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番外編

番外編7ー1 勇者学園編入試験(6)

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 停学処分?・・・なんでミレーヌ様が学生の名前を知っているのか分からないけど、ミレーヌ様もトーブルお兄ちゃんも、この男と私をどうしても対戦させたいみたい。

 ベルギアスという20歳くらいの男は、停学のことを言われたことが気に入らなかったのか、ミレーヌ様を睨みながら魔法陣以外の攻撃なら相手してやると注文を付けた。

 再び的が作られ、今度は的の破壊ではなく、一番得意な魔法攻撃を見せるようにとギルマスが指示を出した。

 ……一番得意な攻撃? えっ、いいのかなぁ・・・

 不安になった私は、視線をボンテンクお兄ちゃんに向けてみる。
 すると、ボンテンクお兄ちゃんもトーブルお兄ちゃんも、親指を立てて頷いた。

 ……いいんだ・・・

 先に攻撃魔法を披露したベルギアスは、「行けー! ファイヤーボール」と叫びながら、的に向かって自分の頭と同じ大きさのファイヤーボールを放った。
 ドンと音がして、的の上部が少し崩れた。

「フン、化けの皮が剥がれる前に、不正を認めたらどうだ?」と、満足そうにベルギアスが言う。

「クソガキが、女のくせに偉そうにするからだ!」と、何故かエボデルが偉そうに威張る。

 ちょっと腹が立ったので、私はベルギアスに向かって「あれが一番得意な攻撃だなんて、びっくりだわ」と言ってクスリと笑った。
 そして意識を集中し、的に向かって両手を突き出し叫んだ。

「改良型ドラゴントルネード!」

 両手から飛び出した2つの炎は、的に向かって螺旋状に絡まりながら飛んでいく。ローゼリーのお陰で威力が凄いわ。
 ドカーンと派手な音がして、的の3分の2は爆破され、砂塵がおさまるとビッグベアーの足だけが残っていた。

 ……う~ん、なんだかシュール・・・


 しーんと静まり返った演習場に、「本当に情けない男ね、2人とも」とノエルお姉さまの蔑んだ声が響いた。 

 その途端、怒りの形相で振り向いたベルギアスが、あろうことかノエルお姉さまに向かって「黙れ!」と叫んで魔法攻撃を仕掛けた。
 でもファイヤーボールは、ノエルお姉さまが展開した反転型魔法障壁に当たり、放ったベルギアスの方に向かって跳ね返される。

 跳ね返ったファイヤーボールは、ベルギアスではなくエボデルの右腕をかすめ、エボデルは「ギャーッ!」と大袈裟に叫んで魔法攻撃を放とうとする。

 ……無抵抗な人に向けて魔法攻撃を放つなんて、信じられない暴挙だわ。

 その直後、「天誅!」というミレーヌ様の声がして、2人の男に向かって拳大の尖った氷が飛んでいく。
 その数6個。狙い定めたように、氷は2人の男の両肩と股間?に命中した。

「宰相トーブルの命令だ。この2人を直ぐに捕らえろ!」

 トーブルお兄ちゃんが指示を出すと、どこからか警備隊員が10人ほど雪崩れ込んできて、血を流し、のたうち回る2人を取り押えていく。

「何をするー! 私の父はサナへ領の伯爵だぞ」とベルギアスは喚いて抵抗するが、警備隊員は完全無視だ。


「お前たちは貴族ではない。エボデル、お前はサナへ領主から既に爵位を剝奪され、実家からは絶縁状が出ている。
 男爵令嬢に対する暴行及び宝石の強奪、数名の子供に重傷を負わせた罪、他の余罪も含め領主から指名手配されている。

 ベルギアスには、婦女暴行、冒険者コースの子供への恐喝と暴行容疑で逮捕状が出ている。目撃者や証人も居るので逃げることはできない。
 よって、本日付けで勇者学園を追放し、その名を抹消する。
 私ボンテンクは、学園都市法務部長の権限で、第二級犯罪者であるお前の貴族籍を剝奪し厳罰に処す!」

 ばばーんとボンテンクお兄ちゃんが登場し、2人の罪状を明らかにしていく。
 法務部長と聞いた2人は「違う、私じゃない!」と叫んで逃げようとする。

「やはり小者ね、往生際が悪いわ。
 残念だけどアナタたちには、貴族管理部長である私ミレーヌに対する不敬罪と、産業部長であるノエル様に対する魔法攻撃の大罪も加わるわ。
 フフ、極刑は免れないわね」

 不敵に笑うミレーヌ様がとどめを刺したところで、2人は引き摺られていった。
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