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ボディーガード(4)そして通常業務へ
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腕が振り下ろされた時、そこには僕はもういない。その場から退いて、直の札を蹴って化け物の頭上に移動しており、そこから一気に刀を振り下ろしつつ落下する。
化け物がそれに気づいて上を振り仰ぐが、遅い。
顔をかばおうと上げた腕を斬り飛ばし、札で横へ跳びつつ、首へ刀を入れる。
着地に遅れて化け物の首が落ち、体と一緒に、黒い靄のようになって消えて行く。
「これだけか?」
「もう来そうに無いねえ」
『周二、確保しました!』
報告が来る。
「よし」
「イエーイ」
結界を解除し、首相や大統領の所に戻る。
「もう、来ないと思いますよ」
リーダーに言いながら、人垣に注意を向ける。
「わかった。
移動を開始します。
こちらへ」
そして何事も無かったかのように、僕達は両首脳を囲んで車へ移動を始めた。
「驚いたな!テレビやネットの映像では見たが、生は違うな!いやあ、流石は霊能師だな。これなら、日本の治安はますます安心だな」
大統領が言って握手を求めて来た。
一応は応えながら、言っておく。
「ありがとうございます。
でも、警察官1人1人が凄いんですよ。身内からの思わぬ攻撃にも即対処!そして霊を放った霊能者も無事に取り押さえましたしね。訓練の賜物ですよ。
我々はこれからも、努力を続けます」
言うと、大統領は笑って頷き、彼女を取り押さえた亀田さんに笑いかけた。
「ありがとう。実に見事だった。日本の警察官は優秀だな!」
「え?は?ん?」
語学力は、だめな亀田さんだった。
無事に首脳会談は終わった。
あの襲撃犯の女性は、大統領の政策に不満を抱くグループのメンバーだったらしい。ここで問題を起こしてアメリカと日本に同時に混乱と信用の失墜を起こさせ、その隙に――と企んでいた事を供述した。
そして両首脳は共同で、両国の協調と、卑怯なテロには屈しないという姿勢、基本は外交交渉による話し合いでの世界平和の構築を宣言した。
そして大統領はツイッターで、日本の霊能師の凄さと警察官の優秀さを呟き、それは世界に拡散して行った。
「先輩。俺、訓練で御崎さんと町田さんがやってたのを見てたからたまたま反応できただけですよ。訓練の時は、マジでこいつら何トチ狂った事をしでかしてやがるんだって思いましたもん」
亀田は、しょんぼりしながら先輩に言った。
「そうだな。まあ、あれは全員そうだったんじゃないか」
「でも、それを実地に生かせるかどうか。大事なのはそこだろう?」
「はい。そうっすね。俺、もっと頑張ります!」
亀田は途端に笑顔になって、走りに行った。
「単純だなあ」
「流石はカメ」
先輩達は、そんな亀田を笑って見送る。
「陰陽課には、花を持たせてもらったようなものですね」
「というか、これがキャリアの考え方なのかもな。課がどうの、誰の手柄だ。そういう事よりも、日本の警察の練度の高さをアピールして、テロを仕掛けてもむだだぞ、と」
「そういう事なのかもなあ。まあ、手柄を競ってるやつも多いけどな」
「まだ若いから。キャリアとして」
「ああ。そういう事だな」
出向が終わり、陰陽課も元の業務に戻った。
「周二も逮捕してみれば、大人しいものらしいね」
徳川さんが言う。
「あいつ、どうなるんだろうな。戸籍も無いし」
「生まれが違っていれば、優秀な霊能師になっていたかも知れないのにねえ」
「今後の態度次第では、日本の戸籍を与えて霊能師にさせてもいいんじゃないですか」
僕と直が言うと、徳川さんは考え込んだ。
「ううーん。本当に害意がないか、更生したかを、キチンと見極めないとまずいだろうけどね」
「それが難しそうかな」
「だねえ」
「まあ、それは時間をかけて、おいおいだね」
揃って、上機嫌の首相から差し入れられた最中を食べる。
「それはそうと、あの襲撃は中継もされたせいで、えらい騒ぎだよ。広報課長が、2人に記者会見を申し込まれてるとか言ってたな」
「ええー。面倒臭い」
「適当なコメントを出しておいて欲しいねえ」
「それと、陰陽課の活躍を描いた刑事もののドラマを、警察の協力で制作したいと申し入れて来てる所があるそうだよ。子供向けの戦隊ものはあるけど、大人向けのを、ドラマと映画で。警察のイメージアップにもなるし」
「ふうん。僕に関係なければ、どうぞってところですね。
それより、この最中の餡が美味しいな。家で作れないかな」
