものだから、知ってるドライバーは、そこの角から向こうの信号までは、最初から右車線に入るんだって言ってたねえ。左を走り出しても、駐車トラックが出て来るからその度に車線変更しないといけなくて、面倒なんだって」
「確かに面倒だよな」
 言いながら、まだ明け方の暗い中を、取り敢えず歩き出す。
 工場が立ち並んでいるとはいえ、奥は住宅街で、所々に細い道がある。真ん中あたりに点滅信号が1つついているだけだった。
「ここ、絶対に不法横断が多いな」
「間違いないねえ」
 言っているそばから、駅に向かうサラリーマンらしき中年が住宅街の方からやって来て、トラックの横まで車道に出て来ると、キョロキョロと左右を見て、走って渡って行った。
 危ない。これがもう少し後になると交通量も増えるだろうしな。
「この辺りか」
 手形の付けられたトラックが止まっていたという辺りへ来た。車用点滅信号と押しボタン式歩行者用信号機のある所とこの通りの端との真ん中付近だ。
「ここに何か気配が残っているわけでもないのか」
「交通事故の地縛霊でも無いのかねえ。とは言え、ドライバーにもトラックにも憑いてはなかったしねえ」
「後は、運送会社か?」
 言いながら辺りを探っていると、気配がした。
「向こうか」
「うわあ、遠いねえ」
 遠い方の端近くのようだ。仕方なく、僕と直は、朝からダッシュする羽目になった。
 しかし。
「クッ。自転車でも用意するか?」
 辿り着いた時には、親子は消えていたのだった。

 翌日は、角と点滅式信号機の間、信号機と点滅式信号機の間の2カ所に分かれて待った。
 なのに、
「向こう側ーっ!?」
 作戦は失敗した。

 その次は土曜日で、トラックは少なかった。
 茜屋チームの手が空いたので、道の両側に分かれて3カ所で待ってみた。
 しかし、親子は土日休みなのか、現れなかった。
「週休2日制かねえ」
「何か、納得できない」

 月曜日ならまた出るだろうと、3カ所体制、自転車付きで待った。
 これでだめなら、次はどうしようか。そんな心配をしていたら、気配がした。向こう側、直の向かい側らしい。今日こそはと自転車をこいで急ぐと、札で足止めされた霊2体がいた。
「やっと会えた」
 僕達はホッとしながら、警戒する2人に近寄って行った。




 
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