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食堂にて
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春休みギリギリまで実家にでもいるのだろうか、生徒はあまりいない。
建物はまだ新しいのか、全体的にきれいだ。
401号室と書かれたドアを開けると、壁の両側に2段ベッドがあり、各々下はクローゼットと棚になっていた。そして正面には窓があり、その窓に向かって机が2つ並んでいた。
机の上には冊子や教科書などが置かれ、寮の案内もそこにあった。クローゼットの中には制服と、体操服なのだろうか。変わった服が入っている。それとジャージ。
そしてその前にはダンボール箱が置いてあり、右側の箱には送り主が「敷島悠理」と書いてあり、左側の箱には「鈴木 均」と書いてあった。
「ふうん。同室のやつって、鈴木 均っていうのか」
それで、敷島悠理からのダンボール箱が置いてあった方が自分のスペースだと判断し、まずは箱を開けてみる。
何せ、自分では荷造りした覚えもないのだ。何が入っているのか、少しドキドキした。
ジャージ、洗面具、タオルやバスタオル、バインダーやノート、筆記具、ジーンズやシャツなどの私服と下着類、本。それとなぜか、フリルのついたヒラヒラのブラウス。
「本は、物理と化学と数学と航空工学か。どれも中学時代に気に入ってたものだな。
それにこのジャージは中学の時のジャージだな。パジャマ代わりか?
ジーンズとシャツとTシャツにも覚えがあるけど、このひらひらブラウス、俺のか?俺が買った物か?何かの景品で貰ったとか?」
それ以外はほぼ間違いなく自分のものの気がした。
「どういう事だ?確かに俺が知る物と同じだ。でも、本当に同じ物なのか?同じだとしたらそれはどういうわけだ。同じに見えるだけとしても、なぜ同じに見える物をこれだけ揃える事ができた?」
全くわからない。
悠理は取り敢えず荷物を収納し、机の上の冊子を読んで注意事項などを把握し、そろそろ夕食だと階下に降りた。
食堂に入ると、そこは教室が3つははいるくらい広く、そこに長テーブルとイスがズラリと並んでいる。
しかし新学期ギリギリに来る生徒も多いのか、それとも時間的に混み合う時間帯ではないのか、そこにいたのは60人くらいだった。
しかも全員男だ。
そう、この学校は共学だが、男子と女子は訓練する学校の場所が違う――つまり、実質的には男子校と女子校と同じだった。
その男子達が、一斉にお喋りをやめて悠理を凝視した。
「え?」
悠理はたじろぎ、おかしい所があるのかと自分の服装を見下した。
皆適当な私服やジャージで、悠理もジーンズとシャツだ。
(チェック柄はダサかったか?いや、そこのあいつのプリントTシャツよりはましだ)
よくわからないが、見慣れない新入りという事で注目を集めたのかと考え、他の人に習って、カウンターでトレイを取り、ごはんやおかずを順番にトレイに乗せていく。
そして、空いた席に座った。
(そう言えば、朝に栄養ドリンクを飲んだっきりで死んだんだったな。その前の晩はゼリーで、その前の昼は栄養補助食品バー、その前の朝はやっぱり栄養ドリンクだった。
あれ?まともな食事っていつ以来だ?)
思い出せない。そう考えると、目の前の定食風なトレイに感激してくる。
「いただきます」
悠理は手を合わせて、箸を取った。
「肉じゃがかあ」
食べようとした時、声がかかった。
「あれ、君。見ない顔だね。新入生かな」
邪魔をされたと半分苛立ちながら、悠理は顔を上げた。
そこにいたのは、派手な顔立ちの背の高い生徒と、生意気そうな表情の小柄でかわいい顔の生徒、髪の短い大人しそうな生徒の3人だった。
無視するのもどうかと思って、一応返事をした。
「敷島悠理です。よろしくお願いします」
「きれいな名前だな。俺は西條栗栖。こっちは花園君で、こっちは田川君。3人共2年生だよ。わからない事があったら何でも聞いてくれ」
妙にかっこをつけながら、そう言う西條に、
「よろしくお願いします」
と言って、悠理は食事に戻ろうとした。
が、まだ西條達は立ち去らない。
「ユウリと呼んでいいかな。
ユウリの目はとてもきれいだね」
いいかどうか返事を待たず、西條は言って、悠理の顎に指をかけてクイッと上げさせる。
生意気な花園と呼ばれた方が唇を噛んで悠理を睨み、田川は眉をキュッとしかめた。どこかから悲鳴のような声が上がり、そして悠理は、鳥肌がたった。
「ええっと、そうですか。それはどうも」
「一緒に向こうでどう?」
「いえ、せっかくですが」
「じゃあ、今夜は俺の部屋へおいでよ。夜通し話そうよ」
花園と田川の顔色が変わった。
「いえ、この後入浴したら、荷物をしまってもう寝ます。最近寝不足なので」
「気が変わったらいつでもいいからね。224だから」
そう言って西條は花園と田川を引き連れて去って行った。
花園は、物凄い顔つきで悠理を睨んでいる。
(ああ、びっくりした)
気を取り直して、悠理は食事を食べた。
建物はまだ新しいのか、全体的にきれいだ。
401号室と書かれたドアを開けると、壁の両側に2段ベッドがあり、各々下はクローゼットと棚になっていた。そして正面には窓があり、その窓に向かって机が2つ並んでいた。
机の上には冊子や教科書などが置かれ、寮の案内もそこにあった。クローゼットの中には制服と、体操服なのだろうか。変わった服が入っている。それとジャージ。
そしてその前にはダンボール箱が置いてあり、右側の箱には送り主が「敷島悠理」と書いてあり、左側の箱には「鈴木 均」と書いてあった。
「ふうん。同室のやつって、鈴木 均っていうのか」
それで、敷島悠理からのダンボール箱が置いてあった方が自分のスペースだと判断し、まずは箱を開けてみる。
何せ、自分では荷造りした覚えもないのだ。何が入っているのか、少しドキドキした。
ジャージ、洗面具、タオルやバスタオル、バインダーやノート、筆記具、ジーンズやシャツなどの私服と下着類、本。それとなぜか、フリルのついたヒラヒラのブラウス。
「本は、物理と化学と数学と航空工学か。どれも中学時代に気に入ってたものだな。
それにこのジャージは中学の時のジャージだな。パジャマ代わりか?