「想像通りだね。監修は陰陽課で、だってさ」
「絶対に、嫌です。面倒臭い」
「プッ。言うと思ったねえ」
「あはははは!」
いつもの陰陽課だった。
化け物がそれに気づいて上を振り仰ぐが、遅い。
顔をかばおうと上げた腕を斬り飛ばし、札で横へ跳びつつ、首へ刀を入れる。
着地に遅れて化け物の首が落ち、体と一緒に、黒い靄のようになって消えて行く。
「これだけか?」
「もう来そうに無いねえ」
『周二、確保しました!』
報告が来る。
「よし」
「イエーイ」
結界を解除し、首相や大統領の所に戻る。
「もう、来ないと思いますよ」
リーダーに言いながら、人垣に注意を向ける。
「わかった。
移動を開始します。
こちらへ」
そして何事も無かったかのように、僕達は両首脳を囲んで車へ移動を始めた。
「驚いたな!テレビやネットの映像では見たが、生は違うな!いやあ、流石は霊能師だな。これなら、日本の治安はますます安心だな」
大統領が言って握手を求めて来た。
一応は応えながら、言っておく。
「ありがとうございます。
でも、警察官1人1人が凄いんですよ。身内からの思わぬ攻撃にも即対処!そして霊を放った霊能者も無事に取り押さえましたしね。訓練の賜物ですよ。
我々はこれからも、努力を続けます」
言うと、大統領は笑って頷き、彼女を取り押さえた亀田さんに笑いかけた。
「ありがとう。実に見事だった。日本の警察官は優秀だな!」
「え?は?ん?」
語学力は、だめな亀田さんだった。
無事に首脳会談は終わった。
あの襲撃犯の女性は、大統領の政策に不満を抱くグループのメンバーだったらしい。ここで問題を起こしてアメリカと日本に同時に混乱と信用の失墜を起こさせ、その隙に――と企んでいた事を供述した。
そして両首脳は共同で、両国の協調と、卑怯なテロには屈しないという姿勢、基本は外交交渉による話し合いでの世界平和の構築を宣言した。
そして大統領はツイッターで、日本の霊能師の凄さと警察官の優秀さを呟き、それは世界に拡散して行った。
「先輩。俺、訓練で御崎さんと町田さんがやってたのを見てたからたまたま反応できただけですよ。訓練の時は、マジでこいつら何トチ狂った事をしでかしてやがるんだって思いましたもん」
亀田は、しょんぼりしながら先輩に言った。
「そうだな。まあ、あれは全員そうだったんじゃないか」
「でも、それを実地に生かせるかどうか。大事なのはそこだろう?」
「はい。そうっすね。俺、もっと頑張ります!」
亀田は途端に笑顔になって、走りに行った。
「単純だなあ」
「流石はカメ」
先輩達は、そんな亀田を笑って見送る。
「陰陽課には、花を持たせてもらったようなものですね」
「というか、これがキャリアの考え方なのかもな。課がどうの、誰の手柄だ。そういう事よりも、日本の警察の練度の高さをアピールして、テロを仕掛けてもむだだぞ、と」
「そういう事なのかもなあ。まあ、手柄を競ってるやつも多いけどな」
「まだ若いから。キャリアとして」
「ああ。そういう事だな」
出向が終わり、陰陽課も元の業務に戻った。
「周二も逮捕してみれば、大人しいものらしいね」
徳川さんが言う。
「あいつ、どうなるんだろうな。戸籍も無いし」
「生まれが違っていれば、優秀な霊能師になっていたかも知れないのにねえ」
「今後の態度次第では、日本の戸籍を与えて霊能師にさせてもいいんじゃないですか」
僕と直が言うと、徳川さんは考え込んだ。
「ううーん。本当に害意がないか、更生したかを、キチンと見極めないとまずいだろうけどね」
「それが難しそうかな」
「だねえ」
「まあ、それは時間をかけて、おいおいだね」
揃って、上機嫌の首相から差し入れられた最中を食べる。
「それはそうと、あの襲撃は中継もされたせいで、えらい騒ぎだよ。広報課長が、2人に記者会見を申し込まれてるとか言ってたな」
「ええー。面倒臭い」
「適当なコメントを出しておいて欲しいねえ」
「それと、陰陽課の活躍を描いた刑事もののドラマを、警察の協力で制作したいと申し入れて来てる所があるそうだよ。子供向けの戦隊ものはあるけど、大人向けのを、ドラマと映画で。警察のイメージアップにもなるし」
「ふうん。僕に関係なければ、どうぞってところですね。
それより、この最中の餡が美味しいな。家で作れないかな」
「想像通りだね。監修は陰陽課で、だってさ」
「絶対に、嫌です。面倒臭い」
「プッ。言うと思ったねえ」
「あはははは!」
いつもの陰陽課だった。
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