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早瀬のひとりごと
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ぼくは昔から口下手で引っ込み思案で、友達は少なかった。女子の友達なんていなかったけど、べつにそれでよかった。
だって女子は、にこにこしながら蔭で酷い悪口を言っているのを、小学五年生の時に聞いてしまったから。
中学の時も、友達は少なかったけど、邪魔されずに自分の好きなことをしていられて、それでいいと思っていた。
高校の時も同じだ。皆、表と裏とで言うことが違いすぎる。ぼくは何を信じて良いかわからないから、始めからひとりで良いと思っていた。
大学は人が多かった。だから色んな人がいて、目が回りそうだった。
ぼくは下を向いて、ひっそりとひとりでいようと思っていた。
そんなぼくの前に現れたのが、嶋田さんだった。彼女はほかの人みたいに、表と裏で違うことを言ったりしない。ぼくのことも馬鹿にしないで、ちゃんと話を聞いてくれる。
ぼくは思った。彼女がぼくの運命の人なんだと。
ぼくはそれから彼女と話をするために、彼女と同じサークルに入った。テニスなんて全く興味もなかったけど。それでも、泊まりがけの合宿もあったりして、ぼくと彼女は話をする機会が増えた。
そうして愛を育んでいった。
そうさ。ぼくと彼女は結婚するだろう。子供は二人。ぼくは一流企業に就職して、子供が生まれる頃には、係長になっているはずだ。
彼女ともっと話したくて、彼女の近くにいたくて、彼女の家の近くに引っ越した。
彼女の写真に話しかけ、写真の彼女と将来の話をした。
ある日、彼女が旅行先で作ったと言っていたキーホルダーがかばんから外れて落ちるのを見た。
これは彼女がぼくに作ってくれた物だ。恥ずかしがり屋だから渡せずに、こういう渡し方でぼくに渡そうとしたに決まっている。
そうとも。だってぼくたちは、こんなに愛し合っているんだから。
でも、誰かに見つかったらまずい。だから写真とキーホルダーは、天井裏にこっそりと隠して、毎晩眺めることにした。今は実際にできないから、写真やキーホルダーごしにキスをして、愛を交わしていた。
なのに、どうしてだろう。ある日突然、凄い衝撃が加わったかと思ったら、体が無くなってしまった。死んだのだと理解したのは、一ヶ月くらい後だろうか。
悩んだ。愛する彼女を置いて、どうしたらいいんだろう。そう、いつの間にか戻ってきていた部屋の天井裏で、キーホルダーと写真を前に、毎日悩んでいた。
そんなある日、ぼくの部屋に新しい人が入ってきた。
知らない男だ。毎日のほほんとして、遊びに行ったりしている。ぼくはどこにも行けないのに。
そこで思いついた。こいつの体を乗っ取って、彼女を迎えに行こう。喜んでくれるはずだ。
でも、そいつはぼくが天井裏から出てくるところを見て、とんでもない事をした。天井板を外せないように、妙なテープを貼り付けやがったのだ。
バカにしていたが、このテープは意外と効果があって、天井から下りる事ができなくなった。どうにかしてはずそうとガリガリと天井板を毎晩削っていた。
そうしたら、テープが剥がれて、下りてこられるようになった。
驚いたことに、部屋の住人が変わっていた。
そいつはお人好しで、おまけに前のやつと違って、友達がいないらしい。体を乗っ取って入れ替わるには好都合だ。
ぼくはそいつのクセや仕事を覚えるために、観察を始めた。
毎日、いつも見ている。
待っていて、夏帆。ぼくが必ず迎えに行くから。
だって女子は、にこにこしながら蔭で酷い悪口を言っているのを、小学五年生の時に聞いてしまったから。
中学の時も、友達は少なかったけど、邪魔されずに自分の好きなことをしていられて、それでいいと思っていた。
高校の時も同じだ。皆、表と裏とで言うことが違いすぎる。ぼくは何を信じて良いかわからないから、始めからひとりで良いと思っていた。
大学は人が多かった。だから色んな人がいて、目が回りそうだった。
ぼくは下を向いて、ひっそりとひとりでいようと思っていた。
そんなぼくの前に現れたのが、嶋田さんだった。彼女はほかの人みたいに、表と裏で違うことを言ったりしない。ぼくのことも馬鹿にしないで、ちゃんと話を聞いてくれる。
ぼくは思った。彼女がぼくの運命の人なんだと。
ぼくはそれから彼女と話をするために、彼女と同じサークルに入った。テニスなんて全く興味もなかったけど。それでも、泊まりがけの合宿もあったりして、ぼくと彼女は話をする機会が増えた。
そうして愛を育んでいった。
そうさ。ぼくと彼女は結婚するだろう。子供は二人。ぼくは一流企業に就職して、子供が生まれる頃には、係長になっているはずだ。
彼女ともっと話したくて、彼女の近くにいたくて、彼女の家の近くに引っ越した。
彼女の写真に話しかけ、写真の彼女と将来の話をした。
ある日、彼女が旅行先で作ったと言っていたキーホルダーがかばんから外れて落ちるのを見た。
これは彼女がぼくに作ってくれた物だ。恥ずかしがり屋だから渡せずに、こういう渡し方でぼくに渡そうとしたに決まっている。
そうとも。だってぼくたちは、こんなに愛し合っているんだから。
でも、誰かに見つかったらまずい。だから写真とキーホルダーは、天井裏にこっそりと隠して、毎晩眺めることにした。今は実際にできないから、写真やキーホルダーごしにキスをして、愛を交わしていた。
なのに、どうしてだろう。ある日突然、凄い衝撃が加わったかと思ったら、体が無くなってしまった。死んだのだと理解したのは、一ヶ月くらい後だろうか。
悩んだ。愛する彼女を置いて、どうしたらいいんだろう。そう、いつの間にか戻ってきていた部屋の天井裏で、キーホルダーと写真を前に、毎日悩んでいた。
そんなある日、ぼくの部屋に新しい人が入ってきた。
知らない男だ。毎日のほほんとして、遊びに行ったりしている。ぼくはどこにも行けないのに。
そこで思いついた。こいつの体を乗っ取って、彼女を迎えに行こう。喜んでくれるはずだ。
でも、そいつはぼくが天井裏から出てくるところを見て、とんでもない事をした。天井板を外せないように、妙なテープを貼り付けやがったのだ。
バカにしていたが、このテープは意外と効果があって、天井から下りる事ができなくなった。どうにかしてはずそうとガリガリと天井板を毎晩削っていた。
そうしたら、テープが剥がれて、下りてこられるようになった。
驚いたことに、部屋の住人が変わっていた。
そいつはお人好しで、おまけに前のやつと違って、友達がいないらしい。体を乗っ取って入れ替わるには好都合だ。
ぼくはそいつのクセや仕事を覚えるために、観察を始めた。
毎日、いつも見ている。
待っていて、夏帆。ぼくが必ず迎えに行くから。
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