ジーンズとシャツとTシャツにも覚えがあるけど、このひらひらブラウス、俺のか?俺が買った物か?何かの景品で貰ったとか?」
それ以外はほぼ間違いなく自分のものの気がした。
「どういう事だ?確かに俺が知る物と同じだ。でも、本当に同じ物なのか?同じだとしたらそれはどういうわけだ。同じに見えるだけとしても、なぜ同じに見える物をこれだけ揃える事ができた?」
全くわからない。
悠理は取り敢えず荷物を収納し、机の上の冊子を読んで注意事項などを把握し、そろそろ夕食だと階下に降りた。
食堂に入ると、そこは教室が3つははいるくらい広く、そこに長テーブルとイスがズラリと並んでいる。
しかし新学期ギリギリに来る生徒も多いのか、それとも時間的に混み合う時間帯ではないのか、そこにいたのは60人くらいだった。
しかも全員男だ。
そう、この学校は共学だが、男子と女子は訓練する学校の場所が違う――つまり、実質的には男子校と女子校と同じだった。
その男子達が、一斉にお喋りをやめて悠理を凝視した。
「え?」
悠理はたじろぎ、おかしい所があるのかと自分の服装を見下した。
皆適当な私服やジャージで、悠理もジーンズとシャツだ。
(チェック柄はダサかったか?いや、そこのあいつのプリントTシャツよりはましだ)
よくわからないが、見慣れない新入りという事で注目を集めたのかと考え、他の人に習って、カウンターでトレイを取り、ごはんやおかずを順番にトレイに乗せていく。
そして、空いた席に座った。
(そう言えば、朝に栄養ドリンクを飲んだっきりで死んだんだったな。その前の晩はゼリーで、その前の昼は栄養補助食品バー、その前の朝はやっぱり栄養ドリンクだった。
あれ?まともな食事っていつ以来だ?)
思い出せない。そう考えると、目の前の定食風なトレイに感激してくる。
「いただきます」
悠理は手を合わせて、箸を取った。
「肉じゃがかあ」
食べようとした時、声がかかった。
「あれ、君。見ない顔だね。新入生かな」
邪魔をされたと半分苛立ちながら、悠理は顔を上げた。
そこにいたのは、派手な顔立ちの背の高い生徒と、生意気そうな表情の小柄でかわいい顔の生徒、髪の短い大人しそうな生徒の3人だった。
無視するのもどうかと思って、一応返事をした。
「敷島悠理です。よろしくお願いします」
「きれいな名前だな。俺は西條栗栖。こっちは花園君で、こっちは田川君。3人共2年生だよ。わからない事があったら何でも聞いてくれ」
妙にかっこをつけながら、そう言う西條に、
「よろしくお願いします」
と言って、悠理は食事に戻ろうとした。
が、まだ西條達は立ち去らない。
「ユウリと呼んでいいかな。
ユウリの目はとてもきれいだね」
いいかどうか返事を待たず、西條は言って、悠理の顎に指をかけてクイッと上げさせる。
生意気な花園と呼ばれた方が唇を噛んで悠理を睨み、田川は眉をキュッとしかめた。どこかから悲鳴のような声が上がり、そして悠理は、鳥肌がたった。
「ええっと、そうですか。それはどうも」
「一緒に向こうでどう?」
「いえ、せっかくですが」
「じゃあ、今夜は俺の部屋へおいでよ。夜通し話そうよ」
花園と田川の顔色が変わった。
「いえ、この後入浴したら、荷物をしまってもう寝ます。最近寝不足なので」
「気が変わったらいつでもいいからね。224だから」
そう言って西條は花園と田川を引き連れて去って行った。
花園は、物凄い顔つきで悠理を睨んでいる。
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気を取り直して、悠理は食事を食べた。
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